2月20日(金)、防衛局が県漁業調整規則に違反して岩礁破砕許可申請を出さずに強行した大浦湾への「コンクリート製構造物等」投下問題と「仮設岸壁」問題について、基地の県内移設に反対する県民会議が県への要請行動を行った。(「緊急要請書」は末尾に添付。なおこの要請書は2月9日に提出したものであり、その後、事態は大きく動いている。)
県からは、末石土木建築部長、増村農林水産部統括監らが対応。県議会からも共産党、うまんちゅの会、社民護憲、社会大衆党等から10名の議員さんらが同席された。
・「国に辺野古工事させないで 県民会議が県に要請」(2015.2.21 QABニュース)
(安次富ヘリ基地反対協共同代表から末石土木建築部長に要請書を手交)
(右から2人目が増村農林水産部統括監、3人目が末石土木建築部長)
我々からは、2月16日付の防衛局への指示書について一定の評価をした上で、さらに取組みの強化を要請した。
1.「コンクリート製構造物等」投下問題について
「コンクリート製構造物等」問題については、我々は、防衛局の回答や報道等でも昨年8月28日の岩礁破砕許可(埋立本体部分)の範囲外に投下されていることが明らかだから、早急に現状回復(撤去)を命じ、埋立本体部分の岩礁破砕許可を取り消すように要求した。(注)
(注)先日のブログでも説明したように、昨年8月28日の岩礁破砕許可(埋立本体部分)の許可に際しては、「本申請外の行為をし、又は付した条件に違反した場合は、許可を取り消すことがある。」という許可条件がついている。
増村統括監は「24日から現地調査に入るのでその結果を踏まえて検討します。」としながらも、「現状回復の指示を念頭において対応するという方針は変わりません。」と強調した。しかし同時に、「防衛局から新たな岩礁破砕許可申請が出されるかもしれません。」と述べ、場合によっては違法行為を黙認し、現状にあわせた新たな岩礁破砕許可を出す可能性について示唆したため、県民会議からは怒りの声があがった。
また、防衛局は来週から海上ボーリング調査を始めると報道されており、その場合は県の潜水調査はできなくなってしまう。そのため、防衛局に県の調査期間中はあらゆる海上作業の中止を求めよと要請した。また、海上ボーリング調査についても、従来の調査で残された9地点の調査とは別に、昨年11月に新たに3地点の深い場所でのボーリング調査が発注されたが、県は、この追加調査の内容について全く把握していないことが判明した。今回、設置された「コンクリート製構造物等」は、この深い場所でのボーリング調査のアンカーとして使用される可能性があり、その場合は昨年8月28日の岩礁破砕許可(埋立本体部分)の外側となるため、県への新たな協議が必要ではないかと追求した。増村農林水産統括監は、この点について、「防衛局に確認します」と約束した。
2.「仮設岸壁」問題について
我々は、防衛局が大浦湾に造成を予定している「仮設岸壁」(長さ:300m、幅:17m~25m、必要砕石量:大型ダンプ5000台分)は、公有水面埋立法にもとづく設計概要の変更申請が必要だと指摘した。しかし、末石土木建築部長は、「県は設計概要の変更申請が必要かどうかを確認するため再質問(2月23日が回答期限)している。その結果を見て今後の対応を検討したい。」という回答にとどまった。さらに、「海上ボーリング調査のために使用するのなら設計概要の変更申請は不要。」と答えたため、我々からは、「防衛局は来週からにでも海上ボーリング調査に着手すると言っている。仮設岸壁は海上ボーリング調査のためのものではない。」と抗議が集中した。これだけ巨大な仮設岸壁は、施工期間が数ヶ月必要であり(先週末のサンケイ新聞は仮設岸壁は7月に完成予定と報じた。)、防衛局の説明どおりなら海上ボーリング調査は7月以降からしか着手できないこととなる。
そもそも、海上ボーリング調査のためといえば、海にどんな構造物も設置できるというのは通用しない。土木建築部長の回答は、全てが防衛局の言い分を鵜呑みにしたものであり、何故、もっと毅然とした対応ができないのかと歯がゆくてならない。
知事が、「コンクリート製構造物等」投下は、違法行為であり、昨年8月28日の岩礁破砕許可(埋立本体部分)を取り消すという決定をすれば、当然、「仮設岸壁」造成やその他の埋立準備工事も全て不可能になる。第3者委員会の検証を待たなくても、埋立は阻止できる。今が頑張りどころだ。
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<参考>県民会議が提出した「緊急要請書」 (提出は2月9日)
1.オイルフェンスの張り出しと巨大なコンクリートブロックの投下について、岩礁破砕行為許可申請の手続きを行わせ、これ以上の投下中止と現状回復を命じること
防衛局は本年1月から、大浦湾に「工事の施工区域を示す」ためと称してオイルフェンスを張り巡らし、そのアンカーとして10~45トンもの巨大なコンクリートブロック等を投下し続けています 。
このオイルフェンスやコンクリートブロックの設置は、アセス評価書や埋立承認申請書等にはいっさい記載されていません。また、防衛局が昨年7月に提出し、県が8月28日に許可を出した埋立区域全域の岩礁破砕許可申請にも、「施工区域を明示するための浮標灯を設置する」と記載されているだけです。
私たちは本年1月14日、この問題について県に申し入れを行いました。県は1月16日、私たちの要請を受け、防衛局に対してこれらのアンカーが「県漁業調整規則第39条に規定される『岩礁破砕行為』、又は『岩礁破砕等の許可に関する取扱方針』第8に規定される『協議事項』に該当する行為であるか確認するため」に文書照会をされました。しかし防衛局は、1月27日、県の文書照会への回答前にコンクリートブロックの投下を強行し始めたのです。
現在、県は、防衛局の2月2日の回答を受け、「内容の確認」をされているということですが、3.5m×3.5m×1.6m、重量45トンというような巨大なコンクリートブロックを海底に設置することが岩礁破砕行為に該当することは明らかです 。もし許可を要しない行為としても、防衛局は事前に許可の要不要について県知事に協議しなければなりません 。県にこれらの手続きを行わないまま工事を強行することは許されません。
県の『岩礁破砕等の許可に関する取扱方針』第11には、「無許可行為に対する措置」として、「知事は、許可を得ずに実施中の行為について、当該行為者に対し、行為の停止及び現状回復を命ずることができるものとし、既に実施された無許可行為に対しても、現状回復を命ずることができるものとする。」とされています。
知事はただちに防衛局に対して、これ以上のオイルフェンスの張り出しとコンクリートブロックの投入を中止し、すでに設置したオイルフェンスとコンクリートブロックを撤去した上で、県に対して岩礁破砕行為の手続きを行うよう命じてください。
2.「仮設桟橋」(仮設岸壁)造成について、防衛局に対して、公有水面埋立法にもとづく「設計概要の変更申請」を行うよう指示すること。また、それまでの工事着手を絶対に許さないこと
防衛局は現在、大浦湾に「仮設岸壁」を造成する準備を進めています。この「仮設岸壁」は、長さ:約300m、幅:17~25m、埋立(石材)量:20,300㎥(大型ダンプで5000台以上)という巨大なもので、実質的な埋立の開始と言わざるを得ません。公有水面埋立法第13条に基づく、「設計概要の変更申請」を行わせることが必要です。
県は、私たちの要請を受け、1月16日、防衛局に「『設計ノ概要ノ変更』に該当する行為であるかどうかを確認するため」に文書照会をされました。現在、防衛局の回答を受け、「公有水面埋立法に基づく手続の必要性について、確認作業」を行われているとのことですが、このままでは防衛局は何時、工事を強行するか分からず、一刻の猶予もできません。
この点について、政府は、「仮設桟橋については海上ボーリング調査に必要なもの。調査が終われば撤去する。本体工事には使用しない。」と説明しています 。しかし、「海上ボーリング調査のため」であれば、このような巨大な「仮設岸壁」を造成することが認められるわけではありません 。また、投入された石材を全て撤去することはきわめて困難です 。
防衛局に対して、「仮設岸壁」造成について、①ただちに「設計概要の変更申請」を行うこと、②それまでは工事に絶対に着手しないことの2点を指示されるよう要請します。