7月25日(月)は1日中那覇。赤嶺政賢衆議院議員と一緒に、北部訓練場のヘリパッド工事に関連して、沖縄総合事務局と沖縄森林管理署を回った。以下、その内容を報告する。
1.沖縄総合事務局、成瀬開発建設部長への申入(新川ダム堰堤上の道路の10トン規制について)
(沖縄総合事務局の成瀬開発建設部長への申入)
今回、防衛局は県民の抗議を機動隊を使って押さえ込み、県道70号線に沿ったN1ゲートだけではなく、裏のG地区、H地区、そしてN1裏でも工事に着手した。しかしG地区やH地区のヘリパッド工事では、工事車両をどこから入れるのかという問題を抱えている。
これらの工事箇所に行く道路は2本しかない。一つは県道70号線から高江の集落を通る村道、農道のルート。もう一つは、新川ダムの堰堤を通る村道、農道のルートである。ところが高江の集落を通る村道は、住民への影響があまりに大きく、防衛局長も「工事車両は高江の集落を通らない」と再三、表明してきた。
そうなると新川ダムの堰堤を通る村道しかないのだが、堰堤の上は10トンの重量規制があり、大型車両は通行できない。ダムを管理している沖縄総合事務局がこの問題にどう対応しようとしているのかを聞いた。
成瀬開発建設部長は、次のように答えた。
・「この問題について防衛局からの協議は今のところない」/「道路法47条2(限度超過車両の通行の許可等)に基づく申請が道路管理者である東村に提出されれば、東村から沖縄総合事務局に書類が回ってくる。その時点で検討したい。」/「この申請は車両毎に行われる」/「今まで新川ダム上の道路の重量規制を超える申請はない」
しかし、今回のようにダムの堰堤上というようにきわめて重要な箇所の場合、「やむを得ない」として、「条件を付して通行を許可する」ことなど有り得ない(道路法47条2)。しかも一時的な通行ではなく、かなりの期間、継続して工事車両が通行する。そして工事終了後は、長期間に渡って米軍の軍用車両がダムを通行することとなる。
我々からは、「絶対に10トン規制を厳守するよう防衛局を強く指導せよ」と要求したが、部長は「まだ何も具体的に申請が出ていないので---」と逃げるばかりだった。
当面、防衛局がG地区、H地区のヘリパッド工事を始めるにあたっては、大型重機をトレーラーに乗せて現場に持ちこむ必要がある。また、その後も大量の採石や資材等を持ち込むために大型ダンプが絶え間なく走り始めるだろう。これらの工事車両のルートは新川ダムの堰堤を通る村道しかない。今後、新川ダム堰堤上の村道を10トンを超える工事車両が通行しないかどうかを厳重に監視する必要がある。重量規制を超えて車両を通行させた場合は罰則規定もある。防衛局が違法行為を行わないよう監視を続けよう。
2.沖縄森林管理署 、清水署長への申入 ---工事用道路のための国有林野使用承認を撤回せよ!
(沖縄森林管理署 清水署長への申入)
N1地区のヘリパッド造成に際しては、県道70号線のN1ゲートから続く旧林道が工事用車両の道路となる。しかし、この旧林道はあちこちで崩落しており、大規模な改修工事が必要となる。そこで防衛局は、従来使わないと言っていたN1地区からN1裏に続く南の旧林道も工事用の道路とするため、7月11日、沖縄森林管理署に国有林野使用承認申請書を提出し、沖縄森林管理署はわずか3日で承認してしまった。
この旧林道のN1裏から北へ約700mの範囲は、1993年に米軍から返還された国有林である。ところが、今回の承認により、この部分は工事用車両の通行路となり、さらにヘリパッド完成後は米軍車両が通行することとなる。本来、使用承認にあたっては、「原状回復」が義務づけられているのだが、N1地区の2ケ所のヘリパッドが完成すれば、防衛局はこの工事用道路をそのまま残し、米軍の軍用車両の通行路とすることは目に見えている。
また、従来、沖縄森林監理署は、「使用承認の審査にあたっては、必要な関係法令の手続きが全て終わっていることが必要」と説明してきた。ところが、今回は県の赤土流出等防止条例の手続きも始まらないうちから工事用道路の使用承認をしてしまったのだ。防衛局は、7月22日、このN1裏でもフェンスを設置する等の工事を始めた。そしてN1裏の座り込みテントを8月6日までに撤去せよと迫っている。沖縄森林監理署は、防衛局のスケジュールにあわせるために、「必要な関係法令の手続きが全て終わっていること」という条件を無視して使用承認を出してしまったのだ。
このように今回の使用承認には多くの問題点があり、我々は、「使用承認を撤回せよ」と強く迫った。
さらにこの日の交渉では新しい事実も明らかになった。N1ゲートからN1に続く旧林道では22日から道路整備工事が始まっている。ところが、本来なら工事を開始する前に、立木の伐採について森林管理署と協議をしなければならないのだが、今回、防衛局は協議をしないまま、道路工事を開始し、立木伐採を始めたのだ(ここでいう「立木」とは、胸の高さで直径4cm以上のものである)。我々は沖縄森林管理署に対して、「防衛局にただちに工事を中止するよう指示し、沖縄森林管理署が立木伐採が行われていないかどうか、現地に確認に入れ」と強く要望した。
<追記>この日、沖縄総合事務局、沖縄森林管理署への申入の日程設定、そして両事務所に同行していただいた赤嶺政賢議員に心から感謝します。