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Brugge Style
herman the german friendship cake
午後、向かいの筋に住んでいるという女性がうちの呼び鈴を鳴らした。
そういえば引っ越し荷物搬入の最中、一番最初に声をかけてくれたマダムだ。
12歳になったばかりのうちの娘と同い年の坊ちゃんと、ひとつ下のお嬢ちゃんがおられるらしい。
「(引っ越し荷物搬入中)あなたの旦那さんに電話番号を渡したんだけど、最中だったからなくしちゃったんじゃないかしら?と思って...」と、アイスクリームの空き箱に入ったケーキのタネと、レシピと言うより取扱説明書をくれた。
ハーマンという名の「お友達ケーキ」のタネだそうである。
説明しよう。
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1日目から9日目まではコンロのそばなど暖かいところに保管しつつ、毎日空気を入れたり、砂糖その他を食べさせたりして成長させる。
9日目のタネはかなり膨れているので、これを4等分して1つは自分の手元に残し、後の3つはご近所や友だち、またお知り合いになりたい人にレシピとともに配る。
受け取った人は、それぞれこのタネを元に1日目からの手順でハーマンを育て、それぞれ9日目に3人に配る。
誰もが律儀に失敗せずに育てて配る作業を繰り返したとしたら、ハーマンに関わる人は9日目に4人、18日目に13人、27日目に40人、36日目に...と、とにかくすごい数字になる。たぶん何十日か目には英国中の人がハーマンを育てている計算になるだろう。
このように言葉は悪いがネズミ講のような、いや、不幸の、いや失言、幸運の手紙のようなケーキなのである!
媒体が紙切れやメールではなく、生きているハーマンである、というところが妙に人の義務感をかりたてる。もしハーマンをネグレクトして殺してしまったならばいやな後味がする...
それにタネをくれた人にその後の報告も欠かせないだろうしさ...おいしく頂きました、だけではすまないだろう(笑)。
(わたしが彼女の好意に感謝していることは明言しておく)。
ちなみに10日目には4分の一手元に残ったタネにバターや粉やシナモンやレーズンなどを加えて焼く。
こんな生きた幸運の手紙がこの世に存在するなんて想像もできなかった。本当にドイツの発明なのかはかなり疑わしいけど、ドイツ人...(笑)。
ハーマンを焼いたら報告いたします。
あ、9日目に4等分にしたタネが欲しい方はご一報下さい(笑)。
*幸運の手紙を知らない人はいないと思うが、昭和にはそういうゲームがあった(今はメールを使うらしい)。
例えばわたしが知り合い4人に「この手紙のコピーを1週間以内に4人の友だちに送って下さい。そうすればあなたは幸せになれます。幸せの輪を広げましょう!」と書いたハガキかなんかを送る。「1週間以内に4人の友だちに送ったらあなたは幸せになれますが、もし送らなかったら不幸になります...」と書くのも忘れずに(笑)。イヤなゲームだ。
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