「爸爸去哪儿(お父さんどこに行くの)」からのいくつかのシーン。
「爸爸去哪儿(お父さんどこに行くの)」という中国の人気番組がある。
5人の男性スターがそれぞれ自分の子どもと田舎に行き、
不自由な暮らしを体験するなかで親子の絆を確認するというものだ。
高度経済成長という社会の激動と「一人っ子政策」が相乗し、
中国では「今どきの育児はどうあるべきか」が深刻な社会問題になっている。
普段、親子の交流が少ないスターのお父さんが
ひっくり返ってふてくされる自分の子どもに対して
ビクビク・おどおど仕えるのを見て、腹が立って仕方がなかったが、
学生の中には
「子どもたちはまだ未熟なので、あれくらいの我が儘は仕方ありません。
可愛いじゃないですか。」
という意見もある。ワタシは心が狭いのだろうか。
「育児はどうあるべきか」は
この前の校内日本語コーナーのトピックに取り上げられたものだが、
おもしろそうなので意見文のテーマにしてみた。
「厳しく育てるべきだ」「いや、優しい友達のように接するべきだ」と、
多くの意見が分かれた。
その中で、それにしてもこれは酷いという事件に触れたものがあった。
「ある若者が留学したのだが、仕送りのお金が少ないのに腹を立て、
帰国した後、そのことで母親を殺した。」というものだ。
この事件は中国中を愕然とさせたそうだが、
よくある育児問題として挙げられていたものに、
祖父母の孫に対する過度な甘やかしがある。これは結構多いようだ。
例えば、こんな事例があった。
「お祖母さんが孫に
『お昼、学校から帰ってきたら何が食べたい?準備しておくから言ってね。』
と言うと、孫が
『ラーメンがいい。』
と言って学校に行った。
昼に孫が帰って来たのでお祖母さんがいそいそとラーメンを作ったところ、孫は
『ラーメンなんか食べたくないわ。やっぱり炒飯にして。』
と前言を翻した。お祖母さんは
『ああ、そうかい。じゃ、炒飯を作ってあげるからちょっと待っててね。』
と、大急ぎで炒飯を作って孫に差し出した。すると、孫は
『ああ、やっぱりラーメンにするわ。
お祖母ちゃん、ラーメンもう一度作って!』と言う。
一事が万事これなので、近所の人がそんなに甘やかしてはいけないと忠告すると、
そのお祖母さんはこう答えた。
『あんたたち、少しは私の気持ちも考えてみてよ。
祖母にとって孫がどんなに可愛いか分からないのかい?
私はこの可愛い孫のためなら何でもしてあげるよ。』……。」
という内容だった。
続いて「実は、このような事例はそんなに珍しくない。」
と書いてある。
読者の皆さんが(そんな極端な…)と思ってくれるのを期待しているのだが、
案外、皆さんの周囲にもよくあることだったりして……。
日本国内で、我が儘な子どもや我が儘させ放題な親・祖父母を見るたびに
私は吐き気をもよおしたものだが、中国も負けていないようだ。
日本の我が儘っ子と中国の我が儘っ子が一堂に会したら
どちらがハイレベルの我が儘性を発揮するか、
ちょっと試してみたらどうだろう。
いや、すぐに控えている祖父母や親同士が掴み合いの喧嘩をし始めそうだな。