辺野古新基地建設事業予定地には多くの希少生物が生息している。海岸部に棲むオカヤドカリもその一つで、けっこう頻繁に見られるものだが、国の天然記念物に指定されている。防衛局は、オカヤドカリの保全のために工事着手前に一時捕獲し区域外に移動するとしているが、そのためには文化財保護法に基づき沖縄県教育委員会を経由して文化庁長官に現状変更申請を行い、文化庁長官の許可が必要である。また、工事に際しても工事区域にオカヤドカリが入ってこないように侵入防止柵等の対策を講じなければならない。
オカヤドカリ(奄美文化財団のWEBより)
(右の部分が「オカヤドカリ」対策。2016.12.4撮影)
防衛局は昨年11月末から、大浦湾のシュワブ沿岸部で仮設道路工事に着手した。上の現場写真の右側、砂浜と樹林帯の間に柵が設けられ、砂浜にも塩ビ管が見えるが、これらが「オカヤドカリ対策」と言われるものであろう。ただ、この仮設道路工事着工の前に、一帯のオカヤドカリを捕獲し、他地域に移動させたかどうかは定かではない(ポリバケツを埋設し、落ちたオカヤドカリを捕獲するというが、この一帯にバケツを設置している様子はなかった。)。
1月19日、沖縄県が開示した公文書で次の事実が明らかになった。
防衛局は、昨年9月11日、オカヤドカリの現状変更に関する協議書を県教委に提出した。その後、10月1日に補正書が提出されているが、当初一時捕獲の対象となるオカヤドカリを「3000~9000個体」としていたものが、補正書では「5000~13000個体程度以上」と訂正されている。
県教委は、11月19日、防衛局からの協議書に意見をつけて文化庁長官に進達した。この県教委の意見は、「一部の移動先は不適」であるとし、結論として「今回の天然記念物の保護に影響を及ぼす行為については、より慎重な判断が求められるため、反対である」というものであった。県教委が毅然と「反対」という姿勢を明記したことは評価できるものだ。
ところが文化庁は、県から反対の意見が出されたにもかかわらず、翌11月20日、わずか1日で、防衛局からの現状変更申請に同意してしまった。ただ、そこでは、「実施にあたっては、沖縄県教育委員会と協議してください。」等の条件がつけられている。
防衛局は、昨年11月末からシュワブの浜で「仮設道路」工事に着手したが、その前には、オカヤドカリの移動が完了していたはずである。ところが、その実施について、県教委とは全く協議をしていない。文化庁長官の指示を全く無視したのである。
防衛局は、オカヤドカリ対策においても、許可条件である県との協議を行わない等、問題のある対応を続けている。
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<1月20日の辺野古>
今日は水曜日。集中行動日だったので早朝6時半頃にシュワブ基地ゲート前に着いた。県会議員や市町村議員をはじめ、300名ほどが座り込んでいる。午前9時、海上行動のミーティングがあるのでゲート前を離れたが、それまでは工事車両も来ず、機動隊も出てこなかった(ただ、昼休み時間中に突然、機動隊員がゲート前を封鎖し、数台の工事車両を入れたようだ。)。
辺野古漁港からKさんと「ブルーの船」を出した。他には、「平和丸1号」に講談師の神田香織さんの一行が乗り、そして「美ら海」が出た。カヌー隊は8艇。薄日はさしているのだが、ジンジンと冷え込んで寒い。
私は所用のため昼で船を降りたが、午前中はカヌーの拘束はなかった。
(長島の間を抜け、カヌー隊が大浦湾に現れた。)