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Brugge Style
onegin, natalia osipova replaced by marianela nunez
こちらにも思わず書き飛ばしてしまったように、ロイヤル・バレエ『オネーギン』のオープニングナイト(1月18日)、タチアナ役のNatalia Osipovaの面目躍如っぷりはすばらしかった。
だから昨夜も彼女の回を楽しみにしていた人は絶対に多かったと思うのだが、数日前に病気で休演とのアナウンスがあり、その代役に立ったのはMarianela Nunez。
誰も文句はないに違いない。
そしてMarianela Nunezは期待を裏切ることもなく、ただただひたすら美しかった。
自分の手が届かないものに対する果てしない憧れ、ここではないどこか、これではない他の何か...を求めて叶わないタチアナを、腕の動きひとつ、目線の流し方ひとつで表現していて、心底うっとりとさせられた。
手が届かないものに対する果てしない憧れ、それはタチアナが取り憑かれたロマン主義の精神そのままなのである。
それにしても、Natalia Osipovaを相手役にオネーギン役を演じるためにソリストからファースト・ソリストに急遽格上げされたReece Clarkeの幸運よ。初めての大役オネーギン役でいきなりNatalia OsipovaとMarianela Nunezの二人とペアを組んで踊るなんて。プレッシャーもまた大きいだろう。しかし一般的にこういう場面で人は大きく成長する。
1幕目、2幕目は、まだオネーギンの役柄自体に取り作ったわざとらしいところがあり、前回よりも彼の演技が良くなっているのではと思ったのは束の間、3幕目にオネーギンが素になってタチアナにすがって行く場面は...
人生のはかなさ、癒されない悲しみ、永遠に失ってしまった何かを体現していたのはMarianela Nunezだけで、Reece Clarkeは踊るのが精一杯? という感じが否めなかった。
が、まだお若く、存在は美しく、何より長身から繰り出すリフトの高さや手の大きさは圧巻なので、ほんとうに今後を期待している。
(写真はNatalia OsipovaとReece Clarke、スタンダード紙から拝借。©Tristram Kenton)
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