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アガメムノーンの黄金のマスク
トロイア戦争はギリシャ神話に属するが、科学的な年代的にはミケーネ文明のころ...
と昨日書いたので、ミケーネの遺跡を訪れた話などを。
上の写真の黄金のマスク、歴史の教科書で見覚えがありませんか?
一般に「アガメムノーンの黄金のマスク」と呼び方は定着している。
アガメムノーンは、ギリシア神話の英雄、ミケーネ王にして、トロイア遠征軍のギリシャ軍総帥であった。
トロイア遠征軍は、絶世の美女スパルタの女王ヘレネーを奪還するために編成されたのでしたね...(前回の記事)。
ちなみにアガメムノーンの妻は、ヘレネーの姉妹クリュタイムネーストラー。もちろん、もちろん彼女も美貌であったという。
このマスクは、1876年にシュリーマン(トロイアを発掘したあの人)が、ミケーネ遺跡の王墓から発見したマスクだ。
彼はこれを「アガメムノーンのマスク」だと散文的に呼称。しかし現代の研究によると、マスクの製作年代(紀元前16世紀ごろ)は、アガメムノンが活躍したとされるトロイア戦争(紀元前12世紀ごろ)の時期よりも古いと判っている。
とはいえ、王のデスマスクに相応しい優雅さで、文学的、ロマン的な観点から「アガメムノーンの黄金のマスク」で膾炙している。
上の写真はアテネの考古学博物館で撮影した本物。
ミケーネの考古学博物館にはレプリカが展示されている。
こちらはミケーネの要塞化された宮殿入り口の、あまりにも有名なあまりにも美しいライオンの門。
ミケーネ文明が存在した紀元前1600年から紀元前1100年頃は、ギリシャ本土で頻繁に戦争や侵略が発生した。
このため、ミケーネの都市は防衛を重視、城壁や要塞を築き、外敵からの攻撃に備えたという。
ちなみに、社会が好戦化すると、戦士階級が支配階層になる。当たり前だ。
これがさらに発展すると、家父長的な主神(男神)を頂点にした宗教体系が生まれるのだろう(実際のちのギリシャ神話の素地ができた)...
ミケーネ文明が影響を受けたクレタ島のミノア文明とは対照的なのがおもしろい。
ミノア文明は、天然の要塞である島に発展したというのもあるが、都市は開放的なつくりで、宗教は自然崇拝や女性の神々の崇拝だった。
巨石を用いた要塞化した宮殿...
こちらは、アガメムノーンの妻であり、スパルタの女王ヘレネーの姉妹であった「クリュタイムネストラーの墓」。
ミケーネの王族や有力貴族の墓は、トロス墓(蜂巣形墓)、地下に円形の部屋を掘り、上部をドーム状に積み上げたものである。
「アガメムノーンの黄金のマスク」と同じように、「クリュタイムネストラーの墓」と証明されているわけではなく、ミケーネ文明と『イリアス』などの登場人物を関連づける一環で名付けられたという。
まあ、クリュタイムネストラーが実在していたならばこのような王族のお墓に埋葬され、アガメムノーンが実在していたらこのような黄金のデスマスクを埋葬品にしただろうと。
永遠の命、再生を願って...
おまけ。
タコ柄、惹かれるぅ!
ミケーネは内陸の山間にあるが、タコの柄の壺が多い。
そのこころは、海に囲まれたミノア文明の影響、交易が盛んであったこと、タコは再生のシンボル(腕がちぎれても生えてくる)など...
渦巻モチーフ、数字の「8」の形、タコ、蛇...「再生」「永遠」がキーワード。
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