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raven girl

アメリカの作家、 オードリー・ニッフェルガー(Audrey Niffenegger)による「ダークな童話」が原作の異種婚姻譚だ。
「ダークな童話」とあちこちで解説されているのは、例えばグリム童話などに採集された民話は、基本的に残虐さや性描写にあふれており、その系統ということか。
以下話の筋書きが含まれます。
人間の男性とカラスの間に生まれた少女が、性同一性障害ならぬ、種同一性障害に悩み(カラスの心を持ちながら人間の体に囚われている状態だという)、手首を切り落としてカラスの羽をもらうという選択をする。その後、カラスの王子と結ばれハッピーエンド...
と、観客は(少なくともわたしは)ありきたりな価値観を破壊されて宙ぶらりんに取り残されるという大変魅力的な話。
全体の語り口が少々ばらけているような気がし、ただ物語を最初から最後まで淡々と舞踏で語るのではなく、どこかにもっとフォーカスしたほうがよりよい「物語バレエ」になるのではないかと思ったが、グリム以前の、善悪の判断なしに話を丸ごと受け入れろと要求してくる素朴な民話を舞台芸術で語る、という行為を重視するならこれでいいのかもしれない。
他にはカラスのコスチュームが素晴らしいと思った。特にマスク!
サラ・ラム、先日はこのように批判したが、やはりすごいダンサーである。
人間の脳は、身体よりも自分のほうがずっとインテリジェントだと思っているが、脳が解釈を始めるよりも前に身体が優れた解釈を下して動き始めていて...
実は身体のほうがずっとインテリジェントなのである。
カラス少女も、彼女の身体が「カラスになる」という判断を下したのだ、きっと。
(写真はthegardian.comより)
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