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Brugge Style
sweet dreams are made of this
高校生のとき、アニー・レノックス(あれはユーリズミックス時代)の大大大ファンだった。
わたしが女子校の高校生だった頃は、ジャパンを筆頭にデュラン・デュランやカルチャー・クラブなどのニューロマンティック系が流行りに流行り、校則で所持禁止の漫画「エイトビート・ギャグ」をこっそり閲覧しては突っ込みを競い、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」を日本語に訳したまえと若い英国人聖職者に強要して赤面させたり(ええ、立派なセクハラですね)、そういうことをしてはゲラゲラ笑って楽しんでいた時期で、ひっきょう、英国は少女達の憧れの国だった。
そういうことを思い出すと、今自分が英国に住んでいるのは感慨深い。
そんな中でわたしは美形の男性ミュージシャンよりもアニーが一番好きだった。超仲良しだったMを始め、アニーファンは少なくなかった(Mはストッキング着脱時に手袋をはめるような人で、また大変な美人だった)。
「sweet dreams are made of this... この 'this' って何?」
「この場合は漠然と”これ”でいいんちゃう?」
「でも何なん?何を指してるんやと思う?」
「すべて、ちゃうかな」
「でもすべてちゃうやん、限定的に”これ”やん」
「いや、だからー、何かが腑に落ちて確信してそれで「ああーそうかー」とか思う瞬間あるやん?そういうことのすべて」
「あーそうかー。 ...あっ?これや!これなんや!」
楽しい時代だった(笑)。
去年、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でアニー・レノックスの展覧会をしていた期間はちょうどベルギー英国間移動の諸作業真っ最中、わたしには珍しく常にドタバタの日々が続き、そしてついに行けなかった...
ユーロスターの車内誌に展覧会の様子と彼女へのインタビューが掲載されているのをぎりぎり歯がみしながら読んだのを覚えている。
“When I perform I create a sort of exaggerated persona that serves the song”
(パフォーマンスをする時、私はその曲に仕える大げさなペルソナを創るのです)
ああ、アニー...
パスポート、つまりは「旅」のことを考えただけでこんなに寄り道をしてしまった。
そうなのだ、11月の末から英国イミグレーション当局に取り上げられていたパスポートが戻ってくるという情報が入ったのだ。
先週、弁護士から「ビザ審査は終了しているので、後1週間から10日で手元に届くだろう」と連絡が来た時にわたしが一番にしたのはカリブ海の小さな島(セント・バーソロミューに行きたい)のホテルを探し、カミュの「転落」の主人公クラマンスが酒場でしゃべる旅の話を思い出し、Sweet Dreams を口ずさみしたことだった。
I travel the world and the seven seas...
ここからアニーに繋がるわけです(笑)。
あれ、でもおかしいな、あの連絡からすでに一週間経ってる(笑)。
手元に現物を見るまではハナシはハナシで100パーセントアテにしてはいけない、というのはヨーロッパ在住の重要な心構えなのだが。早まったかな?
わたしのステイタスは、英国に自由に出入りし滞在就労の自由があるEU市民の家族としてで、この身分から英国のレジデンスカードを取得するのは今の時点で6ヶ月から1年かかるらしいと在英日本大使館から聞かされていた。で、ちょうどぴったり6ヶ月かかった。
この間、何度夫に「英国なんか住みたくないし、パスポート返してもらって。わたしはもう出て行く」と言っただろう。
これでわたしは晴れて七つの海を旅することができるのだ!
まだパスポート現物は見ていないが(笑)。
夢は「これ」でできているのです。
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