●購入動機:
NS50Fはとても楽しいバイクだったが、50ccの法定速度は30kmだったので、よくスピード違反でつかまったりした(他の車といっしょに走っているだけなのに・・・)。
そこで、私はついに本格的なバイクの購入を決意した。思えば、高校時代に見た赤いレプリカ、これこそが私のバイク好きの原点であった。信号待ちからロケットのように加速していったあのバイク。当時はかなえられなかった夢。その夢に今、リーチがかかっている!ここで買わねばいつ買う!と俄然盛り上がる私を誰が止めることができたであろうか。
NS50Fですっかりホンダファンになった私はNSR250かVFR400Rで迷ったが、V4エンジンとプロアームという世界で唯一!というスペックに惹かれ(私は世界一!とか限定!という言葉にとても弱い)シードカラーのNC30購入に踏み切った。当時40万円くらいだった。
●性能:
400ccのレーサーレプリカ。ああ、俺も出世したもんだ・・30km制限よサヨウナラ!高速道路よこんにちは!というわけで、このバイクのおかげで私の行動範囲は一気に広がり、日光、筑波サーキット等、様々な道を共に走った。V4エンジンは非常にフレキシブルで、どこからアクセルを開けても加速し、180kmのリミッターまですぐに到達した。また、その旋回性能は優秀で、友達の車がアンダーで苦しむコーナーも楽にクリアすることが可能だった。
ここで、レプリカバイク購入を計画している方に一言アドバイス。タンクパッドはすぐ付けたほうがいい!私はハードブレーキングのたびにタンクに股間をしたたか打ち付け、何度か行動不能になった・・・
●死ぬかと思った・・:
初めて死を覚悟したのもこのバイクだった。あれは雨が降る夏の夜だった。友達と翌日横浜へツーリングの約束をした私は、家まであと5分の直線を走っていた。しばらく信号も交差点もないストレートで、調子に乗った私は雨にも関わらず、友達と加速競争をした。
200mほど加速した時点で、友達のバイクが減速、「ふっ、ビビったか!」と思った瞬間、
私の目にいきなり飛び込んできたのは佐○急便の飛脚だった!
いきなり左の運送センターから大型トラックがバックででてきたのだ!80kmでぶつかればひとたまりもない!
「最後に見たものが飛脚の赤いふんどしなんて嫌だ!!」
と感じた次の瞬間、私はバイクを無意識の内に倒していた。わずか数秒の間のことだったが、次に私が意識した時、私はバイクとともに道路に倒れていた。
「生きてる!ラッキー!!」
と思った私は、「せっかく生きてるのに対向車に牽かれちゃかなわん」と痛む体を気合で起こし、すぐ避難したのを覚えている。
どうやら私はトラックの下をくぐりぬけるという、映画のアクションシーンのような助かり方をしたらしい。幸いバイクは軽少で、私も奇跡的に脱臼ですんだが、もし一秒でもバイクを倒すのが遅ければ、首がとんでいた・・と考えるとまさに九死に一生を得た思いだった。友達も、事故の瞬間、「ああ、ついに友達の死者一号がでた!しかも目の前で・・」と思ったらしい。でも、今までの人生が走馬灯のように流れたりはしなかったなあ・・