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ルーヴル美術館・アブダビ




アラブ首長国連邦はアブダビにあるサディヤット島。

サディヤット島とはアラビア語で「幸せの島」だ。

ディストピアぽい名前...首長国連邦には「幸せ通り」とかそういう名称が多い。


そちらに浮かぶフランス人建築家・奇才ジャン・ヌーヴェルによるルーヴル美術館・アブダビ。

アラブ首長国連邦・フランス両国共同国家プロジェクトであり、前回アラブ首長国連邦を訪問した時、この館が建設中だった。
それ以来、わたしが「行きたいところ」リストのトップの一つであり、今回念願かなって訪れることができた。


豊かなアラブ首長国の中でも最も豊かなアブダビが金に物言わせ、知識豊かなガイド氏によると、毎年4000万ユーロ(48億円)をつぎ込んで作品を収集する。
対フランスへの支払いはトータルで10億ユーロ(1200億円)を超えるそうだ。これはわたしが事前に調べていた数字に合致する。

まず高額なのが、「ルーヴル」の名の権利。30年間で4億ユーロ(480億円)。 次にフランスのさまざまな美術館からの作品借用料で約2億ユーロ(240億円)だそう。

もえさん、芸術作品を見に行っているのに金の話ばっかり、と思われるかもしれないが、芸術作品に湯水のように金を使う層が存在するからこそ芸術作品は存在するのである。


ところで、ルーヴル・アブダビのコンセプトは「普遍」。 館の発行するパンフレットには「個別の文化・文明、時間空間を超えた人類共通の創造性、人間を団結させるもの」とある。




ヨルダン、アイン・ガザルで発見された約紀元前6500年前の双頭の像
人類が自分自身を模した最も古い像のひとつ


これはわたしがとても興味を持っている「われわれはどうやって人間になったか」の道しるべでもある。

なるほど、12ある展示室の展示方法はそのようになっており、中世ヨーロッパの聖母子の隣にコーランの絢爛な写本が展示してあったり、ソクラテスの横にボーディサトヴァがおられたりする。


一番人気はやはりレオナルド・ダ・ヴィンチによる、数百年前に描かれたはずなのにまだ彼女がそこにいるような気配さえする、まさに時空を超えた女性『ミラノの貴婦人の肖像』。

先日、レオナルド・ダ・ヴィンチ作品としてお墨付きとなった『救世主』は、オークションにかけられたのち個人コレクションとして行方が不明になっているが、いずれこちらで見られるのではないだろうかと淡い期待をしている。


しかしこの館の目玉はやはりジャン・ヌーヴェルによるハコそのものだろう。
最後の部屋を出て、写真上の中庭(中海?)に出るとそこは海。湿度100%? まるで湯の中をゆったりと歩いているかのような気がした。
天井からは漏れる光が星のようだ。

まるで海から出て来たばかりの人類を包んだような地球の様子。

もうこれは魔法なのである。

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