チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

大浦湾の軟弱地盤部での土質調査報告書、1年7ケ月も開示決定期限を延長し、法定の60日以内に出されたのは、「表紙1枚」のみ。あまりに露骨な情報隠し

2025年03月12日 | 沖縄日記・辺野古

 一昨日、沖縄防衛局から開示決定通知書が送られてきた。

 この1月、昨秋から始まった大浦湾の土質調査報告書を公文書公開請求したのだが、防衛局は、開示決定期限を1年7ケ月も延長してしまった。そして、法定の60日以内に、「相当の部分につき開示決定」するとして、いくつかある文書の一つの文書の「表紙1枚」だけを開示するというのだ。残りの文書は、来年8月末まで待たなければならない。

 そもそもこのような開示決定期限の大幅延長は情報公開法の趣旨に反し、違法である。市民が公文書公開請求をするのは、その時期に必要な文書を請求しているのであり、たとえその文書が1年7ケ月も先に出てきても、もう意味がなくなっている場合も多い。国も、それを見越した政治的な判断で延長しているのであり、許されない。

 以下、経過と問題点をまとめる。

 辺野古新基地建設事業で知事が防衛局の設計変更申請を不承認とした最大の理由は、防衛局が、海面下90mまで軟弱地盤が続いているB27地点で、地盤の強度を直接調べるボーリング試験を行っていないことであった。県は再三にわたり、防衛局に同地点でのボーリング試験実施を求めたが、防衛局は頑なに拒否し続けた。防衛局は、離れた3地点のボーリング試験結果でB27地点の強度は類推できるとしたが、地質学者・土木技術者等らは、このままでは弱い地震でも護岸・地盤の安定性は確保できないと指摘してきた。
 昨年1月、代執行で大浦湾側での工事が始まったが、防衛局は昨年8月末からB27地点周辺で、2隻の調査船でボーリング試験と思われる土質調査を始めた。防衛省は、「地盤改良工事に先立ち、護岸予定地付近で土質調査を実施している」と認めたが、「強度を評価する調査のやり直しではなく、別の調査という位置づけだ。結果の公表は予定していない」とした(2024.9.8 琉球新報) 。
 この調査は昨年12月まで続き、それ以降、別の調査船による土質調査を実施している。
 あれだけ頑なに拒否し続けてきたボーリング試験を今になって、何か月もかけて実施しているのは何故か? 調査結果によっては、護岸の構造や地盤改良工法の変更が必要となる。


 そのため私は本年1月3日、昨年8月末からの土質調査の調査内容、調査結果等の公文書公開請求を行った。情報公開法第10条では、開示決定期限は30日、「その他正当な理由があるときはさらに30日延長できる」としているが、第11条(期限の特例)で、「文書が著しく大量である場合」は、「相当の期間内に開示決定をすればよい」とされている。しかし防衛局は、今回の請求に対して、「文書が著しく大量である場合に該当する」として、開示決定期限を1年7ケ月も延長し、来年8月28日としてしまった。 
 軟弱地盤問題が最初に明かになったのも、2018年当時の地質調査報告書の情報公開請求だった。その際、防衛局は、開示決定期限を全く延長せずに大部の地質調査報告書を開示した。その後、2019年には、調査から3ケ月後に1万頁に及ぶ地質調査報告書を国会に提出した。

 今回、地質調査報告書をこれだけ長期間、開示決定を延長することは、地質調査報告書が済みやかに開示されてきた以前の経過から見ても納得がいかない。法定開示期限である60日以内に出せるのが、「表紙1枚」というのもあまりに法の趣旨を愚弄するものではないか。

 最近は防衛局へ公文書公開請求をしても、その多くが法11条の特例を適用されることが多い。今回の開示決定期限の1年7ケ月もの延長も、軟弱地盤部の地盤の安定性等の問題が発覚することを恐れた情報隠しである。すでにケーソン護岸部分のサンドコンパクションパイル工法も始まっている今、1年7ケ月も先に文書が開示されても(その場合も大幅に黒塗りするのであろう)、全くの手遅れである。

 

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