昨日(2月7日・金)の午後、金武湾で待機していたサンドコンパクションパイル(SCP)工法作業船が大浦湾に入り、今、大浦湾には5隻のSCP船が集中している。
地盤改良の前に必要な海底への敷砂がまだほとんど進んでいないにもかかわらず、これだけ多くのSCP船を入れたのは何故なのか? 巨大なSCP船が集中している光景を見せつけて、もう工事はここまで進んでしまったと県民を諦めさせることがその目的だろう。
下が、防衛局が資料で示したSCP船の一覧である。
連日、大浦湾の状況を監視しているNさんの報告では、今、大浦湾に入っているのは、不動テトラ社の「パイオニア第30フドウ丸」、「パイオニア第31フドウ号」、日本海工の「第80号光号」、「第1光号」、あおみ建設の「KSC-K75」の5隻で、さらに金武湾には井森工業の「天成」が待機しているという。
SCP船の一覧表を見ると、多くの問題点がある。
以前は最大打込み深度は42m~61m程度の作業船しかなかったが、防衛局が公費を投入し、70mまでの打込みができるように改造した。これらの改造費用は合計で約20億円にもなっている。民間の作業船の改造費用を何故、公費で支出できるのかは疑問だ(昨年5月5日のブログ参照)。
70mまでの打込みができるようにするためには、櫓(リーダー)を高くしなければならない。改造により、各船の櫓は次のように90m近い高さになった(「KSC-K75」は改造後の最大打込み深度が56mなので略す)。
・パイオニア第30フドウ丸 73m ⇒ 89m
・第60光号 60m ⇒ 85m
・第80光号 75m ⇒ 85m
すなわち、各船の櫓は、10m~25mも高くなったのである。船幅等の船体寸法は変わっていないので、船の重心が高くなり、安定性は著しく損なわれており危険極まりない。
2012年12月、韓国釜山市近くの地盤改良工事で高さ80mのリーダーが折れ、船体に衝突、作業船は沈没して12人が死亡する事故が発生した。強風注意法下の作業で、突風と高波による事故だったが、「無理な改造が事故を引き起こした」という指摘もある(2024.3.4 沖縄タイムス)。また、2007年、今回と同様のSCP工事でも、3本のリーダーのうち2本が折れ曲がり、再開まで1ケ月半以上を要しという(同)。
大浦湾は冬の時化、夏~秋にかけての台風等、気象条件は極めて厳しい。荒天と無理な改造による事故の発生が危惧される。