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薔薇は散っても




虎は死して皮を留め


......


6月24日に公開されたイングリッシュ・ナショナル・バレエのKenneth MacMillan Manon。48時間見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=zx7T5u6WRdk

Alina Cojocaruのマノン必見。
純ゆえに他人と自分の人生を狂わせる天使。
「アバズレ」と「純」にどう違いがあろうか。それは単に男性優位社会の視線にすぎない。
ベクデル・テストには絶対パスしないこと確実のこの作品(性差別的)、今後はもうこういった作品は作られないのかもしれない、と思うので載せます。
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ウィズレー王立園芸協会植物園へ





イングランドでの隔離生活は13週目。
昨日からまたとても夏らしくなった。

あまりにも天気がいいので、ロックダウン後初の外出を決行した。

今の段階で営業しているのは最低限必要な商店と、屋外のマーケット、店、行楽地...


目指したのは比較的近所のウィズレー王立園芸協会植物園だ。





権威ある王立園芸協会が運営する4つの植物園(Wisleyの他にHarlow Carr、Hyde Hall、Rosemoor)のひとつで、ロンドンの中心からは南へ40キロほどの場所にある。
高速の脇にあるので行きやすい。

その広さ60エーカー (243,000m²)、東京ドーム6個分。

薔薇園が終わってしまう前に行きたかったのと、ローズ・イスパハンが群生しているのを(これはガセネタをつかまされてしまったわけだが)見たかったのとで。





日向は30度にまでなり、日焼け止めはしっかり塗っていたものの、帽子を持たなかったのは後悔した...(新型コロナウイルスは紫外線に弱いらしいのでよしとしよう)

意外にも予約は最終時間しか取れず、駐車場は満車で、年齢層も非常に高い。
新型コロナ感染者は世界で見ると増加しているにもかかわらず、人々は「3ヶ月の隔離生活」が疫病収束の約束だったかのようにふるまっている。
大丈夫??





それにしてもこの時期のサリー州の美しさよ...

園内は手入れのされ方が尋常でなくすばらしい。多様性と調和。進化とは多様性の源。エデンはこういうところだったんだろうなあ!

次はスケッチブックを持って訪れて、絵葉書にしようかなと思っている。


ウィズレー王立園芸協会植物園は、新型コロナウイルス隔離生活13週間後で初めて出かけた場所として忘れないだろう。

次は藤の花咲く頃かな...





おまけ。 一番好きな薔薇はどれ? 
で、甲乙つけがたいが、わたしはAphrodite(上の写真)、Joie de Vivre、Remember、Burgandy Ice...いや、全部どれも好き!!
下は娘の好みMoody Blue。
わたしは黄色味の強いベージュトーンが好きで、娘は紫、青薔薇が好きだそう。

夫は娘の顔ほどもあるパステルイエローのGloriousが気に入ったとのこと。黄色の薔薇って...花言葉知っているのかしら。

そして苗で買って帰ったのはHot ChocolateとBoscobel。






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ナショナル・ギャラリーを想う



こちらナショナル・ギャラリーからトラファルガー広場を望む。
雨の灰色の日、ユニオンジャックの傘がいい。
この3月の日が、最後にナショナル・ギャラリーを訪れた日になった。



3月23日のロックダウン以来、イングランドでは先週、不要不急の商店が営業再開の運びとなった。

7月4日からはレストランやパブなどの営業が許可される予定で、ついに美術館、ギャラリー、映画館もここに加わる。
(以上、英国内イングランドの状況で、ウエールズ、スコットランド、アイルランドはまた別のレギュレーションがある)


あれほど足繁く通っていたロンドンの美術館。

ロンドンの美術館は特別展以外は無料で、それゆえにわたしは週に何度も、20分の空き時間とか、雨宿りとか、勉強する気になった日の6時間とか...

などという理由で、特にナショナルギャラリーへは頻繁に入れてもらっていた。ほんとうにありがたいことである。


なぜそんなに好きかというと、人間は「真理」(<他にいい言葉が見つからないので単に真理にします)や「宇宙の摂理」とかいうものには簡単に近づくことはできないが、ひとつひとつの芸術作品を「真理」への試みと考えると、最高の作品がこれでもかと納めてある美術館は「真理」への道標となる場所ではないかと。

図書館なんかもそうですね。

とにかく、「真理」という山の頂上へ近づくには何本ものルートが必要、ということなのです。
そのルートが集まっているのが美術館。


そんな空間の中を好き勝手にぐるぐると浮遊するのがロンドン近郊住まいの最大の功利だと思っているのだ。

早く行きたい、とは思わない。
一方通行制で、行きつ戻りつできないのならあまり惹かれない。美術館の展示を一方通行にしか見られないというのはナンセンス...とはいうものの、行くかな(笑)。



前回、特に見に行ったのはこちら。
パリでラファエロ版を見たばかりだったから...
たまたま改装中で閉館しているコートールド美術館所蔵のこちらがナショナルギャラリーで展示中だった。

バルダッサーレ・カスティリオーネ(『宮廷人』の著者。外交官)の肖像、ルーベンスがラファエロを模写したものだ。



ルーベンス(1625−28) コートールド・ギャラリー ナショナル・ギャラリーに貸し出し中




ラファエロ(1515) ルーヴル美術館


ラファエロの描いたカスティリオーネは、ラファエロの肖像画の最高傑作、もしもモナ・リザに並ぶ肖像画があるとすればこれ、と西岡文彦さんはおっしゃっている。わたしもそう思う。 
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桃いろのオールド・イングランド





雨上がり、雲の切れ間から天使が空から降りてきたのかと思った。

たえなる調べとともに。


この桃いろの薔薇にはWildeveワイルドイヴという名前がついている。
香りも桃のようだ...と言いたいのだが、キャンディの名品「小梅」のよう。


ワイルドイヴということは、平和と調和のもと、エデンの園に暮らしていたころの無知で無垢なイヴのことか。

彼女は、神から食べることを禁じられている「善と悪の知恵の木」の実に手を伸ばし、アダムにも食べさせた。
神が創造したものは、すべて土に還るものであるという「知」を封印したその実を食べたことにより、イヴはアダムと共に楽園から追い出される。


ユダヤ教が追求する神と人間の関係は、人間が成熟することによって初めて可能性を持つため、この追放は必然だった。

人間が成熟するとは、「神はなぜこのような仕打ちを」と嘆いたり、「神様、あなたがほんとうに存在するなら解決してください」と頼むのではなく、この世で起こる問題は自らの問題として人間が責任をもって対処する、ということである。

「人間が、まだ一人の幼児として、「神と土地と人との調和」のゆりかごのなか横たえられている間は、なんにしても、「神と人との関係」なるものは不可能」(長谷川三千子著『バベルの謎』中央文庫 175頁)

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live from ROH




英国では3月23日のロックダウン以来、今週から不要不急の商店が営業を始めた。
7月4日からはレストランなども営業許可の予定。

一方、例年ならわたしは週に3回は通う、例えばロイヤル・オペラ・ハウスは、他の劇場やコンサートホールなどと同じように未だ再開の目処は立っていない。

おそらく平常化の一番最後になるのか...


ロイヤル・バレエとロイヤル・オペラ、イングリッシュ・ナショナルバレエや、サドラーズなどの劇場が、今まで撮り貯めたバレエやオペラの録画、ロックダウン下のアーティストの家庭での練習風景などをオンラインで公開してき、ついにロイヤル・オペラ・ハウスが先週の土曜日6月13日から劇場生中継の試みを始めた。観覧無料の1回目を入れて全4回、毎土曜日。

1回目(6月13日)は無料で、オペラ歌唱とバレエを中継した。

George Frideric Handel's ‘Tornami a vagheggiar’ performed by Louise Alder.
George Butterworth's Six Songs from A Shropshire Lad performed by Toby Spence.
Benjamin Britten's The Crocodile performed by Gerald Finley.

Wayne McGregor to Richard Strauss' Morgen! It will be danced by Francesca Hayward and Cesar Corrales.

内容は1時間半ほどだったが、バレエ大ファンとしてはバレエのプロポーションが小さくて(5分−10分?)ちょっとがっかりした。

それにしても文化の灯を絶やすまいとする人間の「尊厳」は十分感じられた。


昨日、20日からはチケット制が導入され、一単位が4ポンド99(今日のレートで660円ほど)。
この一単位というのはどういえばいいのだろう、ロックダウン下でひとつの家に一緒に住んでいる同居人が一単位と勘定される、その単位である。簡単に「一家族」、と言ってもいいのかもしれないが。


2回目の昨夜は
Frederick Ashton's rarely staged work Dance of the Blessed Spirits, performed by Royal Ballet Principal Vadim Muntagirov.

A chamber arrangement of Das Lied von der Erde (The Song of the Earth), performed by David Butt Philip, Sarah Connolly and soloists of the Orchestra of the Royal Opera House.

マーラーのDas Lied von der Erde (The Song of the Earth)『大地の歌』は今の社会の雰囲気に相応しくとても楽しんだ。
それはさておき、プリンシパルVadim Muntagirovのソロは、全1時間半の構成のうち10分ないくらい(娘がっかり)だったが、その耽美性、永遠に見ていたかった...


来週の土曜日(27日)は3回目で、例えばバレエとしては
Kenneth MacMillan: Concerto, second movement pas de deux – Fumi Kaneko and Reece Clarke, Kate Shipway (Piano) and soloists of the Orchestra of the Royal Opera House

全方向美しすぎて目が覚めるファースト・ソリスト金子扶生さんが『コンチェルト』のパ・ド・ドゥで出演。

こちらはMarianela Nunezのパフォーマンス(4分)
https://www.youtube.com/watch?v=LLCh_b8Lu20

日本からだと夜中の生中継になってしまう。それもまたロマン...よろしければぜひ!!
https://www.roh.org.uk/tickets-and-events/festival/live-from-covent-garden-details


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人間の尊厳といえば、昨日はこちらも鑑賞した。
Netflix2016年のドキュメンタリー『13th -憲法修正第13条-』。

憲法修正第13条というのは「合衆国憲法修正第13条」のことで、最近見たドキュメンタリーの中ではダントツで出来栄えが違う。
無知は罪、わたしは今まで何も知らなかったのだ。

奴隷制の廃止と隷属の禁止をうたった「合衆国憲法修正第13条」の中には、「ただし犯罪者(criminal)はその限りにあらず」という例外規定がある。
この「例外」が、黒人に対する抑圧を正当化する抜け穴になっていると製作者、出演者が告発していて中身が濃い。
13th
https://www.youtube.com/watch?v=krfcq5pF8u8&feature=youtu.be
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