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Brugge Style
ロンドンの、不器用なテラス席
前にもこんなことを書いた。
ヨーロッパ大陸には春夏秋冬季節を問わず、屋外で飲食を楽しむ習慣があるのに、海峡を隔てただけのこの島国にはそういう文化がない...と。
新型コロナ禍で変化した街の様子のひとつが、イングランドにもテラス席が増えたことだ。
こういうものは定着するまで何シーズンかかかるのかもしれず、ロンドンの上の写真のようなテラスもまだどこか不自然さと不器用さが漂うが、今月19日に英政府が予定している「新型コロナ禍規制全撤廃」の後も撤去されなければいいのになあ。
英国では昨日の数字で、成人の64%がワクチン接種を完了、86%が一回目の接種を済ませている。
デルタ種の感染が一日2万8000人超えと爆上がりしながらも、入院患者数と死者数が比較的少ないことから、政府は「コロナと共存」の道を選ぶ予定だ。
前マット・ハンコック保健相の跡を継いだサジド・ジャヴィド保健相は、一日あたりのコロナ新規感染者が、今月中には5万人、来月には10万人まで増える可能性もあると言いつつ、それでも経済と心身の健康のためにコロナとの共存を選び、ワクチンがあるからマスクもいらないのである、と、まるで「保険に入っているから、安全運転は心がけなくてもいいのである!」みたいなことを言った。
I thought Matt Hancock was the worst health minister ever...
やれやれ、さすが、バンカー出身の保健相である。
政府は去年12月に「世界で最初にワクチンを認可して接種し始めた国」と誇ったのと同じように「世界で初めて共存に成功した国」に、どうしてもなりたいのだろう。
ジョンソン英首相のモティベーションというのはその程度に見える。
その証拠に、何よりもまずはマスクの使用が撤廃される。なぜならば、「マスクなし」というのが一番絵になり、誰にでも非常に分かりやすいからだ。
わたしなんかは、以前は決してマスク着用派ではなかったが、一番手軽で一番効果があるのがマスクで(ワクチン接種率が最も高いイスラエルでも再導入された)、社会的弱者を守るためにも最後まで残してもいいルールではないかと思う。
一方、「新型コロナなんかただの風邪」派、自分の強さをアッピールしたいマッチョ指向派には一番恥ずかしいのがマスクなのだろう。ビビりとか、ルールに諾々と思われるのが彼・彼女らには一番嫌なのだろうからして。
今までも、マスク着用が義務付けられた地下鉄の中や百貨店内でマスクをはずしている人に限って、大声で話してはガハガハ笑い、多くの人の注意をひいてはさらにうれしそうにする、というシーンをよく見かけた。
19日からは在宅勤務要請は解除され、ナイトクラブやコンサートなどの大規模イベントなども解禁され、ずっと続けられてきた賃金保証もフェイドアウト、上に書いた通り、マスクの着用も「個人の判断」となる。
今後は感染しても、後遺症に悩まされても、困窮しても、自己責任で! と言われているような...
つまり、飲食店は完全に屋内営業復帰となるので、屋外テラス席は原則必要ではなくなるのだ。
わたし個人は、もともと人混みが大の苦手で、美術館の展覧会や、ロイヤル・オペラ・ハウスなどの劇場系だけは今まで激混みでも出かけていたが、今後は考えると思う。
もちろんテラス席があるならテラス席に座りたいし、マスクも着用し続けるだろう。
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