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現代版「グランド・ツアー」





友達と2人で南欧へ周遊旅行へ旅立つ娘をヒースローまで送ってきた。

さしずめ現代版「グランド・ツアー」か。

『グランド・ツアーの全盛期は1660~1820年ごろ。当時の旅は莫大な費用がかかったため、特権階級だけのものだった。典型的な旅行者は、主に英国、北欧、そして北米の、大学を卒業したばかりの若い男性。ギリシャ、ラテン文学の正式な教育を受け、美術史への関心も持っていた。彼らには資金が豊富にあり、お目付け役が同行』

『グランド・ツアーは若者が親離れし、人格を形成する助けになっていたという』(以上7月18日ニッケイスタイルの記事より)

『当時文化的な先進国であったフランスとイタリアが主な目的地で、一種の修学旅行ともいえる。旅行というのが、おおよそ数か月から8年というのがヨーロッパの人たちにとって普通だった時代のものである』(ウィキペディアの「グランド・ツアー」の項目はおもしろいのでぜひ)


わたしは80年代に英映画「眺めのいい部屋」を見て、グランド・ツアーという一種の通過儀礼にとても興味を持った。
あの映画の舞台になったイタリアは、当時も今も絶大な人気がある。気候、自然、絵画、彫刻、建築、歴史、遺跡、音楽、食、買い物、魅力的な人たち、など全部揃った南の国。

当時の若者の間で文化的ナショナリズムが高揚したのも英国の外を見たからであり、英国庭園が発達したのも、英国の美術館にクロード・ロランの絵がまとまっているのも、グランドツアーの副産物だ。


いいなあ、グランド・ツアー。
移動は不自由でも、イタリアやエジプトを豪華なホテルに泊まりながら周遊し、夜はタキシードに着替える習慣。コネを駆使して見せてもらう個人の美術品コレクション。お目付役は高い教養のある人物で(トマス・ホッブズやアダム・スミスも同行したそうだ。うらやましすぎる)、どんな質問にも答えてくれ、視野を広げてくれただろう。

今は英語はどこでも通じる。移動手段も手頃ないい宿も増えた。カジュアルな服装で荷物も最小限。美術館は万人に開かれている。疑問はネットで調べられ、親にもすぐに連絡ができる。
これがいいのかどうかは分からないが、親の不安要素だけは少し減る。大天使ラファエルに守られるトビアスのように道中安全でありますように。


わたしもどこかに行きたいなあ。来週のバーミンガム一泊では外国に初めて来たようなフレッシュな気持ちで見て回ろう。
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