goo

美食のパルマ




エミリア=ロマーナ州の小都、パルマ。

文句なくおいしいものがそろっているイタリアの食材の中でも、トップクラスに有名な、パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノを産する。

わたしなんぞは断酒してもう長くなったが、嗜好はそのままなので、パルマハムとパルミジャーノがあれば、他にはなにもいらないくらい。

EUの専門機関、「欧州食品安全庁」の本部もこちらにあるそうだ。





パルマは古代に起源があり、中世は自治都市として栄え、パルマ大聖堂を中心に中世の面影が残る。
16世紀から19世紀のイタリア統一まで、パルマ公国の首都だった。

いいホテルがなさそうなのが残念、ここに宿泊したらロマンティックだろうなあ。




下の写真は大聖堂内、パルマの芸術文化を牽引したコレッジョの天井画。
ロマネスクの素朴な外観の聖堂内に、ルネサンスの華やかさを秘めているかたちが、非常に印象深い。

死に際にはぜひともこのようなヴィジョンを見たいものだ。




洗礼堂内は、これはカバラではないかと思った。
中心のアイン・ソフから流出する世界(下の写真)。

光が届く範囲が遠くなればなるほど物質化し、それがすなわちわれわれの世界だ。




パルマは16世紀のマニエリスムの画家パルミジャニーノの出身地でもある。

パルマ国立美術館には『トルコの奴隷』が。


そしてパルマ国立美術館にはこちらがある...




「永遠」を描けば、レオナルド・ダヴィンチが第一人者だ。

一対一で向き合い、時が流れるのを忘れた。


ウフィツィなどではなく、永遠の中世小都市、パルマにひっそりあるのが好ましい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

黄昏れる秋ミラノ 19時




ミラノ・ドゥオモ広場の写真は19時前。
人が多く見えるかもしれないが、やはりこれでも普段の半分以下くらいかなあ。

イタリア人が新型コロナウイルス対策のルール(マスクの着用は徹底的。グリーンパスの提示は電車内でも)に粛々と従っている様子に、「あのイタリア人が!」と一瞬驚くのだが、次の瞬間には「全体主義を選んだこともある国だしねえ」となる。

もちろん、これはものごとの一面にすぎない。




上の写真は、ミラノ・デザイン・ウイーク中のFornasetti本店の特別展示。

ヤヌス神は、ローマ神話の出入り口の守護神だ。前後二つの顔を持ち、物ごとの内と外を同時に見ることができるという。




こちらはソフォクレス。三大悲劇作家のひとり。

フォルナセッティ本店の展示がヤヌス神とソフォクレスなのは、「世界劇場」つまり、シェイクスピアの有名なセリフ「この世は舞台、人はみな役者」がテーマだからであろう。


時間が前後するが、ミラノを訪問したのは10日まで開催されていたミラノ・デザイン・ウィークのためだった。

モンテナポレオーネ通りや、スピーガ通りには、振り返りたくなる装いの男女がたくさん。
おしゃれっていいなあ、とつくづく思う。


ロンドン育ちの友人に会い、彼女の「ロンドンに帰りたい!」話をとくと聞く。
ミラノ生活が長い、別の友人の話に照らしておもしろい。


どんな話かというと...わたしの旅行者としての印象は、もちろん一面的な感想にすぎない上、性別で人をカテゴライズするのもどうかと思うが、社会が男女に求めてくる役割はまだまだあると思う。
その上で一般論として、イタリア人は特に女性がとても仕事ができ、有能だと思う。女性が有能なのはイタリア人に限らないのかもしれないし、男性にも有能な人はもちろんいる。

男性はめちゃくちゃカッコつけで、自分の知っていることやできることには思い切りヒーローのように対応してくれるが、自分が知らなかったり、権限を超えていると大袈裟に言い訳を始める(笑)。
子供っぽい方が多いのかしら。

...友人は「それ、あたってる!」と、笑った。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

花の方へ




先月、モロッコでのバカンス時は、なーんにもしない毎日を過ごしていたため、自分のメモをかねてこのブログのアップも余裕でできていたのだが、イタリアでは苦戦。

朝起きたら日が暮れるまで、ホテルには戻らないでうろうろしているから。


ひさしぶりのひとり旅で気がついたのは、座って食事をする時間が惜しいと思うこと。
イタリアでレストランに座ったら、ランチでも余裕で1時間以上はかかる。

だから食後、あとは寝るだけの時刻になるまで、何も食べない日が多い(南欧では夕食は22時ごろから食べ始められる)。

やたらと座ってお茶をしたい、ゆっくりおいしい食事をしたい夫がいないので、それなら足を伸ばして街はずれの教会にあるあの絵が見たい...となるのである。

モエには珍しく、団子より花!




運よくウフィツィ美術館の8時45分のチケットが取れ、8時半には美術館の中にいた。

6時間かけてゆっくり見学。
ウフィツィはクロノロジカルなのがいい。ギリシャ・ローマ、ゴシック、ルネサンスを経てマニエリスム、バロックまで、変化を見られるのがとても勉強になる。


見学客は普段の半分くらいだろうか。
一方通行規制が多く、戻れないルートがあるのが残念だったが、心ゆくまで鑑賞できた。
ティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』の部屋なんかは無人だった。


わたしはルネサンス期のネオプラトニズムとサボナローラの影響にとても興味があるので、こちらでは特にこの方の動向が気になる...

ボッティチェルリ。

下手くそな写真ではサイズ感も質も全く伝わらないが、花の女神フローラ(中央のヴィーナスの向かって右側の人物)や三美神の細部といったら!

ちなみに中央のヴィーナスと三美神のうちの「美」(右)のモデルは「ルネサンスの花」シモネッタ・ヴェスプッチかと言われる。ボッティチェルリの作品に頻繁に登場する華麗なる美女。




ラファエロの間を終えたところで15分ほど、館内のテラス席でアイスコーヒーを飲んで休憩し、夫とメッセージをやり取りする。

彼は「イタリアで食事に時間を取らないなんてもったいなさすぎる! 今夜は必ず星のついているレストランで食べるように」と言った。




そして「花の聖母教会」サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂へ...

ブルネレスキの天才が炸裂。
毎回見るたびに思うことだが、あまりに美しすぎて作りものに見えるほど。


朝は無人だったのに、午後を過ぎると結構人が多い。それでも普段の6割くらいか。
EUからの移動は自由なのでEUの人ばかりだ。




イタリア、対策は英国よりもかなり徹底されおり、公共の場ではマスク着用、駅や電車内でもワクチン接種証明のグリーンパスがチェックされる。あちこちで体温の検測も...

どうしても手を消毒したく、目についた「バイオ」のジェラート屋に入った。

看板にいつわりなく、人工的な甘さのない、とても素朴で正直な味がする。
わたしが食べているのはアーモンドとシナモン。


これからメディチ礼拝堂へ。
時間が許せば今日中にダンテの家にも...




こちらはサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局の入り口。花盛り。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

アルノ川午前8時




今朝は4時半起きでフィレンツェへ移動。

ボローニャとフィレンツェ間は高速鉄道の発達のおかげで30分ちょっとだ。


運よくウフィツィ美術館の8時45分のチケットが取れたので、朝いちの静かなフィレンツェの街を横切り、アルノ川まで出、川沿いをゆっくり散歩。シニョーリア広場でコーヒーを一杯ひっかける。

イタリアには大小の美しい都市や村がたくさんあるが、早朝のフィレンツェの美しさはやはり格別だと思う。

ルネサンス全盛期の朝帰りの騎士の気分を、全力で想像してみた(笑)。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

夏を追いかけて bologna



イタリアはボローニャに来ている。

イングランド南部もここにきて最後の力を振り絞るような晴天が続いていたのだが、南へ。

今回はひとり旅。
若い頃はしょちゅうひとり旅をしたものだった...




英国からのイタリア入国は8月末までは5日間の強制隔離が必要だった。

今月から廃止されたとはいえ、入国審査の際は、新ルールを把握しきれていない現場が、「あれが必要なのでは」などと、用意のない書類を要求してきたり、とにかく時間がかかるのではないかと(先日のマドリッド...)思ってドキドキだったのだが、あっけなく入国。

イタリアは日本のパスポートでもエレクトリック・ゲートが利用できるし、南欧は全部同じメンタリティなどと思っていてはダメですね...




美術館入館も、事前にチェックしたイタリア政府の資料では、ヨーロッパ発行のグリーン・パスか、アメリカのCDCのやつじゃないとダメ、ということだったが、ダメ元で入り口で「イギリスのでもいいかしら」って言ったら快諾だった(笑)。
イタリア在住の長い友達が言っていた。(ルールにはなんとしてでも従うなどということのない)イタリア合理主義。いいわー。

初秋らしい素敵なお天気で、街は学生らしき若い人たち(大学が始まったのかしら)と観光客でめちゃくちゃ賑わっている。




すでにおいしいものをいろいろ食べたが、ダイエットコーラを頼んだレストランで、おまけで出してくれたこの釜焼ピザ、オリーブオイルとおそらく少量の塩、ボローニャソーセージの薄切りが乗っているだけなのだが、この世にこんなうまいものがあっていいのか? というほどおいしかった。

「これ、めちゃくちゃおいしいですね!」と言ったら、かっこいいウィエイターさんがはにかんだ。イタリア男もはにかんだりするのね...


明日からは本番、ミラノ(ミラノ・デザイン・ウィーク中)、パルマ(どうしても見たい展覧会がある)、マントヴァ(リゴレットが英国ロイヤルオペラで始まる...ってこれはこじつけ)などへ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ 次ページ »