2022年6月13日に参議院本会議において可決され成立した『電気通信事業法の一部を改正する法律案(閣法第四八号)』のことです。1年以内に施行されるようです。
改正の主要なポイントのひとつに、インターネット利用者の情報を保護するための(関連事業者に対する)規制が新たに設けられたようです。議案要旨(※1)の下記項目の部分です。
「三、電気通信事業者等が、利用者の電気通信設備に記録された当該利用者に関する情報を、当該利用者以外の者に送信させる電気通信の送信を行おうとするときは、あらかじめ、一定の事項を当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置かなければならないこととする。」
※1 成立の経緯や議案の情報のサイト(参議院)は、https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/meisai/m208080208048.htmです。
インターネット広告、特に閲覧者の興味・関心に応じて掲載される「ターゲティング広告」では、サイト運営者側から(第三者にあたる)広告配信業者へサイト閲覧者に関する情報が提供されており、プライバシーや個人情報の保護の点から対策の必要性が指摘されていました。
今回の改正点としてこの問題への対応が盛り込まれることとなりました(注:改正電気通信事業法の「第27条の12」の部分です)。即ち、ネット利用者の情報(サイト閲覧履歴など)を第三者へ提供する際には、以下の場合(※2)を除き、「一定の情報を予め通知・公表しなければならない」ようです。違反すると業務改善命令の対象になるようです。
※2 以下のようなケースです:①サービスの提供に必要な情報、②1st パーティ・cookie、③本人の同意を取得済み、④後から拒否できる許諾なし情報利用(オプトアウト)になっているの4ケース。
経済団体からの反対もあって当初の案から後退した形になっているようですが、今後は規制の詳細な運用について省令により定めていくとのことです。
なお、欧州や米国では日本に先行して規制する動きが進んでおり、EUでは2018年5月にGDPR(General Data Protection Regulation)という規制が、また米国カリフォルニア州ではCCPA(California Consumer Privacy Act)という法律が2020年1月に、それぞれ施行されているようです。これらは、日本よりも厳しい規制となっているようです。