カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

ほんとの空を探しに・安達太良山【後編】

2012-03-06 | ヤマのこと

続きです。

夜中に胸が苦しくて目が覚めた。
”あーー、やっぱり悪化してきちゃったのかな。
でもピークは踏んだしあとは下山するだけだから大丈夫だよね”

そう思いながら又寝なおして・・・
「朝食の時間ですよーーーお味噌汁が冷めないうちにきてよーー××さーん!」

え?もうそんな時間?

6:00、起こされるまで寝ていた山小屋は初めてでした。
寝ぼけ眼でだるい身体のまま、慌てて食堂へ行きます。もうほとんどの方が出発の準備を(汗)



具だくさんのお味噌汁、牛肉とコンニャクの煮物、温泉卵etc・・・
暖かい朝食で目が覚めました、ゴチソウサマでした。



窓の外を見ると・・・・快晴。
「お客さんたちはよっぽど行いがいいんだねー、朝からこんな快晴の日は珍しいよ」
多分リップサービスなんでしょう、と思いながら、
今日はもう帰るだけだからゆっくりと支度をし、コーヒーでも飲んで・・・



玄関でワカンの支度をしていたら、小屋番さんがタバコを吸いに出てきた。
私のストックを見るなり「これじゃダメだよーすぐ外れちゃうよ」
スノーバスケットの付け方がなってなくて、硬いのに一生懸命直してくれました。
「ありがとうございました、じゃあ」と帰ろうとしたら、
「何言ってんの?登らなきゃダメでしょ。こんな快晴の日、めったにねーよ!
せめて峰の辻まで登ってから、勢至平へ行ってよ。全然違うんだから、景色がさぁ」


と小屋番さんに怒られ(笑)下ではなく上へ。どうやら本当に珍しい天気らしい。


 
ほとんどの人が出発した後、7:30出発。さようなら、ありがとう!
管理人さんも小屋番さんも大変な仕事なのに本当に山が好きというか、くろがね小屋が好きというか・・・。
またここへ来たくなるような、温かなお人柄にすっかり癒されました。



何でしょう?この青空は?? 昨日鼻水たらしながら降りてきたよね?ここ。



無風の快晴。どこまでも青く、そして白い山。
山頂が見えたら・・・山頂行くよね?ここから下山だなんてアリエナ~イ



小屋で一緒だった人たち。みんなとびきりの笑顔です。



昨日の風は何?というくらいの最高の天気。雪も締まっていて歩きやすい。
日差しが強くて暑い!!Tシャツと薄手フリースだけになって登ります。



シュカブラ



あれ?ここ昨日全然前に進まなかったトコではないですか・・・



今日はスイスイ。


 
二日連続、同じ山頂へ。



だけど・・・



見えるものが違っていた。



西吾妻?飯豊?蔵王方面? 



右端が磐梯山、那須岳も見えていました。


 
無風の静かな山頂で、ゆっくり景色を堪能することができました。
たおやかに広がる峰々と、澄んだ青空が優しく心に染みる・・・安達太良山。



 
やっぱりその山のことは山の住人の指示に従うに限りますね
風も無く穏やかな山頂と、強風の山頂の両方を体験できて良かった。
もちろん悪天候なら山頂に辿り着くことも出来なかったでしょう、この天気に感謝です。
さあ、気持ちよく帰りましょう。




二本松の町を見下ろしながら歩く散歩道。



私はやっぱりこういう優しい姿の山が好きみたい。



 
昨日のスタートラインに戻ってきました。

さて、時計を見ると10:30。

今日登ることも一応考えてあったので、新幹線は取っていない。
ならば時間もあるし、とゴンドラを使わずに降りることにしました。


 
ところがこっちはトレースが消えてた。本当に雪深くて(尻ソリが進まない)転ぶと腰まで埋もれます。


 
薬師岳~五葉松平を経由し、途中スキー場にぶつかり・・・登山道を見失いました


 
リフトの係員に聞くと、スキー場の端を歩いていいとの事でしたので(他の登山者の足跡があった)
(途中コッソリ?尻ソリ使いながら)
勢至平との分岐を見つけ、登山道に戻り・・・


 
11:50、奥岳登山口に戻ってきました。
ここの雪だるまは・・・なるほど、安達太良山のシンボルだるまでした


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実は昨年、震災の翌週に予約をしてあって、行くはずだった安達太良山。
新幹線はもちろん止まっていたし、ダンナの家族の安否も解らなかった、日本中が不安に包まれていた時。
くろがね小屋もどうなっているのか?解らず、恐る恐る電話してみようと思った矢先、管理人さんから電話をもらった。
「小屋も人も無事なのですが、お客様に出す食料の調達が出来ないのです、
大変申し訳ない、又の機会にお願いします。」

申し訳ないだなんてとんでもない・・・生きててよかった。
無事だと解っただけでもありがたいのに、そんなドタバタの最中、宿泊予定の人全員にわざわざ電話を。


そのまっすぐな気持ちにありがとうを言いたくて、この3月に必ず訪れようと決めていた今回の安達太良山。
ひとつ、心に引っかかっていたことがクリアになって良かった。
管理人さんと小屋番さんの笑顔に会えて本当に良かった。



復興支援など力になれることはほとんど出来なかった一年。
力になるどころか、勇気をもらってばかりいた一年。
ほんとの空はやはり、ここにあった。この空にまた、元気をもらった。


一日でも早く、みんなの心にほんとの空が戻りますように。地道に応援させてください。
ありがとう、福島。



おしまい。


【行程】1日目:新宿→大宮(新幹線モバスイ¥5700)7:38→郡山駅8:30
 シャトルバス(¥600)9:00→あだたら高原スキー場10:15
 ゴンドラ山頂(片道¥900)11:08→安達太良山頂→峰の辻→くろがね小屋14:00

2日目:くろがね小屋7:30→峰の辻→安達太良山頂9:00~9:30→ゴンドラ山頂駅10:30
 →五葉松平11:00→奥岳登山口11:50 バス(¥300)12:00→岳温泉12:10



ほんとの空を探しに・安達太良山【前編】

2012-03-06 | ヤマのこと

2012.3.3(土)~3/4(日)初めての安達太良山へ。

小屋に予約を入れてあったので、どんな天気でも行こうと決めていた週末。
天気予報は晴れマークが消え、雪&曇、翌日晴れ。
好転しそうだが肝心の自分の身体が・・朝起きたら喉が痛くなってた金曜日。
自業自得とはいえ、何も前日の朝に風邪症状が出なくたっていいじゃん・・・熱が出たっていくもん・・・


 
土曜日の朝起きると、軽く咳は出るものの幸い熱は無い。
新幹線で郡山駅へ行き、あだたらスキー場行きのシャトルバスに乗る。
このバスのありがたいのはたったの¥600で登山口まで運んでくれる事。
9:00のバス(要予約)に乗り、スキー場へ10:00過ぎに到着。


 
天気は予報通り曇り。今日は北風が強いという予報・・・。
明日の方が天気はよさそうだけど、山の天気なんて解らないし(←ぷっ)
何より自分の風邪の症状が明日までもつのか?明日動けなかったらここまできて絶対悔しいはず。
心配だったゴンドラは動いているとの事なので、迷わず山頂を目指すことに。


 
ところがなんと!ゴンドラに乗ってしばらくすると青空が見えてきたではないですか
ラッキー 雲の上に出ちゃったみたい。



山頂駅が登山口。ダンナがツボ足で行けるかとちょっと入ってみたけど、無理はやめよう。
久々に履くわかん、履き方間違えちゃってモタモタ。11:00過ぎにやっとスタートです。



ゆるゆる進みます。


 
風もなく、汗ばむ位日差しが暖か。青空に向かって進むのは気持ちいいね~。



15分も歩かないうちにもう山頂が見えてきましたよ
キレイーーヒャッホー



・・・とか言ってたのは最初だけでした。


仙女平分岐を過ぎたあたりから、風が強くなってきました。


 
強風ですぐに消えてしまうトレース、一歩一歩しっかり歩かないと進めなくなりました。
先ほどまであんなに汗かいていたのに、一気に身体が冷え、鼻水が溜まっちゃって(失礼)息苦しくなり、
立ち止まるのも嫌だったけどとにかく鼻をかまないと歩けません
ここまでほとんど同じペースで後ろにいたカップルに先に行ってもらいました。



ごおおおおーーーー にゃーーーっ




痛い痛い!顔にあたる雪が痛い!
バラクラバを持参していたのに、油断して着けていませんでした。
ここでザックを降ろして何かをするのは無理、とにかく先へ進むしかないのですが風が強くて進まない



なんとか尾根に乗りましたが、時折叩きつける突風で耐風姿勢?を取らないと転んでしまいます。
(前を行く女性が転んでいました)


 
山頂は目の前、岩の上。
わかんでは進めないので、山頂直下の唯一風をよけられる場所でアイゼンに付け替えます。
が、もうわかんのベルトも凍りついて外せず、ここでもモタモタ。強風でも晴れてるからまだよかったけど。
自分の準備不足&手際の悪さに呆れた瞬間でした。


山頂まではものの1,2分で到着しましたが・・・



強風で雪がいたーい
じっと立っていられなーい
景色楽しむとかそんな余裕も無く・・・




証拠写真だけ撮って3分で撤収



ネックウォーマーから少しだけ出ていたほっぺたの感覚がなくなりますた・・・




風のない場所まで降りてきて、やっと落ち着いて後ろを振り返ります。
写真には写らなかったけど、雪煙が上がっていますね、これがウワサの安達太良山の強風?



矢筈森と鉄山方面。



峰の辻までくるともう穏やか。ふーっと肩の力が抜けました。
さあ、くろがね小屋を目指しましょう。


 
東北の山は雪深い、と聞いてはいたけれどなるほど。
私には今までに体験したことの無い深さでした、転ぶと立ち上がるのが大変

あ!小屋が見えた!


 
りっぱな小屋ですねー。
黒い釣鐘が迎えてくれました。


 
14:00、小屋に入るともう既に宴会が始まっているグループが4組ほど。
私たちは行動食すら取らずに来てしまったからお腹が空いたー。
でもここまでたったの3時間しか歩いていないからお昼抜きでちょうどよかったかな。


手続きの際小屋番さんに、
「お散歩楽しかった~?」と言われ、
「お散歩かぁ(笑)やっぱり風強いんですね」と言ったら、
「なーにいってんの!今日はまだ序の口。風の強い時は1歩進んだら3歩は戻されてほふく前進しないと進めねーの」
「今日のでもすごいと思うのに。自分の未熟さがよーく解りましたよ」
「うん、それでいーんじゃん。もっと上を目指そうって思えると楽しいじゃない。嫌いにならないで何度でも来てよね」

大勢の登山客相手に甲斐甲斐しく働く小屋番の伊藤さん。
面白いだけじゃなくて、忙しいのに誰に対してもユーモアたっぷりに対応されてさすが、と思いました。



 
何度も写真で見てきた小屋は、写真で見るより更に良い雰囲気でした。
ゆったりとした開放感のある創りなのに暖かく、木のぬくもりが一杯。
これは居心地最高ですね


 
私たちは2階の6人部屋、でもこの日は5人でゆったり。
廊下との境にはカーテンがあるので相部屋でもとても落ち着きます。


 
一番の楽しみである温泉は、男女別になっているので時間を気にせず入れます。
湯の花がいーーーぱいの源泉掛け流し、火山の恵みそのままのお湯は最高



 
ダルマストーブのおかげか?半袖でもOKなほど暖かな食堂。



  
(鈴木みきさんのメッセージもありました)
今回は独り復興支援のつもりでお酒類は一切担がず、ここで購入。
いつもなら自炊だけど食事も頼んである。
※ビール¥400 日本酒¥300 ワインハーフ¥1000 机上のバーナー使用禁止、床ならOK。
カセットコンロと土鍋の貸出アリ(要予約¥1000?)

夕飯までのひとときは、持参したチーズフォンデュ(笑・きっとダンナも食べたかったんだね)をつまみに、
温泉→ビール→温泉→会津のワイン→日本酒→またビールに戻り・・・

こんな居心地良かったら、飲みすぎちゃうよー


 
5:30には美味しいと評判の手作りカレーの夕食が出てきました。
ちょっと甘くて辛い、作り手の真心が伝わる美味しいカレーでした(お替りは早いもの勝ち)


くろがね小屋、サイコーです


食後にもう一度温泉に入り温まったおかげか?喉は相変わらず痛かったけどゆっくり眠れた夜でした。


続きます