ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

収束はいつ?

2020年03月10日 21時07分05秒 | 社会・経済

 3月も中旬になりますが、今も収束の気配は見られません。それどころか、日本も、イタリアも、その他の国も、感染拡大の傾向がみられます。9日の東京証券取引市場における日経平均株価は1000円以上の大幅安、東京外国為替市場でも円高になりました。

 そもそも、病原菌の蔓延、流行ですから、一週間や二週間という短期での収束を期待するほうが理に適っていない訳である、とも言えます。早くて1か月というところでしょうが、既に1か月は経過しています。4月か5月までは影響が残るであろうと考えるべきではないでしょうか。しかも、これは比較的楽観的な見通しであることも記しておきます。

 既に、あちらこちらに影響が出ています。皆様も既に御存知の事柄が多いでしょう。私自身もこのブログでいくつかのことを書いています。私が勤務する大東文化大学でも、今月19日の卒業式に加え、4月11日に実施される予定であった入学式の中止が決まっています。

 さて、今日(2020年3月10日)15時52分付の朝日新聞社「東海道新幹線の利用者56%減 3月初め、前年比で」(https://www.asahi.com/articles/ASN3B54ZWN3BOIPE009.html?iref=comtop_list_biz_n05)という記事は、見出しだけで十分にわかるものですが、致し方ないところもあるとはいえ、また、或る程度は予想されていたであろうとはいえ、日本の公共交通機関に大きな打撃を与える結果が報じられたこととなります。

 大きな打撃と言えば、3月7日12時34分付の朝日新聞社「JR北海道、特急列車の利用者7割減 列車減便も検討」(https://digital.asahi.com/articles/ASN366VQ6N36IIPE00V.html)も衝撃的な内容であると言えます。そればかりでなく、長らくの苦境が伝えられているJR北海道にとっては、正に退っ引きならない事態となりました。2月29日〜3月1日の2日間だけの話ですが、在来線の特急列車の利用者が前年度同時期の週末と比較して実に7割の乗客減となった、というのです。また、北海道新幹線で65%減、快速エアポートで50%減となっています。

 2月には在来線の特急で30%減、北海道新幹線で15%減、快速エアポートで10%となっていたようなので、2月末日および3月初日の状況が続くならば、このブログでも何度となく取り上げてきた10路線13区間どころではなくなる可能性も高くなります(ちなみに、札沼線の北海道医療大学前〜新十津川の廃止は2020年5月7日です)。

 乗客が減少して収入が減ったからといって、経費が自動的に減る訳ではありません。そこで、JR北海道は減便の検討を始めています。JRグループのダイヤ改正は今月14日に行われることとなっていますが、少なくともJR北海道の場合、正規のダイヤ改正とは別の臨時ダイヤ編成が行われることも考えられます。

 上記朝日新聞社3月7日記事によれば、JR北海道の2019年4月〜12月の(線区別)収支は、全路線で365億円の赤字で、前年同期よりも25億円ほどの改善とはなっています。また、「『単独では維持困難』として国や自治体に財政支援を求める」8線区では97億円の赤字で、5800万円ほど悪くなっているとのことです。

 〔この記事では8線区の具体名が書かれていませんが、おそらく、宗谷本線の名寄〜稚内、根室本線の釧路〜根室(通称「花咲線」)、根室本線の滝川〜富良野、室蘭本線の沼ノ端〜岩見沢、富良野線の富良野〜旭川、釧網本線の東釧路〜網走(全線)、石北本線の新旭川〜網走(全線)、および日高本線の苫小牧〜鵡川でしょう。

 もう一つ、この状況下で深刻な打撃を受けているのが音楽業界でしょう(勿論、他にも様々な業界が受けていることを承知していますが)。3月9日20時付で朝日新聞社のサイトに掲載された「もう食えない、3月末が限界 危機下で音楽は不要なのか」(https://digital.asahi.com/articles/ASN395HX2N39UCLV00Z.html)を読み、そこに書かれていること(インタヴュー記事です)と、私自身が3月7日に行く予定であったフィリアホールでのコンサート(千住真理子さんがイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ全曲を演奏するというものでした)が延期になったこととを重ね合わせていました。

 コンサートを行うにもかなりの費用がかかります。それが「吹っ飛ぶ」訳ですから、中止は大きな損失を産み出し、音楽家はもとより、多くの人々の行き場をなくします。大規模な音楽事務所などであればまだ持ちこたえることができるかもしれませんが、中小規模であれば倒産ということも頭に置かなければならなくなります。 

 今回は、私が関心を持っているところに焦点を当てましたが、まだまだ続くこととなりそうです。


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