「フェイク(ウソ)ニュース」と言うんですね。
事実ではないことを、いかにも本当のことのようにメディアで流すのが
今、アメリカで、そして日本でも常識なのだそうです。
下はポール・ホーナーさんという人で、
ヒラリー・クリントンにとって不利になる嘘ニュースをどんどん作って流し、
アメリカの人々をすっかり信じさせて、
トランプ旋風を巻き起こし、
彼を大統領にした立役者と言われている人ですって。
ポール・ホーナー(38)。株のネット取引などで稼ぐかたわら、abcログイン前の続きnews.com.co▽cnn.com.de▽nbc.com.co――といった、大手メディアに似せたサイトを次々と開設。でっち上げのニュースを選挙序盤から発信した。…朝日新聞デジタル2017年4月29日
彼が作ったウソニュースで最も反響を呼んだ一つが、
「クリントン陣営がカネで人を集め、
トランプの集会に『抗議者』として送り込んだ」
という記事なんですと。
「支払われたお金は3500ドル」
「実際にトランプの集会に出かけてお金を受け取った人が暴露」
などと、いかにも本当っぽく書くその手口。
これ、みんなよく知っているんじゃないですか。
ほら、「辺野古や高江に行く人は、日当5000円もらっている」
などとまことしやかにネットで拡散されましたよね。
「実際にもらったという人がいる」というのを証拠だとするのですが、
その「実際にもらった人」は、
一度もメディアや公衆の前に姿を現したことがありません。
そんな根拠のないことを「事実」と思う人も思う人だ、
と私は腹立たしいのですが、
アメリカ人も、この手口にすっかり騙されてしまったのですと。
アメリカのバズフィードの調査によると、
アクセス数、シェア・コメント数などは
フェイク(ウソ)ニュースの方が、リアル(本当)ニュースを凌駕しています。
フェイクニュース |
リアルニュース |
ローマ法王がトランプ支持を表明、世界に衝撃(96万件) |
トランプの恐るべき不正の過去。なぜクリントンは責められる?(ワシントン・ポスト:84万9千件) |
クリントンが過激派組織「イスラム国」(IS)に武器売却(78万9千件) |
私は今、クリントンを支持している。モレル元CIA副長官が寄稿(ニューヨークタイムス:37万3千件) |
3500ドル受け取り、トランプの集会で講義した 反トランプ派が暴露 (37万6千件) |
160人以上の共和党のリーダーはトランプを支持しない(ニューヨークタイムス:34万7千件) |
(朝日新聞デジタル2017年4月29日参照)
さらに、恐ろしいことには、
フェイクニュースをこさえた本人のポール・ホーナーさんが、後で
「実は、あれは嘘だ」と言っても、
「一度信じた人々の考えを変えることはできなかった」のだそうです。
彼は、自分のウソニュースを芸術作品だとし、
ウソニュース作成の意図を、
「トランプの言葉をうのみにする人も、批判するメディアも、
自分たちの信じたいことのみを受け入れ、伝えている。
何が真実なのか、みんなに突き詰めてほしかった」。
などと語っているそうです。(朝日新聞デジタル2017年4月29日参照)
しかし、
ポール・ホーナーさん、
それは、やってはいけないことだったと私は思いますよ。
今、何が嘘で、何が本当か、わけが分からなくなって
人びとの多くは疑心暗鬼に囚われるか、
鵜呑み信者になってしまっているじゃないですか。
社会を混乱させるつもりはなかったと言っても、
あなたの犯した罪は取り返しがつかないほど大きいです。
社会の基本土台の一つは、
真実に近づこうとする意志と意志の相互信頼にあり、
ポール・ホーナーさんはそれを本格的に破壊したからです。