今日(7月12日)は、山城博治さん、添田充啓さんの高江不当弾圧事件の第7回公判を傍聴した。6月28日にケガをさせられたという防衛局職員(稲葉氏)への検察側尋問が行われたが、今日は弁護側からの反対尋問だ。
法廷には今回も、証言席を傍聴者から遮断する壁が設置された。憲法上の裁判の公開の原則に違反する不当な措置だ。そもそも、公務員が公務として行った業務内容を証言するのに遮蔽なぞあり得ない。今日も抗議の声が沸き上がった。
(裁判所前での公判前集会)
今日の稲葉氏への反対尋問では、いくつもの事実が明らかになった。
まず、昨年8月25日、稲葉氏ら防衛局職員が大勢でN1裏テントに押しかけたのだが、その目的について彼は、「7月22日に村道と林野庁から使用許可を得た土地の境界にフェンスを設置しようとしたが、やり残したところがあったので、8月25日はその部分にフェンスを設置することが目的だった」と証言していた。
ところが今日の反対尋問で、稲葉氏は、「当日、テントを撤去した後に張る文書を用意していた」と認めた。吉田さんも、7月6日、「N1裏に着くと、防衛局職員がテントのパイプを解体し始めていた」と証言している。すなわち8月25日、防衛局はN1裏テントの撤去のためにやってきていたのだ。今日の反対尋問でも、7月22日、防衛局職員がN1テントを撤去したことの法的根拠が問題となったが、裁判所への法的手続を取らずに防衛局職員が勝手にテントを撤去することは許されない。
山城さん、添田さんらは、公務執行妨害容疑で起訴されているのだが、そもそも違法な業務であり、「公務」ではなかったのだ。
また、稲葉氏は、「全治2週間」の診断書で被害届を出したのだが、今日の反対尋問では、稲葉氏がテントを出てから、ケガをしたという右手を大きく振り回して説明している映像が流された。とてもケガをしているようには見えない。医者も、先日の尋問で、「稲葉氏の希望により全治2週間と書いた」と証言している。
稲葉氏は、前回の尋問で、「足元を押さえていたのは添田さんだ。袖口から入れ墨が見えたので彼と分かった」と証言していた。ところが、今日の反対尋問で、稲葉氏が昨年10月18日に警察の取り調べを受けた際の調書には、入れ墨に関する記述が全くないことが明らかになった。8月25日に、「入れ墨があったから添田だ」と言ったのなら、10月18日の警察の調書にも当然、そのことが出てくるだろう(なお、同日の調書には、「添田に足を押さえられていた」という記述もないことが明らかになった)。
他の点でもそうだが、結局、稲葉氏は多くの点について、当日、直接見たことを証言しているのではなく、後日に警察が作ったストーリーに沿って話しをまとめていにすぎない。証言の信用性はきわめて低く、このような証言をもとに山城さんや添田さんを有罪にすることはできないのは当然である。