2015年11月9日17時31分32秒付で「中央大学法学部が都心に戻る?」という記事を投稿しました。同日付で、中央大学の公式サイトに中長期事業計画(Chuo Vision 2025)が発表されていました。
2025という数字は、中央大学の創立140周年を意味します。すなわち、今年(2015年)は130周年なのです。
何と言っても法学部の都心回帰が話題となっておりますが、中長期事業計画は大きく3つの柱を打ち立てています。最初にあげられているのは、八王子市東中野の多摩キャンパスにいくつかの新学部を創設することです。その次に法学部の移転があげられており、しかも「第一候補」とされているのですが、思考の順番は逆であったことでしょう。
同大学の法学部の出身であり、現在は大東文化大学法学部の教員である私としては、法学部の移転などに関心があります。これは、単なる移転ではなく、キャンパスの統合も含まれています。現在、文京区に後楽園キャンパス、新宿区に市ヶ谷キャンパス(市谷本村町)と市ヶ谷田町キャンパス(市谷田町)があり、これらを後楽園キャンパスに統合するようです。そこへ、多摩キャンパスから法学部を移し、市ヶ谷キャンパスから法科大学院を移す、ということなのでしょう。市ヶ谷キャンパスがやや不便なところにあるようですし(実は一度も行ったことがありません)、法学部、法学研究科および法科大学院が別々の場所にあることにそれほどの有意義性はないと思われるので、統合は望ましい話でしょう。後楽園キャンパスは、JRの駅から多少離れていますが、地下鉄が4本集まっており(後楽園駅に丸ノ内線と南北線、春日駅に三田線と大江戸線)、利便性は高いのです。
ただ、図書館については気になります。蔵書数の関係で、多摩キャンパスにある中央図書館でも別置扱いになっている文献が多いのです。また、今年から市ヶ谷田町キャンパスの図書室を時々利用するので多少はわかるのですが、分置されている場合も少なくありません。これらをどうするのかは、決して小さくない問題です。
それにしても、後楽園キャンパスの強化については、随分と思い切ったことをしようとしている、と感じます。今や、中央大学の看板は法学部と理工学部、そして大学院法務研究科(法科大学院)です。法学部の場合は、中央大学が英吉利法律学校として創立されたという歴史的な理由がありますが、理工学部の場合は後楽園キャンパスから移転しなかったという部分が大きいのではないかと考えられます。
キャンパスについて気になる点を記しておきましょう。まずは市ヶ谷キャンパスと市ヶ谷田町キャンパスです。市ヶ谷キャンパスには大学院法務研究科、市ヶ谷田町キャンパスには大学院国際会計研究科(専門職大学院。アカウンティングスクール)および大学院公共政策研究科がありますが、中央大学は、明確に後楽園キャンパスと多摩キャンパスに集約化する方向性を打ち出しています。法務研究科は後楽園キャンパスに移すのでしょう。また、市ヶ谷田町キャンパスにある二つの研究科のうち、公共政策研究科は2016年度以降の学生募集を停止しますし、国際会計研究科は2017年度以降の募集を停止します。そのために統合するのでしょうが、どこかへ売却することとなるのでしょうか。
そして、現在のメインとなっている多摩キャンパスです。複数の学部を新設すること、総合政策学部(この学部は、私が在学していた頃には存在していなかったものです)を改組すること、この双方を結びつけることが示されていますが、看板となる学部が出るのでしょうか。ただでさえ、日本の学位は多すぎ、他国で通用しないようなものも少なくないのです。学問の多様化や社会の変化と、学部の多様化は、全く別個の問題です。
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