カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

鬼に遊ばれた・・・九鬼山

2010-03-15 | ヤマのこと

2010.3.13(土)山梨県の「九鬼山(くき)」へ行ってきました。

「むかしむかしあるところにで始まる「桃太郎」の伝説がここ九鬼山に語り継がれています。
大月市百蔵山で生まれた桃太郎は、上野原市の「犬目」で犬を、
大月市の「猿橋」「鳥沢」で猿とキジを引き連れ、
九鬼山に棲む鬼を退治にやってきたと伝えられています。」

また、もう一説には
「桃太郎が富士に住む十匹の鬼を退治したところ、
一匹が大月の岩殿山へ逃げ、残り九匹が田野倉にある九鬼山へ逃げた・・・」

九鬼山の名はそこからの由来だとのウワサ。

さて、そんな物騒なイワレと名前を持つ山の正体とは・・・

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2週間雨で出かけられなかったから、この週末はどうしても山に行きたかった。
なのに~~ダンナが金曜日飲み会。
飲み会の翌日は絶対に起きられないし、最悪の場合は出かけられない、
というパターンの我が家。
無駄な抵抗はやめて候補に挙げていた山は諦め、朝ゆっくり出発、ゆるハイキングを計画。
そしてまだ行った事のなかったこの「九鬼山」がターゲットに。

予定通りゆっくり起きて出かけるも、しょっぱなから問題勃発!
ちゃんと調べて降りたはずなのに、なんか列車ダイヤが変・・・
ナントこの日、3月15日は「ダイヤ改正」の日だったのだ!
そんな訳で高尾駅に到着する時間が遅くなってしまった上に接続が悪く待たされ、
大月駅では富士急行線への乗り継ぎにナント、30分も待つ羽目に!!


 
タクシーで、とも考えて聞いてみるも、登山口まで¥2700というお言葉に萎えて、しっかり30分待つことにした。
電車の写真など撮って時間を潰す。


 
結局「禾生(かせい)駅」に降り立ったのが予定時刻を1時間以上オーバーした10時過ぎ・・・
もう、この時点でまずいのです。10時出発はアリエナイ・・・
が、開き直って出発です。駅前をまっすぐ、信号を右に道なりに歩くこと10分、
登山口の指導標がありました。



住宅地&レンガ造りの用水橋(落合水路橋)をくぐって登山口へ。



振り返るとリニア実験線、大菩薩の山々が良く見えます。
こんなに暖かいのに雪がしっかりついていて驚きでしたが・・・


 
驚いたのはこっちも、でした。
愛宕神社の脇から上がるコースを選択したのですが、こちら側もしっかり雪がついていました。
それでも途中までは緩い登りなので普通に歩けました。

 
日当たりのいいところはもう解けてなくなっていました。
新しい登山靴、今日で3回目。
過去二回とも雪道だったので、普通の土の道を歩き慣らししたくて来たのに、
意外にも雪が多く残念です。


ろくに調べもせずこちらのルートを選んだのですが、よく地図を見ると「急坂」の文字。
あ、これか・・・。
「急坂登山道」と「新登山道」はほぼ平行しているのですが、急坂は直登、
新はジグザグに進む感じなのですが、どちらにしてもそこそこの急斜面。

低山ハイクだからとまたしてもストックを持ってこなかった私にバチが・・・。

グズグズと水っぽい雪がしっかりとついていて歩きにくく、
予告通りなかなかの急坂で、滑ったらどこかの木にぶつからない限り止まりそうもない斜面。
キックステップでしっかり足場を確かめながら進んだのですが、
結局最後の急斜面は登山道が合流し、直登に。

アイゼンもストックも技術もない私、直登に差し掛かった瞬間、靴が「ずるっ」と・・・

「うっ、やばっ

とつかまるところなどないのに、必死になると藁をもつかむ?で地面(雪)を掴む。
幸い爪の間まで土が食い込むほど地面を掴んで事なきを得たが、まだまだ目の前に立ちはだかる斜面・・・
なんとしてもこの直登をクリアするしか進む道はなし。
「これがオニのしわざか~~~
と思ったその時、なんということでしょう
足元に太くてりっぱでドンピシャな形の木が落ちているではありませんか。


(右手にしっかりと握り締め、登り切ったところで振り返る私)
とっさにピッケル型の木を拾い上げ、その後は一歩一歩突き刺しながら登って行くことができたのです。
ええ、これは間違いなく「神の杖」です。
神様ありがとう~~日ごろの行いね・・・



冷や汗かいてやっと登りきると(途中の写真はありません)また緩やかな尾根になった。
「眺めよし・天狗岩」という大きな看板が右手に見えてきたが・・・


私は見逃さなかった「し」の字の下にあった「道はけわしい」の書き込みを。
ああ、よかったまたオニに騙されるところだったわ。無視して進みましょう~



「富士見台」に到着。ここも山梨県の「富嶽十二景」のひとつ。
文字通り富士が見えるのだけれど、今日は雲に隠されよく拝めなかった。
このあたりから南風が強くなり、帽子が飛ばされそうだった。

 
と、なんだかんだ駅から2時間ほどかかって「九鬼山頂」到着。
山梨百名山のひとつです。
人気の山のようで、団体さんやら単独やらで5,6組は上がってきました。


手作りベンチに腰をかけ、おにぎりタイム。
素晴らしい眺めに、先ほどまでの緊張はとけて気分もGOOD
でも予定していた猿橋に降りるコースはもうこの時点でほぼ時間切れ。(目的があるので)
無理せず成り行きで進むことに。

 
(左:グズグズでずるずるな下り  右:痩せ尾根を振り返る)
と~こ~ろ~が~
急斜面は登りだけかと思ったら、こっち側も
下山だからと軽アイゼンをつけたものの、登山靴が変わったせいか?雪質のせいか?
全くききません。そしてロープのかかった痩せ尾根をへっぴり腰で降り・・・


(緊張の連続を超えたところでやっと写真撮った(~_~;))
もう終わりかと思ったら今度は私の大嫌いな雪と細い道幅のトラバースが出てきて・・・
ここを滑ったら這い上がれないな、とか考えちゃうからいけないのよね・・・

こっちのほうが登りよりまだ気を使う登山道でした。


やっと気分も落ち着いた頃、「紺屋の休場」到着。
丸太のベンチがありました。三つ峠山が良く見えました。

この先「札金峠」を通り「馬立山」経由で猿橋駅へ降りるワンウェイの予定だったけど、
ここからまだ3時間はかかりそうだし、今までのルートでもう気持ちが疲れちゃった軟弱モノのワタシ
「田野倉駅」へ向かってゆるゆると下山しました。


 
(左:火の見やぐらもある里山      右:なんて大きな新聞受けなの・・・)
45分ほどで里山に到着。見上げると、多分アレが「九鬼山」
下から見るとたいして急でもなく、なだらかで優しそう。
でも私はしっかり鬼一匹に遊ばれたよね・・・

庭が広い大きなお屋敷が多い地域のようでした。



結局、総山時間4時間ほどで今日のハイキングは終了。
「禾生駅」まで来るのに3時間近くかかったのに・・・(笑)
「田野倉駅」から「大月駅」までまた富士急で戻ります。

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「大月駅」から「猿橋駅」まで行って、目的の場所へ・・・
の予定でしたが、ナント!今度は大月駅でJRが30分以上来ないではないですか!
隣の駅に行きたいだけなのに~~~!
ったく、きょうはついてないなぁ・・・と駅前を見て今日一番の閃きが
・・・バスがあるではないですかー
聞いてみると猿橋駅方面を通るバスがあと10分で出る、とのこと。
ついでに温泉の方まで行くか?と尋ねると、
親切な地元の方が「吉久保」で降りるのよ、と教えてくださって・・・


 
JRを待つより早く「吉久保」というバス停まで運んでくれて、
無事「湯立人鉱泉」にたどり着くことが出来ました

昨年来てすっかり気に入っていたのと、前日に行くつもり、と電話していたので、
もしや待っていると困ると思い焦っていたのです。


 
(左:広い休憩所       右:縁側から桂川と中央道)
玄関を開けるとおくさまが「昨日電話くれた方?」と、
前回と同じように声を掛けてくれ、もう16:00近かったのですが快く通してくれました。
やっぱりきてよかった、気になっていた(電話番号忘れてきた)ので・・・
ゆっくりのびのびとお湯に浸かり、田舎のおばあちゃん家のような居心地のよさでビールも進み・・・
お漬物やほうれん草のおしたしまで頂いちゃいました。

おくさまが仰るには、先週末は全然雪はなかったのに、こないだの水曜日の雪がすごくて、
今回積もっているのはみんなその日の名残だそう。
「山に行くって電話で言ってたから、心配してたのよ」と今日も親切にしていただきました


 
今回はここから駅には戻らず、高速バスに乗って帰ろう、という初めての企画。
地図で予め調べていた&奥さまの案内通り、鉱泉からは住宅を抜け、
徒歩12分ほど坂を上がり、トンネルをくぐると中央道への階段があり・・・。


中央道「猿橋バス停」到着でバスを待ちます。
予約は出来なかった(2時間前で締め切り)のですが、2台目で乗せてもらえました。
富士五湖方面と、長野方面から来るので約30分に1本あり助かります。


乗ってしまえばあとはもうラクチン。
トーマス仕様のカワイイバスに当たりました。


最初はどうなることかと思いましたが、最後はきっちり計画通りに収まって、
振り返れば楽しい珍道中の1日となりました


おしまい。