毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「南昌の病院事情」 2013年4月13日(土) No.620

2013-04-13 21:40:57 | 中国事情
3年の閻ホウジョさんの入院期間が延びた。
昨日で2週間なので退院できると思ったら、
お医者さんに「あと2週間延長ね。」と言われたそうだ。
希望がいっぱいのようなことを言って、後で潰すやり方は酷い。

ある学生の話だが、このように
病気やケガの状態を控えめに言って喜ばせ、後で訂正するやり口は
非常によくあるとのこと。
毎日、毎日、指折り数えて退院を待っている患者の気持ちを
ドーンと落ち込ませるこの安請け合いは、是非とも変えるべきだ。

閻ホウジョさんは、お金の心配もしている。
入院代は一万元から二万元に跳ね上がる。
その半額は大学の強制保険からカバーされるが、
残りの一万元をどうするか。

閻さんが強制保険とは別に加入している任意保険の会社は、
病院からの書類原本さえあれば残りの負担分を保障すると言っている。
しかし、病院は書類原本は1つしか書かないと言うのだ。
2つの保険会社が、それぞれコピーでない書類を要求しているのに、
病院はそれに応じない。
日本的にはホントに意味不明だが、
中国的には、あとは権威かお金の力で何とかするしかないようだ。
中華人民共和国のくせに、人民を困らせてどうする。
しかもこの病院の名前も江西人民病院なのに。

閻ホウジョさんの病室には男女まぜこぜで5人入院している。
うら若き女性の閻さんのコーナーを覆うカーテンもない。
看護師さんはニコリともしない。
それでも閻さんは、
「イケメンのお医者さん(実習生)がいる♡」と
少しでも楽しみを創造するため工夫している。
今日その「イケメン先生」が何人もの医者の後ろから現れた。
(閻さんは寝たきりなので、下から見上げる角度からは
イケメンに見えるのだろう)という感想を持った。
いかめしいお医者さん・看護師さんの中にあって
珍しくニコニコしているのが好感持てた。

入院期間が長引いて日本語を忘れることを心配する彼女に
退院するまでに「赤毛のアン」を読むよう置いてきた。
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「『君が代』不起立処分を止めるために」 2013年4月12日(金) No.619 

2013-04-12 20:57:38 | 教育
ちょっと前まで、「君が代」に不起立の教員はわんさかいた。
立とうが立つまいが、それは個人の良心に任せられる範疇にあった。
「日の丸君が代」が「国旗国歌」であると法制化された1999年当時の総理大臣
小渕恵三は、日本共産党の志位委員長の質問に対して、
「国旗及び国歌の強制についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることにはならないと考えております。」
と答弁している。
しかし、法制化されたら最後、何でもかんでも強制され、
2011年に至り、最高裁判所は「起立」を命じた職務命令について初めて合憲判断をした。
このようにして、歴史は塗り替えられるのだ。

「先進民主国家」と言われる国の中で、
国歌を歌わず不起立した職員を処分するような国は日本だけだ。

以下は「薔薇または日だまりの猫」さんのブログから転載。
東京都教育委員会に対する行動が呼びかけられている。
ここ中国から私も都教委にメールを送る。

---------------------------
入学式での「君が代」不起立処分を止めるために 都教委に「処分するな」と声を/根津公子さんから

2013-04-10 00:46:21 | 社会


根津公子です。

今日は田中聡史さんが働く板橋特別支援学校も、
田中さんと私が働いていたあきる野学園も入学式でした。

田中さんがいくつかのMLに今日、「君が代」斉唱時に不起立をしたことを流しました。


■春らしい晴天が続いていますが、皆様お元気でしょうか。
本日(4月9日)、板橋特別支援学校で入学式があり、「君が代」斉唱時に私が不起立をしていたところを、副校長により「現認」されました。
東京都教育委員会は、処分を出すべく、早ければ明日から手続きを進めるでしょう。
皆様、ぜひとも、都教委に対し、不起立者を処分するな、との声をお届けください。

田中聡史■


 半月前の卒業式で、都教委は田中さんには減給1月処分を発しました。
 昨年1月に出された最高裁判決は、「職務命令は…19条違反とはならない」としましたが、その一方で、原則「戒告を超える重い処分は違法」と判示し、都教委が行ってきたそれまでの累積加重処分を行き過ぎた処分として断罪したのでした。
都教委はそれに従い、昨年の処分はすべてを戒告としました。

ところが今年の卒業式処分では、都教委はその最高裁判決を反故にして、連続4回不起立処分とされた(=不起立はその前からしていた)田中さんに対し、最高裁判決が原則違法とした減給処分を発令したのです。
「最高裁判決を踏まえて判断した。戒告では秩序の維持が困難」(朝日新聞)と都教委は言ったとのことです。

経済的・身分的なひどい不利益を受けてもなお、間違った都教委の指示には従わないという教員の存在が、都教委にとっては脅威であり、そこを潰すために、最高裁判決が言う「学校の規律や秩序の保持」を曲解、援用して減給処分をしたのです。
田中さんには戒告処分では脅しにならないから、重い処分を科して不起立をさせない。
それをもって「都教委の秩序を維持」するとしたのです。
 

そして、今日の不起立を校長が現認した、ということは、処分に向けてことを進めています。

まだ44歳の田中さんに対し、次はどんな処分をもってくるのか、とても気がかりです。

都教委は、田中さんを潰そうと必死です。
ですから、私たちは田中さんに(重い)処分を出させないよう、力を出し合いましょう。

どうぞ皆さま、
田中さんに対する卒業式での減給1月処分に抗議をしたうえで、入学式での処分をするな! と都教委に声を上げてください。

「君が代」不起立処分は、不起立した教員だけの問題ではありません。
これを許してしまうと、東京の学校はさらに都教委のやりたい放題になり、被害は子どもたちに直接及びます。
そしてそれは全国に広がります。

朝鮮学校への防犯ブザー貸与中止を決めた東京・町田市教委が、大勢の人の抗議によって、中止を撤回しました。
権力を持つ者は、人々の声を気にするものです。
田中さんへの処分についても大勢の人の声で、処分をやめさせましょう。
「戒告を超える重い処分」を止めさせましょう。

できれば、周りの方にも広めてください。


 ●都教委への抗議、要請は
  東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
  総務部教育情報課(都民の声を聞く担当) FAX 03-5388-1726
  人事部職員課服務係(処分を発令する担当) :電話 03-5320-6792 
 
  メールは、「東京都教育委員会ホームページ」に行き、「メニュー」→「各部課メールアドレス」から送ります。


「薔薇または日だまりの猫」http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/6f90e933969fb4ffb8ffd3f1018c2d15
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「じわじわと広がる不安ー鳥インフルエンザ」 2013年4月11日(木) No.618

2013-04-11 21:13:35 | 中国事情
3年生のビジネス日本語の授業で毎回数人がミニスピーチをしている。
始めの頃、話題は「卒業後の進路」「この大学で学んだもの」
「人間如何に生きるべきか」「親子関係を考える」などが多かったが、
閻ほうじょさんの入院後、「命を大切に」が加わり、
今週は「鳥インフルエンザ」関係のスピーチが2つと、
トピックも移り変わってきた。


写真:レコードチャイナより
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=71133

それにしても、
予防についての情報が
学生に周知徹底されていないようだ。
「怖いから鶏肉はもちろん、豚肉も食べない。」
という子もいれば、
「普段から身体を鍛えて健康に留意する。」
という至極もっともな意見もある。
しかし、インフルエンザでも風邪でも、
日本で予防といえばまず、『手洗い・うがい』がまず第一に挙げられるが、
それがこちらでは、あまり伝わっていない気がする。
これだけは、日本語学科の学生たちが率先して、
全学生に伝播させ、習慣付けられないだろうか。
何はなくとも『手洗い・うがい』、
次に『マスクの着用』が必要ではないか。
実は私も引き出しにどっさり日本から持ってきたマスクがあるものの、
未だしていない。
安もんなので効き目もないだろうが、何より外で誰一人つけていないのが
心理的に影響している。
江西省で発症したら、着用しようと思う。
みんな私と同じことを考えているのかな。

上海の日本領事館からの通達がほぼ毎日届く。
届けてくれる南昌日本人会の世話役ミヤケさんも忙しいことだろう。

今日現在の発表では、死者10人。
感染者数は、上海市、安徽省、江蘇省、浙江省の1市3省の計38名。
(安徽省と浙江省は江西省のお隣さんだ)
在上海日本国総領事館によれば、気をつけるべきことは
次のようなことらしい。

鳥インフルエンザ関連情報(第12報)在上海日本国総領事館

(1)発熱、咳などの呼吸器感染の症状が発症、
特に高熱の発症や呼吸困難の症状が見られた場合は
速やかに医師の診断を受けるようにお願い致します。

(2)不用意に鳥・家畜に近寄ったり触れたりせず、
手洗い、うがい等を励行し、衛生管理に十分注意してください。
また、十分な栄養、睡眠をとり、平素からの体調管理に気をつけてください。

(3)外出する場合には、人混みはできるだけ避け、
人混みではマスクをする等の対策を心がけてください。
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「皆さん、ご心配をおかけしました(ーー;)」 2013年4月10日(水)No.617

2013-04-10 21:30:50 | 日記
3月末の日曜日以来、
二日酔いどころか一週間ほど体調が優れなかったことを
このブログに書いた。
学生たちも心配?してくれているみたいな。

例えば北京から卒業生の飯無償さんが
『お酒で酔っぱらいになったことは、
いかにも情けないですよね。。。
「4月、私は清く・正しく・美しく、
お酒との縁を断ち切って生きていきます」という話は、
信じがたいと思いますが。。。
南昌はもうすぐ熱くなるので、
ビールを飲まずにそのまま夏を過ごすことができますかね。』

と案じてくれ(←イヤ違うな(^_^;))、

3年の雷こっかさんも
『ところで、先生はブログで、
「31日の大酒がそれにトドメを刺し、体調不良のまま推移している」
と言うセンテンスをお書きになりました。
今、体の具合は大丈夫になりましたでしょうか。
本当に心配しています。』

といたわりの言葉を送ってくれた。
敬語が胸にイタイ。
トホホ・・・。(*´д`*)
ま、そうは言っても酒気がすっかり抜けるとともに、
体の芯から元気が蘇ってきているんだけどさ。
さて、今から当分(約一ヶ月間)、
作文コンクールのチェック体制に入る。
気合を入れよう。




コメント (2)
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「福島~動植物異常」 2013年4月9日(火)No.616

2013-04-09 21:22:01 | 原発事故
これほど大変なニュースが日本ではスルーされているのではないか。
ネットでもオセロ中島とかはいつまでも話題になるのに、
めっちゃ重大なことはソソクサと消されていく。
ものすごい報道規制を、ここ中国で感じている。
イヤ、中国政府のことじゃなくて。

福島の子どもたちが甲状腺がんに冒され、手術をされたこと、
にもかかわらず「原発事故の影響はない」と言い切る御用学者たち。
どれだけ腐敗したら気が済むんだ。
こっちは腐臭で頭がおかしくなりそうだ。

こういうときは、深呼吸、深呼吸。
真面目に取り組んでいる学者たちもたくさんいるんだから。
以下の記事は東洋経済オンラインから。長いけど読むべき内容だと思う。

福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ
チョウやニホンザルなどに異常、研究者が被曝影響と指摘
岡田 広行 :東洋経済 記者  2013年04月03日

福島市や全村民が避難を余儀なくされている福島県飯舘村など、福島第一原原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかになった。

3月30日に東京大学内で開催された「原発災害と生物・人・地域社会」(主催:飯舘村放射能エコロジー研究会)で、東大や琉球大学などの研究者が、ほ乳類や鳥類、昆虫、植物から見つかった異常について報告した。

原発事故による生物への影響についての研究報告は国内でもきわめて少ないうえ、4人もの研究者が一般市民向けに報告したケースはおそらく初めてだ。



稲の遺伝子に異変

まず生物への影響に関してシンポジウムで最初に報告したのが、筑波大大学院生命環境科学研究科のランディープ・ラクワール教授。「飯舘村での低レベルガンマ線照射に伴う稲の遺伝子発現の観察」というテーマで研究成果を発表した。

ラクワール教授は、つくば市内の研究所で育てた稲の苗を、福島第一原発から約40キロメートルに位置する飯舘村内の試験農場に持ち込んだうえで、放射線の外部被曝にさらされる屋外に置いた。そして生長が進んでいる根本から3番目の葉をサンプルとして採取し、ドライアイスを用いて冷凍保管したうえで、つくばに持ち帰った。
その後、「半定量的RT-PCR法」と呼ばれる解析方法を用いて、特定の遺伝子の働きを観察したところ、低線量のガンマ線被曝がさまざまな遺伝子の発現に影響していることがわかったという。ラクワール教授らが執筆した研究結果の要旨では、「飯舘村の試験農場に到着してから初期(6時間後)に採取したサンプルではDNA損傷修復関連の遺伝子に、後期(72時間後)ではストレス・防護反応関連の遺伝子に変化が認められた」と書かれている。

「稲に対する低線量被曝の影響調査は世界でも例がない。今後、種子の段階から影響を見ていくとともに、人間にも共通するメカニズムがあるかどうかを見極めていきたい」とラクワール教授は話す。

動物に現れた異常については、3人の研究者が、チョウ、鳥、サルの順に研究成果を発表した。

チョウについて研究内容を発表したのが、琉球大学理学部の大瀧丈二准教授。「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」と題した講演を行った。

大瀧准教授らの調査は、日本国内にごく普通に見られる小型のチョウであるヤマトシジミを福島第一原発の周辺地域を含む東日本各地および放射能の影響がほとんどない沖縄県で採集し、外部被曝や内部被曝の実験を通じて生存率や形態異常の有無を調べたものだ。大瀧准教授らの研究結果は昨年8月に海外のオンライン専門誌「サイエンティフィックリポート」に発表され、フランスの大手新聞「ル・モンド」で大きく報じられるなど、世界的にも大きな反響があった。

※原著論文は下記に掲載
http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/39035

※日本語の全訳は下記に掲載(研究室のホームページより)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/kaisetsu.html

飼育実験で被曝の影響を検証

大瀧准教授は研究の特徴として、1.事故の初期段階からの調査であること、2.事故の影響のない地域との比較研究であること、3.飼育実験により、子世代や孫世代への影響を評価していること、4.外部被曝実験および内部被ばく実験を実施したこと――などを挙げた。

事故から2カ月後の2011年5月および半年後の9月に福島県などからヤマトシジミを沖縄に持ち帰ったうえで、子ども世代や孫世代まで飼育を継続。一方で沖縄で採集したヤマトシジミにセシウム137を外部照射したり、セシウム137で汚染された野草(カタバミ)を、沖縄で採集したヤマトシジミの幼虫に食べさせた。ヤマトシジミの採集地点は東京都や茨城県(水戸市、つくば市、高萩市)、福島県(福島市、郡山市、いわき市、本宮市、広野町)、宮城県(白石市)の計10カ所で、研究に用いたヤマトシジミの数は5741匹に上った。

大瀧准教授の研究では、驚くべき結果が判明した。

羽が伸びきっていない羽化不全個体。口吻も巻かれていない
(福島市内で採取したエサを食べた個体。大瀧准教授提供)


2011年5月の採集で、ほかの地域と比べて福島県内のヤマトシジミでは、羽のサイズが小さい個体が明らかに多いことがわかったのだ。「地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が見られた」と大瀧准教授はデータを用いて説明した。

また、捕獲した個体の子どもについて、「福島第一原発に近い地域ほど羽化までの日数が長くなる傾向が見られ、成長遅延が起きていたことがわかった」(大瀧准教授)。「親に異常があった場合、子どもでも異常率が高くなる結果も出た」とも大瀧准教授は語った。ただし、「これだけの実験では、遺伝性(異常がDNA損傷に基づくもの)であると断言するには十分な証拠とは言えない」とも説明した。

被曝した個体で生存率が低下

外部から放射線を照射した実験(外部被曝の検証)では、放射線を多く照射した個体ほど羽根が小さくなる傾向が見られ、生存率が低くなっていた。また、汚染されたカタバミを幼虫に食べされた内部被曝に関する実験でも、比較対照群である山口県宇部市の個体と比べて福島県内の個体で異常が多く見られ、生存率も大幅に低くなっていた。

内部被曝の研究では驚くべき結果も出た。
「沖縄のエサを食べた個体と比べ、福島県内の個体は死に方でも明らかな異常が多く見られた」と、大瀧准教授は写真を用いて説明した。さなぎの殻から抜けきれずに死んだり、成虫になっても羽が伸びきれない事例などショッキングな写真を紹介。「(生体の)微妙なバランスが狂ってしまうと死亡率が上がるのではないか」(大瀧准教授)と指摘した。

羽化失敗。さなぎの殻から完全には抜け出すことができず、
死亡(飯舘村内で採取したエサを食べた個体。同上)


続いて東京大学大学院農学生命科学研究科の石田健准教授は、「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被ばくモニタリング」と題して講演した。

通常のウグイスなら、見たこともない「おでき」が…

石田准教授らは、福島県阿武隈高地の中でも特に放射線量が高く、現在、「帰還困難区域」に指定されている浪江町赤宇木地区(福島第一原発から約25キロメートル)で2011年8月に野生のウグイス4羽を捕獲したところ、「うち1羽から今までに私自身、ウグイスでは見たこともないおできが見つかった」(石田准教授)。これまで350羽あまりを捕獲した経験のある石田准教授が驚くほどの病状で、このウグイスには血液原虫も寄生していた。また、捕獲したウグイスの羽毛を持ち帰って放射線量を測定したところ、セシウム134と137を合わせて最高で約53万ベクレル/キログラムもの汚染が判明した。

石田准教授はその後も自宅のある埼玉県横瀬町と福島を15回にわたって行き来し、鳥類の定点観測や自動録音による野生動物のモニタリングを続けている(なお、研究成果の一部は、中西友子・東大大学院教授らの編纂した英文書籍で、シュプリンガー社から3月に出版された。電子ファイルは誰でも無料で自由に読める。(こちらからご覧いただけます)

ニホンザルの白血球数が減少

そして4人目の講演者として登壇したのが、羽山伸一・日本獣医生命科学大学教授。「福島県の野生二ホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況と健康影響」と題した講演をした。

28年にわたってサルの研究を続けている羽山教授は、ニホンザルが北海道と沖縄県を除く全国に生息している点に着目。「世界で初めて原発の被害を受けた野生の霊長類」(羽山教授)として、ニホンザルは被曝による健康影響の研究対象としてふさわしいと判断した。

羽山教授は、約3000頭近くが生息する福島市内(福島第一原発から約60キロメートル)で農作物被害対策のために個体数調整で捕獲されたサルを用いて、筋肉に蓄積されているセシウムの量を継続的に調査。性別や年齢、食性との関係などについて検証した。

福島と青森のサルを比較すると…

11年4月から13年2月にかけて福島市内で捕獲された396頭のサルと、青森県で12年に捕獲された29頭を比較。土壌中のセシウムの量と筋肉中のセシウム濃度の関係を検証した。その結果、「土壌汚染レベルが高いところほど、体内のセシウム蓄積レベルも高い傾向があることがわかった」(羽山教授)。また、木の皮や芽を食べることが多く、土壌の舞い上がりが多い冬期に、体内の濃度が上昇していることも判明したという。なお、青森県のサルからはセシウムは検出されなかった。

「注目すべきデータ」として羽山教授が紹介したのが、血液中の白血球の数だ。避難指示区域にならなかった福島市内のサルについては、外部被ばくは年間数ミリシーベルト程度の積算線量にとどまるうえ、内部被曝量も10ミリグレイ程度にとどまるとみられると羽山教授は見ている。にもかかわらず、ニホンザルの正常範囲より白血球数、赤血球数とも減少しており、白血球は大幅に減少していた。

「特に気になったのが2011年3月の原発事故以降に生まれた子どものサル(0~1歳)。汚染レベルと相関するように白血球の数が減っている。造血機能への影響が出ているのではないかと思われる」(羽山教授)という。

シンポジウム終盤の討論で羽山教授はこうも語った。

「本日の講演内容がにわかに人間の健康への研究に役に立つかはわからない。ただし、現在の福島市内のサルの被曝状況は、チェルノブイリの子どもたちとほぼ同じ水準。チェルノブイリの子どもたちに見られる現象がニホンザルにも起こったことが明らかにできればと考えている」

http://toyokeizai.net/articles/-/13516?page=5
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「清明節は過ぎぬ」 2013年4月8日(月) No.615

2013-04-08 20:14:49 | 中国事情
今年の清明節は4月4日、休みは4(木)・5(金)・6(土)の3日間だった。
毎年文句を言っているが、また今年も言う。
なぜ3日間の休みの翌日の日曜日を振り変え授業日にするのかヽ(`Д´)ノ
祝日は祝日、日曜日は日曜日だろう!

昨日、日曜日なのに授業をしに麦路園に出かけた。
うららかな春の日曜日、
散歩で出かけるなら嬉しいが、授業だよ。
日曜日に登校とか仕事をするなど、どうしても理不尽に思う。
日曜は休みというリズムが体内に出来上がっているからだ。

以前、小学校で働いていたとき
「日曜参観」というのがあって、
もんのすご~くイヤだった。
基本的人権が踏みにじられているぐらいの嫌悪感だ。
その翌日(月曜日)は代休で、
「普段は仕事で行けない役所や銀行に行けるからいいわ~」
と言う同僚もいたが、
私は日曜日は休みたい。
そして、何を隠そう「毎日が日曜日」が理想だ。

祝日の休みを日曜日でケチくさく取り返さないこと。
祝日と祝日のあいだの日は休日であること。
日本が世界に誇れることはそう多くないが、
これはその一つだと声を大にして言いたい。

月曜日の今日、授業がないので宿舎でひらすら作文チェックしていたら、
3年の劉えいさんが、清明節に帰ってお母さんと作ったという
蓬(ヨモギ)入りの緑の皮で包んだ菜を持ってきてくれた。
私は野草で一番好きなのがヨモギだ。
あの香り、葉っぱ、子供の頃から大好きだ。

夕食にそのうち3つだけ蒸して食べた。
素敵なご馳走だった♡
残りはお客さんが今度来るので、そのときのお楽しみに取っておくことにする。
劉えいさん、そしてお母さん、ホントに謝謝!
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「三年生が大怪我」 2013年4月7日(日) No.614

2013-04-07 16:14:08 | 中国事情
3月初めからこっち、あれこれいっぺんに押し寄せてきて、
31日の大酒がそれにトドメを刺し、体調不良のまま推移している。
しかし、それは呑気な愚痴と言うもの。

私がドタバタしている間に、
三年生の閻ホウジョさんが大怪我で入院してしまった。
外国語学院主催の日本語学科・英語学科合同バスケットボール大会決勝戦でのことだ。
男女混合チームの主力選手の一人である閻さんは、
転倒して倒れた際、腰を強打した。
ミニバスで搬送された江西省人民病院で脊椎圧迫骨折と診断され、
2週間は安静入院、退院してもなおしばらく寮の部屋で安静に寝ていなければならない。
一般的に治癒まで2~3ヶ月かかるそうだ。

閻さんの実家は天津市に属する農村にあり、ご両親は山東省に出稼ぎに行っている。
今回中国の医療保険制度について分かったのは、
他の省に出て病気やケガをした場合、医療保険は適応されないということだ。
両親がせっかく払ってきた天津市への医療保険代は、
天津市管内のみで有効で、ここ江西省では全額自費負担だという。
何とまあ呆れた制度だ!
一日500元の入院費+検査代で2週間だと1万元はするという。
出稼ぎ労働者の賃金は特別の技術者でない限り、1ヶ月2000元~3000元程度。
昨年、閻さんのお父さんは工事現場の料理人をしていた。
今年も同じかは分からないが、特別職ではないだろう。
昨年の夏休み、彼女はお父さんの現場で料理人助手としてアルバイトし、
稼いだお金を全額お父さんに渡してきた子だ。
入院代のことを考えると暗い気持ちになる。
〈年次報告書記載の2011年データによると、出稼ぎ労働者の1カ月の平均賃金は前年比で406元増加し2253元。:中国の国家人口・計画生育委員会の最新年次報告書 2012年 08月 20日 REUTERS〉

しかし、万事休すではない。
大学入学時に学生は強制的に保険に加入させられる。
それが今回の入院費の50%をカバーしてくれるという。
更に別の(本来なら任意の)保険会社にも強制的に加入させられているので、
書類さえ揃えば、残りの50%も何とかなりそうだ。
しかし、問題は病院がそれぞれの保険機関に支払い証明書を発行するのを拒否しているということだ。
(1枚しか発行しないと言って)
全く、融通の効かない国だと、こういう時思う。

今、朱小紅先生と3年のクラスメートをはじめ、日本語学科ファミリーは
ガッチリスクラムを組んで閻ホウジョ介護体制を築いている。
朱先生はしょっちゅう病院に行き、
クラスメートは毎日交代で夜も看護に当たっている。
江財大日本語学科は、いい。





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「ボブ=ディランのラジオ」 2013年4月6日(土)No.613

2013-04-06 21:55:03 | その他情報
世界は近くなったなあ。
アメリカのボブがラジオで喋り、
それが東京で放送され、
さらに中国までパスされるなんてねえ。
ここ一週間、心身とも元気喪失のワタシに
今日、何よりのお知らせが東京在住のテルヨさんから届き、
かなり嬉しい。
てか、非常に嬉しい!ワハハ
ちなみにワタシは、シアトルで1回、大阪で1回、
生ディランのショーを観た。
シアトルのショーは観客も含め、とても面白かった。
大阪でのディランは神様扱いして泣いている人がいた
と一緒に行ったムスメが言っていた。

↓テルヨさんのメール↓
このようなラジオが東京はインターFMで始まりました。
ご存知でしょうか。
とりあえず、第1回目を録音しました!
器用ではないので時間は少しかかると思いますが、
CDや音楽ファイルなどの何らかの形にして
中国にお住まいのブルーはーとさんのところへ届けられたらなぁと思っています!


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


毎週木曜日 20時~は、ボブ・ディランがDJとして登場!
2006年から2009年にかけてアメリカの衛星ラジオで合計100回、
ボブ・ディランがDJを担当したこの番組は、毎回1時間、
日常的なテーマ (母、天気、酒、挨拶等々)に沿って、
アメリカのルーツ・ミュージックを中心に本人が選曲し、
自分のコレクションからかけるのが大きな特徴です。
今どき珍しい実に古風なラジオ番組です。
初回のテーマは、"Weather(天気)" 。
また、全編英語の本編が終わった後、
ピーター・バラカンがその日の話を日本語で要約し、
番組ではかからない本人の音楽も紹介します。
http://www.interfm.co.jp/bobdylan/

How to enjoy InterFM
~InterFMの聴き方~
https://www.facebook.com/761interfm/notes
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「乙武ジョークは誰かを傷つけるか」 2013年4月5日(金)No.612

2013-04-05 20:24:16 | 日記
No.610の「手足が生えてきた」というエイプリルフールの乙武ジョークに対して、
「笑えない」さんが
「 本人自身による自虐ジョークだったとしても不快。
有名人である乙武氏の自虐ネタですべての障害をもつ人たちが同一視される危惧を憂いる。」
と書き込みしていた。

この言葉を思い出すたびにイライラして不快になる。
どうしてか。
直感的にこの人は差別者だと感じるのだ。
それを分析してみようと思う。

乙武さんは手足がない「障がい者」である。
その乙武さんが
「自分の手足が今頃(ようやく?)生えてきた。あ、ウソでした~。」
という冗談を言った時、この人は「自虐」と決め付けている。
自虐」には「自分で自分を痛めつけること」(三省堂・大辞林)
自分自身を傷つけ、虐げることを意味する語。特に自分を貶めることで笑いをとるネタを自虐ネタと言う。」(実用日本語表現辞典)
貶める(おとしめる)」は三省堂の大辞林によると
(1)自分より劣った者とみなす。みさげる。さげすむ。軽蔑する。
(2)下落させる。
この場合は(1)劣った者とみなす。あたりがピッタリくる。

つまり「笑えない」さんは、まず、
「乙武さんは自分で自分を劣った者とすることで笑いをとっている。」と決め付けている。
昨日のブログの乙武さんの言葉集を読むと
(自分の身体には手足がない)という事実を常に常に感じて生きていることは痛切に分かる。
しかし、乙武さんが自分(または自分の身体)を劣った者(もの)と思っているとは、
どこを読んでもうかがい知ることができない。

「笑えない」さんが「自虐ジョーク」だと決め付ける根拠は
乙武さん(または乙武さんのの身体)を劣った者(もの)としているところのものである。
何を隠そう、それは「笑えない」さんの心の中にある。
乙武さんには全くそれがないのだから、どこにあるかと探れば、
自ずと「笑えない」さんは自分の心の「障がい者=劣った者」という認識に行き着くはずだ。

しかも「笑えない」さんは自分の心をごまかすために、
「自分は弱い障がい者の側に立って、有名で強くて傲慢な乙武を批判している」
という正義の味方面(づら)をしているのが、
私のイライラ感を募らせるのである。

聞きたいのだが、この乙武エイプリルジョークで
傷ついた人がいるのだろうか。
「笑えない」さんの文の後半部分
「乙武氏の自虐ネタですべての障害をもつ人たちが同一視される危惧を憂いる。」
は、誰によって同一視されるのか、
また、同一視する人たちに対して、同一視することが間違いだとなぜ言えないのか、
この短くて主語が分からん曖昧でもったいぶった言葉には、
差別者の悪意が感じられる。
こういう人、本当に嫌だな。











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「乙武さんの明るい『自虐』ツイートまとめ」 2013年4月4日(木) No.611

2013-04-05 00:05:36 | その他情報
〈乙武さんがツイッターで発言したものをまとめた〉というものを見つけた。
catch-the-futureさんによるもので、
「乙武さんの明るい自虐ツイートまとめ」というタイトルがついている。
その中で乙武さんの立ち位置が分かると思えるものを転載。
私にはどの発言も自虐的とは到底思えない。
(乙武洋匡さんの発言は太字)

乙武 洋匡@h_ototake
いや、俺に手足が生えたら、かえって戦闘力が落ちる気がする(笑)
RT @JUNKS_81: 鬼に金棒、虎に翼と同じ意味で、乙武さんに手足って思い付いた。怒られるよなぁ…(-_-;)
2012.11.05 18:19

乙武 洋匡@h_ototake
何の反論もないよ。オレの身体も、すっごいイケてるから。
2012.10.10 23:00

乙武 洋匡@h_ototake
「エロい障害者はすでに乙武さんが…」とのリプが殺到中ww
RT @h_ototake: コワモテの障害者、酔いどれの障害者、エロい障害者など、もっといろいろな人がいることを伝えていただけたら。 2012.10.03 11:53


RT @RD__: 乙武さんにとっての逆境とは、どの様な状況ですか?
RT @h_ototake: 逆境ってワクワクするもんなあ。
RT 逆境、それはその人に与えられた尊い試練であり、この境涯に鍛えられてきた人はまことに強靱である。 (松下幸之助)
2012.07.30 12:39

乙武 洋匡@h_ototake
みんな、忘れ物はしちゃダメだぜぇ。小学校で担任やってたときは、いつも子どもたちにそう言ってたんだぜぇ。だけど、よく考えたら、先生はもっと大きな忘れ物をしていることに気づいたぜぇ。なんと、お母さんのお腹のなかに、手と足を忘れてきちゃったんだぜぇ。ワイルドだろ~
2012.05.10 17:46

乙武 洋匡@h_ototake
だから、二股しようにも、足がないんだってば。
2012.05.01 14:36 塩谷瞬のネタに二股ネタ関して

乙武 洋匡@h_ototake
たとえばカラダ偏差値みたいなものがあったら、僕は間違いなく全国最下位レベル。だけど、毎日が楽しい。それは、カラダという要素ではないところで勝負できてるから。学力の偏差値だけで人を評価することが、いかに無意味かという茂木先生の考えと共通するのは、きっとそんなところだと思うんだ。
2012.05.21 17:14

乙武 洋匡@h_ototake
小学生は、よく腕を折りたたんで服のなかにしまい、「乙武先生!」とかいってマネしてましたよ(笑) 2010.11.21 23:43

http://matome.naver.jp/odai/2133766751227002601






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「乙武洋匡『手足が生えてきた』エイプリルフールjoke」2013年4月3日(水) No.610

2013-04-03 22:38:57 | 日記
乙武洋匡『手足が生えてきた』
だけ、最初見て
(ええっ!そりゃすごい)と驚いたが、そのあとに
「エイプリル・フール」という文字を認め、
(そっかあ、日本はエイプリルフールだったんだ)と思い出した。

乙武さんらしいかっ飛ばし方だと思う。
彼の写真の顔とこの言葉は本当にマッチしている。
私は乙武さんのギャグが好きだ。

先日、3年生のミニスピーチで林らんさんが乙武さんを
引き合いにに出して
「健常者でも自分は弱い。しかし、人生は積極的に生きたい」と言っていたり、
張発えんさんが、以前本の紹介で「五体不満足」を
クラスメートに紹介したりしていたので、
財大日本語学科の3年生にはお馴染みの人だ。

で、この「手足が生えてきた」ギャグに対して
コメントが2つあった。

「46万円恵んで欲しい僧侶」2013/4/ 1 20:09
乙武さん、繊細なのにタフなメンタリティーに、いつも圧倒されるわ!
ありがとう! (^人^)

②「笑えない」2013/4/ 3 01:38
本人自身による自虐ジョークだったとしても不快。
有名人である乙武氏の自虐ネタですべての障害をもつ人たちが同一視される危惧を憂いる。


また始まった。「自虐」だって。
こういうこと言う人の傍にいたくないな。
②の「笑えない」さんは、障害者だろうか。
そして、乙武さんのように手足がない人なのだろうか。
もし健常者だとしたら
カチカチに凝り固まった考えの人で、
現実の生き生きした人間を無視しているとしか思えない。
乙武さんは自分の身体を卑下したりしていない伸びやか思考の人だから、
このジョークが光っているのだ。

「すべての障害を持つ人が同一視される」」って
何と同一視されるのかサッパリ分からない。
乙武さんとは誰も同一視しないだろう。
彼は彼、あんな個性の持ち主はそんじょそこらにはいない。
「笑えない」さんの頭の中では、
まず言葉が固定的に位置づけられていて、
それに人間を合わせている気がする。

以前長谷川きよしが「めくら自慢」というタイトルの本を出したとき、
「これは視力障害者差別の言葉だからいくら本人でも使うべきではない」
という非難が噴出したが、
長谷川きよしは「自分が自分のことを『めくら』と言って何が悪い。」
と反論していた。

これ、ちょっと明日に続けよう。
今、カレー作っているからね~。





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『西原理恵子×月乃光司ののおサケについてのまじめな話』 2013年4月2日(火) No.609

2013-04-02 19:38:48 | 
日曜日、近所のコウさんのお家に招待され、そこでお酒を飲んだ。
たいへん多くの量をいただき、この2日間はひどい二日酔いだった。
昨日、ベッドで繰り返し、くりかえし、
(これからは清く、正しく、美しい胃腸を抱えて生きていこう。
この洗浄が終わったら、もう一滴も酒なんぞ飲まないぞ~~)
とヘロヘロしながら心に誓うのだった。

中国人はお酒に強い。
て言うか、その席にはお酒に強い中国人ばかり集合していたのだ。
イヤハヤ、私など足元にも及びませんでした。
(あの集団の中で生き延びる道は、ただの一滴も飲まないことだ)
とベッドの中で悶え苦しみながら、私は悟った。

ホントに真面目にお酒をやめる。
その決意をもって以下の書評を掲載させていただく。


(文・藤田正)
書評:西原理恵子、月乃光司著
『西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話』 
毎週、アルコール依存症の病院に出かける。
依存症の先輩が入院しているからだ。
彼の病気が顕在化して数年、
その間、床に汚物をたれ流し老木ような姿で死を迎えんとしていた
先輩を発見したこともあった。
酔って激しく転倒し緊急入院させたことも。
その経験から言わせていただく。
現代における最悪のドラッグはアルコールである。

MDMAだか押尾学だか知らないが、
(亡くなった方の悲劇は別として)あんな事件、
飲酒に関わる深刻なトラブルからすればちゃんちゃらおかしい。
なにしろ依存症者が二三〇万人を超え、予備軍が一五〇〇万人もいるのだ
(先日出かけた家族のためのセミナーで、
専門医がこんな恐ろしい数字を紹介してくれたのでした)。

アルコールは依存性の強い薬物であるという知識も一般的ではないし、
酒は二四時間、百円単位でいくらでも買える。
酔えば酔ったで「いい加減にしないと、カラダこわすよ(笑)」
といった程度の会話で終わってしまう。
アルコールは少しずつ心身を蝕み、
周囲の家族をも文字通り破壊する。
ぼくのような酒好き人間の中には
「オレも依存症ですから」と言いながらグラスを傾ける人がたくさんいるけど、
その結末とは…。
 
『西原理恵子×月乃光司の
おサケについてのまじめな話』小学館

本書は、漫画家であると同時に、
アルコール依存症に関する啓発に取り組む西原理恵子(さいばら・りえこ)と、
かつて依存症者として地獄を見たパフォーマー、月乃光司(つきの・こうじ)が
自己の体験をもとに
「その恐ろしさ」「常識の間違い」「対応の仕方」「助け合いの方法」などを
紹介する百ページほどの、いわばベイシックなガイドブックである。

月乃が、周囲に迷惑をかけまくった旧当事者であり、
一方の西原は、依存症のダンナ(故人)に迷惑をかけられた
妻・家族の代表として登場する。

本書の最大のテーマ、そしてメッセージは
「アルコール依存症は病気である」ということだ。
まずこの認識が、ぼくも最初はできなかった。
彼・彼女はただ酒が好きで、だらしなく飲んでいるのではない。
病がそうさせている。
病であれば専門の病院に出向くことが第一だが、本人も家族もその知識がない、
あるいは認めることができない。

アルコール依存症が、社会性を伴う、相当にやっかいなものであることを、
西原と月乃は分りやすい言葉で伝えていく。
「アルコール依存症は、自分の意志では飲酒をコントロールできなくなる病気です」
「ある日その人にだけ、お酒が覚醒剤になってしまう病気」(共に西原の文章から)

しかし、酒で内臓を悪くしても、内科医の一部は、
問題の根っこを担当する精神科医との連携をはかろうとはしない。
そして、暴力をふるい、仕事に大きな支障をきたすようになった夫や子に対して、
家族は憎しみだけが増加する。
読み進めば、優しい言葉ばかりの本書の裏側に
現代社会の暗部が張り付いていることもわかってくる。

若い頃、大量の酒や精神安定剤を飲み続け、
自殺未遂事件や交通事故を繰り返したという月乃が、
よくぞ酒という悪魔を(現時点では)振り切れたものだと思う。
専門の医療機関、自助グループの協力なくして今の月乃はありえないが、
当人の大変な努力には頭が下がる。

西原は言う「(私が後悔しているのは夫を)
もうちょっと早く離婚して、捨ててあげれば」良かったと。
依存の反対は自立。悪魔を見切るのは当人だけ。
妻として最大の愛がここに見える。
つくづく心に響く、小さな本だ。

 本体価格、933円。
http://www.beats21.com/ar/A10101001.html

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「最近の中国スナップ」 2013年4月1日(月) No.608

2013-04-01 16:52:48 | 中国事情
昨日・今日と体調が優れない。
取りあえずホッとする系の写真で心身をなだめよう。
(写真・「動物の親子?」を除く解説は全て「一日一分中国語ニュース」より転載)

「春の耕作で忙しいチベット族の農村」

《新华网2013.03.20より一部抜粋》
3月、四川省阿坝藏族羌族自治州の広大な土地で農牧民たちは忙しい春の耕作の生産段階に入った。

「気温が徐々に上昇する街頭 郊外は春の遠足で賑わう」

《新华网 2013.03.11より一部抜粋》
3月10日、贵州省平坝县の農場のとても広い桜園の中で、父親が子どもと遊んでいる。

「菜の花で春の始まりを迎える」

《新华网 2013.03.06より一部抜粋》
3月5日、広西省融安县长安镇大坡村で、小学生が菜の花畑を通って下校している。

「210人が働く大農場」

《新华网2013.03.25より一部抜粋》
3月22日、スタッフが生花を摘み取っている。
ユリ、ガーベラ、白菊などの品種が栽培されており、
日本や韓国へ輸出され、1500万元の営業収入をあげている。

「中国での夢」

《新华网2013.03.25より一部抜粋》
最近中国とアフリカの結びつきが日に日に強くなっているが、
これはアフリカ人の比較的多い広州市でのスナップ。
小北路のマーケット内で、数名のアフリカ人の婦人と子どもが果物を買っている。


「動物の親子?」

《人民网2013.03.31より一部抜粋》
ひよこは生まれて初めて見る動くものを自分の母親だと信じるそうだ。
犬の「お母さん」も寛容だな。

http://study.super-chinese.com/news/201304/20130401.html?mm
コメント (2)
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