愛媛県の県庁所在地である松山市を中心に鉄道網を展開する伊予鉄道には、有名な坊っちゃん列車があります。松山市内線を土休日に運行するもので、夏目漱石の有名な小説にあやかって名付けられました。明治時代に運行された蒸気機関車および客車を再現したものですが、実際にはディーゼル機関車であり、客車にはビューゲルという集電装置が付けられています(但し、ダミーです。松山市内線ではポイント操作のためにトロリーコンタクターという装置を使うため、ビューゲルが付けられています)。
その坊っちゃん列車が、11月から運休となるようです。時事通信社が、2023年10月13日20時45分付で「坊っちゃん列車、11月から運休 『深刻な運転士不足』―愛媛・伊予鉄」として報じています(https://www.jiji.com/jc/article?k=2023101301265&g=eco)。
運休の理由としては、今や全国的な、2023年問題と表現してもよい問題、すなわち、深刻な運転士不足があげられています。
実際、伊予鉄道および伊予鉄バスの連名で10月13日に発表された「郊外電車郡中線・市内電車・路線バスのダイヤ改正について」という文書には「電車・バスの深刻な運転士不足および2024年問題に対応するため」に11月1日にダイヤ改正を行うと書かれています。この文書によれば、郡中線の土休日ダイヤ、市内電車松山市駅線の平日ダイヤおよび土休日ダイヤ、市内電車本町線の平日ダイヤが改正されることにより、運転間隔が広がり(現行のダイヤを見て、郡中線で15分間隔となっていることに驚きました)、本町線に至っては14時台以降は全く電車が走らないようになります(現在でも土休日には運行がありません)。
バスの減便も目立ちます。例えば、松山観光港リムジンバスは、道後温泉行きについては現在の11便から3便に減らされると共に、松山観光港行きについては全便運休とされます。
四国で最も人口が多い松山市(NHKラジオ第1放送の列島リレーニュースでは松山放送局から四国の情報が流されます)においてこのような状況です。他の地域でも推して知るべしということになってもおかしくありません。まして、観光輸送の目玉となっている坊っちゃん列車を運休せざるをえなくなっているのです。季節による変動を考えるとしても、観光列車を運休させてでも事態に対処しなければならない訳で、伊予鉄道だけでなく、松山市、さらに愛媛県にとっても打撃となるでしょう。
妙な表現になってしまいますが、2023年秋になってから、日本各地で運転士不足のドミノ倒しが生じているような気がします。
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