毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「まだ見ぬベビーへの手紙、再び」No.1596

2016-02-20 23:12:56 | 中日(日中)関係

木曜に武庫之荘の『ロクパ』で江財大の学生たちが書いた作文を

いくつか紹介いたしました。

前日、どれを紹介しようか保存していた作文を読み返しているうちに

当時の学生たちの顔が思い浮かび、またまた泣けてくるのでした。

その中で、2014年2月の読売新聞にも載った雷国華さんの

「まだ見ぬベビーへの手紙」を再掲載させていただきます。

国家の思惑に嵌められないことは、

どの国の、いつの時代の人々にとっても大切なこと。

いたずらに憎み合う愚を避け、

お互い品格を持つ人間として生きていきたいものです。

雷国華さんは2014年6月に江西財経大学を卒業し、

今は深圳の環境に優しい電池を売る会社で働いています。

 

雷国華 「まだ見ぬベビーへの手紙」

 親愛なるベビー、元気かい。

私は君の母だ。実は今22歳で、君はまだ生まれていない。母はボールフレンドさえも見つからないのだ。しかし、先日林克之先生のことを知った後、ベビーに林先生のことや中日関係について少し話しておきたくなった。

私は大学の専門が日本語だ。そして、日本語が好きで、尊敬している日本人が数多くいる。君がこの手紙を読む頃はもう大きくなっているだろう。中日関係についても自分の考えを持つべきだ。

君の成育環境をちょっと想像すると、多分こうだろう。テレビでは抗日ドラマが絶えず放送され、教科書や新聞には中日戦争についての描写がいっぱいあり、インターネットで日本人を獣とみる文章や映像が少なくない。しかし、私は君に教えたい。戦時中、日本が中国で細菌人体実験をしたのは全て事実だが、これは以前の日本人が以前の軍政下でした残忍なことだ。現在の日本人と何の関係があるか。現在の日本人は、ただ日本に生まれたから、日本人になった。ベビーは中国の歴史を忘れてはいけないが、日本人に盲目の恨みを持ってはいけない。日本人の中には、心が優しい人がいっぱいいるよ。

今日、ベビーに紹介する林先生がその一人だ。林克之先生は1946年日本の静岡県で生まれたが、1997年から、中国桂林市陽朔県シンピン町やシンピンのラオジャイ山をずっと守ってくださっている日本人だ。このラオジャ山はカルスト石筍山で、高く険しいので、当時、登れる人は柴刈り人だけだった。頂上からの絶景を皆に見せたいので、先生は自腹でラオジャイ山に通じる石段を作ろうと決めた。一般の寄付者と違い、先生は毎日自分が雇用した農民工と一緒に働き、セメントや砂を自分の肩で山中に運んだ。ついに、先生は一人の工人さえ雇用するお金もなくなったので、自分一人で工事材料を運び、一人でその石段を作るしかなかった。当時、先生はもう五十歳を超えていた。その後、先生は日本に帰り、金策に駆け回って、さらに、二つの休憩亭や立派なトイレを作ってくださった。先生のおかげで、シンピンへの観光客は毎年数千人だったのが、五万人に激増した。

しかし、話はここで終わらない。それから、林先生はシンピンに定住し、ボランティアとしてごみ拾いを続けている。この手紙を書いている今で、もう16年になる。しかし、こんな優しい日本人でも、シンピン町でさえ全ての人が尊敬や好意を持っているとは言えない。シンピン町政府が林先生を讃えた石碑の先生の名前は、ある人に壊され、先生に悪口を言う人もいる。その原因はもちろん中日戦争だ。

しかし、ベビー、じっくり考えたら、これは正しいのか。林先生はただ普通の一人の日本人だ。何も悪いことをしていないどころか、中日友好や世界平和に貢献している人ではないか。ベビー、人を判断する基準は先祖が何をしたかではなく、今生きている人の行動で判断すべきだよ。そして、間違わない人間はいないよ。もし、誤った人が正しく改める意欲があったら、私たちは協力するべきじゃないのか。これは処世訓だが、国家間にも当てはまる。中日の間には、怖い記憶がいっぱいあるが、温かい思い出も少なくない。今、両国には反日派や反中派が確かにいるが、中日友好のため奔走している人も数え切れないほどいるよ。

ベビー、未来の世界は君たちの考えで決めるものだ。歴史は忘れられないが、歴史だけに拘るのも良くないよ。そして、普通の国民と政府を区別すべきだ。政治とか、戦争とか、庶民に決められるものではないのだ。もし、相手が胸襟を開いてきたら、君も相手を大切にするべきだ。

ベビー、未来の世界はいろいろ意外なことがあるに違いないが、誰に対しても、優しい心を持つことをいつまでも忘れてはいけないよ。そして、国籍を問わず、全力でいい人を保護するんだよ。母もそうして生きるよ。

 

母:雷 国華

2013.5.8

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