やはりというべきか、JR西日本が三江線の廃止を表明しました。今日の13時11分付で朝日新聞社が「三江線の廃止、JR西が表明 輸送密度はJR最下位」(http://digital.asahi.com/articles/ASJ8X5GJ6J8XPTIB00F.html)として報じているほか、時事通信社なども報じています。
このブログでも何度か、三江線を取り上げてきました。2015年10月17日15時2分21秒付の「三江線は廃止されるか」でも記しましたように、この路線は国鉄時代から営業成績の悪いことで有名で、全通する前、三江北線、三江南線の双方が赤字83線として国鉄諮問委員会から廃止を勧告されています。道路の未整備や、浜原〜口羽が建設中であったことが存続の理由ともなったのですが、高千穂線や可部線(可部〜加計の部分)などと同じく、廃止が勧告されながら延長区間が開業した訳で、矛盾していました。今から思えば、赤字83線の時点で廃止されていれば、その後にまで問題を引きずって大きくしていくようなことにはならなかったとも言えます。要は遅きに失した訳です(寝台特急の廃止にも同じようなことが言えます)。1975年の全通後も業績が悪いままで、1980年には特定地方交通線に指定される可能性もあったのでした。
三江線はいわゆる陰陽連絡線の一つですが、起点は江津、終点は三次であり、山陰本線の沿線にある主要都市と山陽本線の沿線にある主要都市とを直接結んでいる訳ではありません(伯備線などとは異なる訳です)。開業以来、定期列車としての特急や急行は一度も設定されておらず、国鉄もJR西日本も陰陽連絡線として重視していなかったことがわかります。また、輸送人員も一貫して減少し続けており、2014年度の輸送密度は50人で、JR全路線のうち、最下位を記録しています。これは、単に沿線の過疎化、人口の減少というだけではなく、沿線地域のモータリゼイションも理由となっているのでしょう。つまり、地元では多くの人が通勤通学の手段として自家用車を優先して選んできたということです。
(もっとも、これまでの記事でも書いたように、莫大な赤字を抱え、2012年には社会実験としてバスの増便を行ったりもしている路線で、災害の度に大金をはたいて復旧させてきたのは何であったのか、という疑問は残ります。)
JR西日本の米子支社長が三江線の廃止を表明したのは、今日、島根県美郷町で行われた三江線改良利用促進期成同盟会においてでした。ただ、廃止時期は表明されていません。そのため、JR西日本がいつ国土交通大臣に廃止を届け出るかが気になるところです。
同盟会で検討した結果が上記記事にも記されているので見ておくと、仮に三江線を鉄道線として存続させるとして、JR直営のままの場合はよくわかりませんが、第三セクター化するとなるとトータルで年間最大8億5千万円の負担が、第三セクター会社や沿線自治体にかかってきます。三江線の2014年度の営業収益がおよそ2300万円程度ですから、採算は全く合いません(ちなみに、三江線の2014年度の営業費用はおよそ8億4800万円です)。そればかりか、第三セクター会社はすぐに経営破綻するでしょうし、沿線自治体の財政状況もいっそう悪化するでしょう。
それでは、バス化したらどうなるでしょうか。同盟会は、バス化した場合の沿線自治体などの負担を年間1億2000万円から1億9000万円までの間としています。これでも費用が収益の5倍から8倍程度となりますが、鉄道のように約37倍ということにはならないでしょう。但し、元々沿線人口が少なく、バス化でいっそう乗客が減るということもありえるので、注意しなければならないでしょう。1980年代に廃止された特定地方交通線の代替路線バスの状況を大まかに見ると、転換から10年、20年ほど経過して全面廃止などに至る例が少なくないようです。
いずれにせよ、賽は投げられたということでしょう。
次に注意しなければならないのは、JR西日本の他の路線です。極端に本数が少ない路線、利用客が極端に少ない駅(1日平均で1人未満)もあるようなので、注視しておく必要はあります。
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