中国には「教師の日」があります。
5年前、中国に来て間もないその日にたくさんの携帯メッセージが押し寄せ、
しかも名前が無いのがほとんどで、途方に暮れた思い出があります。
それが、虚礼廃止ということでしょうか、気にもされなくなったということでしょうか、
メール数は年を経るごとに激減してきました。
私自身も、そんな日があることはすっかり忘れて過ごしていました。
一年間のブランクの後、私はまた日本語教師として中国にやってきました。
昨日がその「教師の日」であることを思い出したのは、
一通のメールに、
「ご無沙汰しております。お元気ですか。今日は中国の教師の日で、
おめでとうございます!」
と書かれてあったからです。
今年6月に江西財経大学を卒業した譚ショウさんからでした。
彼は中国の日本語学科関係では有数の北京の大学院を受けましたが、
「政治」かなんかの点数が基準に満たず残念な結果になったと聞いて、
私も残念で、どう声を掛けたらいいか分からず、
結局ほったらかしにしていたんです。
譚さんは、今は深圳のBYDという自動車会社に勤めているそうです。
彼からのメール文を読みながら、私は熱いものがこみ上げてきました。
「教師の日」にもらった最高のメッセージでした。
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あっという間に先生と離れてもう10月になりました。
去年10月末の再会は短かかったですが、昨日のように思い出されます。
今年6月の卒業の時、先生が来られなくて非常に残念でした。
でも、先生が日本でされたこと(沖縄に行ったことか、大阪でやたらデモに行ってたことかな:ブルは)は
陳さんのWechatから聞きました。
すごく感心したのです。
実は、今週水曜日の時、毎朝の例会(新人の会議。順番で1日1人ずつ
自分に影響を与えたこと、或いは意味あることを発表します。)で、
先生が日本でされていること、またその写真を他の新入社員と分かち合いました。
先生が全力で戦っている時、僕は先生の力になれませんが、
少なくとも先生と地元の方々の戦ってる姿を多くの人を見せ、
平和を愛する日本人の声を周りの人に伝えたかったのです。
―――中略
先生は山東省の大学と契約して授業することを周さんから聞きました。
新学期は始まったのですか。
今先生はもうあそこにいらっしゃったのでしょう。
山東省は中国の北方に属し、南昌の気候と飲食は大違いです。
先生は慣れるのでしょうか。
この間、僕はよく大学時代のことを思い出します。
やはり先生は僕に一番影響を与えた先生でした。
日本語の勉強も、平和を愛する日本人のことも、多くの面においてです。
これからの人生はどうなっていくのか分かりませんが、
先生の生徒であるだけでラッキーだと思います。
深圳はまだ暑いですが、山東省はもう秋ですよね。
夜は涼しくなるので、お気をつけくださいね。
譚しょう
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他にも懐かしい子ども達(と言ってももう大人ですけど)から
何通も心に沁みるメールが来ました。
ともに過ごした年月の大切さを噛みしめます。
教師は「種まく人」と言われますが、
見事に種をまいていらっしゃることがわかります。教師冥利につきますね。
今は「種を撒く」作業になっているのかどうか(笑)。
先週、初めて2年の授業をして、早速ながら、「一生懸命がんばるとはどーゆー意味か」と渋面で語らざるをえなかった私です。多くの学生は自己紹介するときメモを読むんですからねえ…。
でも実は、それも楽しいことですよね。これから学生たちとともに授業を少しでも実りあるものに作って行きたいと思っています。お互いがんばりましょう。