毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「村木厚子さんは無罪になったが…」 2013年11月27日(水)No.807

2013-11-27 21:13:44 | 日記
秘密保護法が衆議院を通った。
人数に任せて参議院でも通過するだろう。
そうすると、本当に、本物の法律となって日本国民を縛り付ける。
私はこの年になって、
自分がいつ訳わからん逮捕をされるか分からない時代になったのを感じる。

「逮捕」で、村木厚子さんのインタビュー記事を以前保存していたのをふと思い出した。
2009年6月、実体のない障害者団体「凛の会」に
郵便割引制度の適用団体と認める偽の証明書を発行するよう部下に指示した
という容疑で逮捕され、
保釈されるまで5か月以上に渡り大阪拘置所に拘留されていた人だ。
翌2010年9月、裁判で無罪が確定し、現在は厚生労働省事務次官をしているという。
彼女の現在の仕事はともかく、
逮捕の時の様子を語る言葉が、この人は冷静な人だなと感じさせる。
逮捕されることになり、
何とかして、家に居る19歳の娘にそのことを知らせたいが、
電話することを禁じられ、こっそり検事の目を盗んで海外出張中の連れ合いに、
「たいほ」とひらがなでメールしたことなどを淡々と語っている。

しかし、逮捕状が執行され、大阪拘置所に移送される際の様子を語る言葉には、
胸に迫るものがある。
 「移送の車を待つため、座っていると、急に涙がこみ上げてきました。
でも、泣きたくなかった。泣くと弱気になり、心が揺れますから。
隣についてくれていた女性事務官と話をして気を紛らわせました。
移送の車に乗る直前、事務官が
『マスコミがたくさん来ているようです。
顔を隠すためのマスクがありますが、使うかどうかは村木さんが決めてください』
と言ってくれました。
私は一瞬、どうしようかと思ったのですが、
平気な顔して出ていこうと決めました。
幸い、車は、後部座席のカーテンが閉められていて
中の様子がわからないようになっていました。
ただ、カーテン越しにものすごいフラッシュがたかれているのはわかりました。」

([村木厚子元局長 夫に送った「たいほ」の3字]週刊朝日http://dot.asahi.com/wa/より)

その後、彼女は11月後半までを大阪拘置所で暮らした。
彼女自身は、自分が無実であることを知っていたが、
犯罪者とされて、社会的な信用など今まで築いてきた全てを失った気になった。
しかし、そうではない、自分は何も失ってなどいない、と気づかせてくれたのが、
アクリル板越しに弁護士が見せてくれた同僚や友人たちからの、
「信じています」「がんばって」という寄せ書きだったという。

人はどうしたら絶望せずに生きていけるのか、これで分かる。

それにしても、虚偽公文書作成、同行使容疑で彼女を逮捕し、
その後、自分が証拠隠滅罪によって逮捕された
前田恒彦特捜部主任検事の経歴を見てみたら、
佐藤 栄佐久福島県知事汚職事件、
西松建設事件・陸山会事件、
朝鮮総連本部ビル売却問題
など名だたる事件を担当し、
事情聴取された人が供述してもいないことを勝手に調書として作成したり
(福島知事汚職事件)、
秘書の大久保隆規の5通の調書について検察事務官を立ち合わせないまま、
調書を作成したり(西松建設事件・陸山会事件)、
事件公判における偽証罪で弁護団に告発されたり(朝鮮総連本部ビル売却問題)、
明らかに権力の陰謀の手先となって働いていた人だ。
こういう人が検事のなかにワンサカいるんだろうなあ。

日本の人は中国のことを「法治国家じゃない」とよく言う。
それは当たってい面もある(大いに)。
しかし、それは中国だけかい?
自分の国はそんなに立派なのかい?
他人に厳しく、自分に甘い。
そんな傾向がヒシヒシと感じられる日本的今。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする