「アカシアの花が咲くころは、街じゅうにアカシアの香りが漂って、
ああ、春が来たんだと思ったものです。」
近畿中国帰国者支援交流センターで日本語を教えていたころ、
残留孤児一世の夫とともに関西に来た中国人女性の呂さんが
そう語ってくれたことがあります。
日本の風土に馴染もうと、懸命に努力したのですが、
故郷を思う気持ちは年を経てますます膨らみ、
大連に帰りたくて帰りたくてたまらなかった呂さん。
今、その気持ちはどうなったでしょう。
滋賀の団地のベランダから近くの公園の木々を見ると、
故郷に繋がる気持ちがすると言っていたことを思い出します。
大連外国語大学の大学院に進学した劉慧さんに、
「アカシア並木の写真を送って。」とメールしたところ、
ドバっと花の写真が届きました。
劉さん曰く、
「実はアカシアってどんな植物かよく知らないです。
昨日キャンパス内で気の向くままに歩きながら、
美しい景色と出会って、たくさんの写真を撮りました。
いろんな花が咲いているんで、今のキャンパスも四季の
中で一番美しいと思います。
花が好きだといっても、花の名前とか全然知らないです。
植物においては中国人の多くは日本人より鈍感なような気がします。
アカシアの方はまだ見かけていないので、いくつかの花の写真を先生に送ります。」
とのこと。
そっかあ、アカシアはこれからかあ。
おお、桜の精?! いいえ、劉慧さんです。
中国の伝統では女性の長い髪は美しさの一つだと聞いたことがありますが、
確かに、そんな感じがしますねえ。
(彼女は焼き肉屋さんでバイトをして、髪に匂いが沁み込み、一日で辞めた経験がありますww)。