日本・ベルギー・英国 喫茶モエ営業中
Brugge Style
beef wellington
昨日の日曜日は英国も父の日だった。
ちなみにベルギーは先週末だった。
娘がとても英国っぽいメイン、ビーフ・ウェリントン(ゴードン・ラムゼイのレシピ。牛肉のマスタード、生ハム、マッシュルーム、パイ包み)と、フランス/ベルギーっぽいデザート、ブラジリアン(カスタードと生クリーム、ブラジリアン・ナッツのパイ。夫の子供時代の好物)を作って、ブカレスト出張から帰宅した父親をいたわった。
夏日で、キッチンではちょっと動くと汗が吹き出るほど暑く、パイ生地の扱いが難しかったようだが、なかなかうまくでき、日頃料理担当のわたしは驚いた。
彼女は「インストラクションに従うのは得意」なのだそうだ。
そうそう、独創性は子供時代に置いてきたよね...
わたしのせいかもしれない。
だから昨日も「メインもデザートも”パイ”というのはコースの組み立て的によくない」と口出ししそうになったのをやめておいた。
ビーフ・ウェリントンは英国料理の割に材料破壊的ではなく、繊細でバランスのとれた味...しかも簡単。
ゴードン・ラムゼイ、うるさいだけの男かと思っていたが見直したぞ。
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ケンジントン
先週、ロンドンのノース・ケンジントンの高層アパートメントで起きた火災は、今日(6月18日)の時点で死者58名以上と発表されているが、ゆうに100人を超える死者を出すのではないかと噂され、弱者を切り捨ててきた行政を非難する声が高まっている。
高級住宅街、サウス・ケンジントン(ヴィクトリア・アルバート博物館があるといえばわかりやすいだろうか。ハイド・パークとテムズ川の間)に隣接するノース・ケンジントンに観光客は足を踏み入れることはないだろう。わたしもない。
だからといって、貧しい移民が多いから住民のモラルが低いとか、そう思ってるわけでも決してない。
娘が行くと言ったら、阻止したいが阻止する正当な理由が見つからず絶句してしまう「スラムのイメージ」がつきまとう地域なのである。
英国はわたしが見た中でも最も階級差別の激しい国であり、格差も著しい。
英国人と移民の間にだけこの差があるのではなく、英国民の中にも日本人が聞いたらひっくりかえるような差別・格差がある。
わたしは今後、英国で階級が消滅するとは思わないし、ましてや人間社会から格差が消えることはないと思う。
しかしすぐに解消すべき格差もある。
格差には相対的格差と絶対的格差がある。
相対的格差は例えば、サウス・ケンジントンの友達はアストン・マーチンを乗り回しているが、ノース・ケンジントンの自分は車の維持すらできないとか、そういうことである。それは人それぞれの心の問題なので、決して解決することはできないだろう。
一方の絶対的貧困は、ある人たちが情報と機会と金から完全に遮断されているということで、即刻解消されなければならないのは当然、絶対的貧困の方だ。
サッチャー元首相によって促進されたネオリベラリズム(新自由主義)とは、グローバル化する新自由主義であり、国家間の格差や階級格差を激化させ、絶対的貧困(相対的貧困ではなく)層を増やす。
英国が市場を放任する自由主義であるのは20世紀になって始まったことではなく、英国が表舞台に躍り出たエリザベス一世の時代からのことだが、「当時の自由主義の時代は地球の裏側における奴隷貿易や奴隷制度を基盤としていたのである」。
世界システム論曰く世界中のエリアや国がどこも同時期に同レベルに繁栄することは決してない。
パイの大きさはあらかじめ決まっており、一つの国が9割をとるならば、残りの国は1割を分け合うしかないのだ。
つまり、「イギリスは工業化したのに、インドはまだ工業化していない、ではなく、イギリスが工業化したためにインドは『低開発化』され、工業化しにくくなったのである」
現在、大英帝国が世界に展開した植民地は消えたが、人が英国内に移動しただけで植民地的搾取は全くなくなっていないのだと実感した。
もちろん、サウス・ケンジントンが9割を取り、ノース・ケンジントンが残りの1割を分け合っているのである。
(引用はすべて川北稔著の「イギリス 繁栄のあとさき」から。わたし、川北先生の大ファンです。)
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conservatory
英国の一般的な家にはConservatory「温室」があることが多い。
今まで見た中でも、ほんの3畳くらいのから、キューガーデンにあるような巨大なもの、素材もプレハブ製から、ビクトリア朝に作られたらしい優雅なメタル製のものまで、英国人の家にはなくてはならない設備だと思う。
「温室」というと、小学校の校庭にあった植物を育てるグリーン・ハウスを思い浮かべるかもしれないが、どちらかというと気候の悪い土地で太陽の光と暖かさ、そして植物の成長を楽しむ第二のリビングルーム...
というような形で発達したのかと想像する。
サン・ルームといったほうが適切かもしれない。
辞書には
"a room with glass walls and a glass roof, usually connected to a house, used for growing plants or for relaxing in"
「ガラス製の壁と天井の、一般には家につながった形をした、植物を育てたりリラックスする部屋」
と定義してある。
おもしろいことに、ベルギーでコンサバトリー(仏語でコンセルバトワール)とは即「音楽・芸術学校」という意味だ。
元はもちろんラテン語で、「保存する」「保護する」という意味らしい。植物を育て保護する場所、人の才能を伸ばし育成する場所、なのだろうか。
追記:のちに知ったことによると、コンセルバトワールはイタリア語の「孤児院」、「コンセルバトーリオ」に発するらしい。
すでに16世紀には宗教教育の一環として音楽教育を施す孤児院があり、聖歌隊として活動していたとか。
で、うちにもその第二のリビンングルーム、コンサバトリーがあり、過度に機能的だ。すなわち太陽が出たらもう一気にここはモロッコかというくらい気温が上がる。
気温が上がるのはうれしいのだが、太陽光が直接当たろうものなら、ある種の植物の葉は一気にダメになるくらいの強烈さ。ユーカリやオリーブなど、強烈な太陽と乾燥を好むに違いない植物もほとんど毎晩水を欲しがるほど。
また、ここに置いたダイニングテーブルの椅子のクッションが日に焼けて色が変わるのに1ヶ月かからなかった。
広めでガラガラなので、ソファの類も入れたく、すぐに日に焼けてしまうという経験を含めて焼けても惜しくない値段の、しかしちょっとはましな家具を探し求めた。それがやっと届いたのが先週。
夕方からここに座るのは至福。
昼間は暑いのは風が通るので我慢できても、壁や窓枠の白色に反射する光がまぶしくてまぶしくて...
日が落ち着いてから、モロッコのミントティーなどを飲む。
ミントはここでごきげんに大量成長中。
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試験明けの開放感と言ったら...
先週いっぱいで娘のASレベル試験(大学入学資格試験)が終了!
娘のリクエストでエレーヌ・ダローズにお祝いに来た(昨夜の話ね)。
「Aレベル試験が終わったのでね、お祝い」とウェイター氏にニヤニヤ話したら、素敵なデザートを用意してくれた。
フランス人の彼はAレベル試験が何なのかご存じなく、とりあえずバカロレアのようなものと説明したのだった。
AレベルといえばGCSEも含めて、わたしも英国へ来るまでは知識ゼロだった。
上にも書いたように、Aレベル試験は大学入学資格試験のようなもので、この成績を元に学生は大学を志願し、大学は学生を取る。
もともとAレベルは、12年生終了時にASレベル、13年生終了時にA2レベル、合わせて「Aレベル」だったのだが、2015年以降ASが廃止され、13年生の終わりにA2を一回受験するのみになった。
しかし、娘の学校のように一部ではまだASを受験させている。
これがいいのか悪いのかわたしには全く分からない。
彼女は来年も引き続き、物理、生物、化学、ラテン語の4科目でA2を受験する予定だ。
そう、A2でも4科目...
以下は有用な情報だと思うので書いておく
近年、上位の人気大学を志願する場合、A2も4科目勉強するつもりでいたほうが望ましい模様。
ASは4科目で、A2は1科目落として3科目、という認識が広まっているものの、学部によっては4科目必須。可能なら検討して早くから準備すべし。
某大学の某コースでは、平均3.2個以上のA*が必要と言われましたもん!
ちなみに英国は高等学校卒業まで13年間、ベルギーなどは12年間。
この夏は9月から大学生になるベルギー人の同級生たちが遊びに来てくれるそうで、まぶしいなあ、この年頃!
試験が終わったとはいえ、特定の大学と学部が課すアサインメント(試験)も迫っており、娘は遊んではいられないのだが、月曜日からはオーケストラの集中練習が始まっている。
今回は彼女は指揮者を任されていて、一部ピアノを弾きながらの指揮。本人は「ペライヤみたい!」と喜んでいた。弾き振り、大丈夫なんだろうか...
このイベントに際して夫が特殊舞台照明のレンタルを発注(<ほんとうにするとは思わなかった)、楽しいイベントにはなりそう。
(写真はレストランが入っているコンノートホテル前の安藤忠雄氏の噴水作品。これはレストランからも見え、水のあるその風景がほんとうに好き。)
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