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Brugge Style
発泡性ワインの故郷、リムー
リムー(Limoux)に8世紀に築かれたベネディクト派修道院。
当初、聖サトゥルマンに捧げられた修道院は、10世紀にカルカッソンヌ伯の意向で聖ヒラリー(6世紀のカルカッソンヌ司教)を祀るようになった。
安定した運営は13世紀以降、100年戦争、ペスト禍、飢饉などの煽りをうけて徐々に傾き始める。
が、特筆すべきは1531年、聖ヒラリー修道院の修道士らが世界で初めての発泡性ワインを発見し、Blanquette de Limoux、リムーのブランシェットとして醸造、知られるようになったことだ。
伝説としては、かのドン・ペリニヨンが、こちらリムーの修道院の発泡性ワイン醸造法をシャンパーニュ地方に持ち出したのだと...
気持ちはわかる。
最初に発見したのはこちらだったのに、名誉はむこうに全部持っていかれたではないかという悔しさ。よくある話だ。
確かにドン・ペリニヨンはベネディクト会修道士ではある。しかし彼はシャンパーニュ地方のワインの質向上に努める過程で発泡性ワインの醸造に成功したのだそうで別ルートだ。
シャンパーニュの知性あふるる繊細さや優雅さには及ばなくとも、素直な発泡性ワインはこの土地が与える惜しみなく豊かな食卓に似合う。
以下、わたしの想像に過ぎないが。
南仏は土地が豊かだ。
悪名高きアルビジョワ十字軍の動機の一つは、豊かな南仏を配下に置くというフランス王の政治的野望であった。
ここではでぶどうを含めた農作物は掘っておいても育つ。ワインも安価でそこそこな質のものがいくらでも製造できる。
一方、シャンパーニュ地方を含む北方フランスでは、作物を含め、アルコールの製造なども苦心と研究と錯誤を重ねて製造するものであり、当然それは質の向上につながった、と...
翡翠のように美しいぶどうはMauzac。
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