前に Fender のコンボアンプを鋸でぶった切ってエフェクター兼ヘッドアンプを 作ったのですが、今回はVOX のコンボアンプを解体して、同じようなものを作っていたのですが、
木枠制作にあたっての、振動が影響したのか、試しに電源入れたら、ショートして、ヒューズが飛んでしまいました。
配線のショート箇所がどこかに無いかなど、色々と点検したうえ、フューズを取り寄せて、もう一度電源をいれましたが、また、フューズが切れて結局ダメでした。目に見えない部品の中でショートしていると思われ、修理は困難なので、ゴミとなってしまいました。
あとは、外側の黒シートを貼るとこまで来ていたのに、ほんとうにがっくり来ました。
ところが、
禍福は糾える縄の如し。
この落ち込みを取り返そうと、ひっちゃきになって、デジマートを眺めていたら、むっちゃ楽しいものを発見。即ゲットしてしまいました。
Roland 「V-Guitar System VG-8」です。
初代のVGは1995年発売の「VG-8」で、その後に4つの新しいアルゴリズムの追加とオリジナルの機能強化を図る拡張キットとして「VG8S-1」が発売されます。
拡張された新機能は次のとおり。
•4つの新しいアルゴリズムとオリジナルの機能強化。
•HOLLOW ST アルゴリズム。共鳴胴モデリングによって、アコースティックギターやホローボディギターの特性をエミュレートし、各弦の振動をそのままステレオ出力。
・HOLLOW & AMP アルゴリズム 共鳴胴モデリング+アンプで出力
•DUAL AMPアルゴリズム。ペダル、アンプ、スピーカーキャビネットの2つアンプを並列につなげ、マルチマイキング効果、ツインギター、フットペダルでのレイヤー、モーフィング効果などを演出できる。
•VIO GUITARアルゴリズム VGM (Variable. Guitar Modeling)とHRM(Harmonic Restructure Modeling) を組み合わせた今までにない新しいインストメントを創造。
•15のピックアップ、アンプ、エフェクターを追加(Rick, Tele, LP w/P-90's, Silvertone w/Lipstick's, LP w/PAF's, Gretch, and Strat w/S-S-H active EMG Pickup Models.)
(Flat, Round, f-Hole, Metal (for dobro) and Banjo Guitar Body models.)
(SLDN, British Combo and Modern Stack Guitar Amplifier Models.)
(British 2x12, Classic 4x10, and Modern Stack Speaker Models.)
•ワウワウペダル、ピッチペダル、HRMカットオフ、およびその他のリアルタイムコントローラーを割り当て可能にした。
•ピッチシフトの機能にハーモニストやペダルコントロール、ピッチグライドを追加。
•GK-2AのS1とS2スイッチでギターのピックアップを変更できるようにした。
↓これを、背面のメモリーカードスロットに差して、システムのバージョンアップをするという、今では考えられないアナログなファームウエアのバージョンアップ方法。
どうも、このキットが5万円弱したらしい。
「VG-8」に「VG8S-1」を追加した状態は「VG-8 XPANDED」となって、その旨のステッカーが任意に貼られて流通しています。
その後発売(1998年)になった「VG-8EX」は機能的には「VG-8 XPANDED」から、E_BANK の32のプリセットパッチが増えた製品(XPANDEDでC_BANK、D_BANK の64パッチが追加された)のようですが、ハード上も基盤から異なるリニューアル製品だそうです。
結局、VG-8 は当時の定価が195,000円もしたので、VG-8 XPANDED を手に入れようとするには、実質25万円もする高価な機器になっていました。
いつも言うようですが、当時最先端の音響機器を使っていた人たち(決してプロばかりではないと思います)の金持ちさといったら半端ないですね。
で、今回手に入れたのは、結局、機能が拡張されて、名称にEXがついた「VG-8EX」です。この辺も幸運でした。ヤフオクでは拡張カードのみが取引されていますから、今でもファームウエアのバージョンアップに対する需要があるのでしょう。
見分け方は、V-Guitar ロゴの背景の「V」がオレンジ色(V-8 はブルー)になったのと、MOD、DELAY、REVERB の文字がフットスイッチの上に新たに印刷されたことで区別されています。
こうした外見だけでなく、ノイズの低減などハード的にも改善されたそうです。
で、なにができる機械かというと、GK用ディバイデッド・ピックアップをつけたエレキギターを接続すれば、現存するすべてのギターの音や、本来のエレキギターにあらざる音に変換して出力(この点ギターシンセサイザーではなく、エフェクターなのですが)してくれるというものです。
アンプ・エミュレーション・システム 。LINE6 Helix や Kemper の先駆けといったところでしょうか。ただ、ギター・エミュレーションに中心がおかれているところが特徴的です。
DEMO PATCH FOR VG 8
弾いているギターの種類はディバイデッド・ピックアップをつけられるものなら、なんでもOKで、出てくる音は、Fender Storato 、telecaster、Gibson Les Paul 、Grechのエレキギターや、Martin のアコースティックギターに化けてしまうという夢のような楽器です。
現在は、BOSS の GP-10 が、同じような機能の最新型ということになるみたいです。
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BOSS GP-10 Guitar Processor
さて、弾いてみてびっくりしました。いままでの安いエフェクターと全く音が違います。ヘッドフォンを通して聞くと、そこに高級アンプがあって、その前で弾いているリアリティーが半端ないです。
例えば、A11 という一番若い番号のパッチですが(ここに置いたということは、Roland の一押しの音ということでしょう)、
ネーミングが「V-INTAGE」で、「 VGM AMP MONO ST-C+R PU mild distorted Tweed 2x12" with chorus, delay and reverb 」の説明がなされています。
つまり、Variable. Guitar Modeling (※)を使って、モノラルで出力し、Fender の Strato Caster のセンターとリアのピックアップ を開けたギターを使用。アンプはマイルドなディストーションのFender Tweed アンプ(12インチのスピーカー2発)にコーラスとディレイをかけたものというセッティング。
(※)電子回路(真空管やトランジスタ)、磁気回路(ピックアップ・トランス・スピーカー)、ギターの素材(木材、金属、塗料)などのモデリングを用いて、現存するあらゆるギターのサウンドを作り出すモデリング技術。
もちろん、いま持っている、ZOOM の マルチエフェクター G1Xonでも、同じようなセッティングはできますが、音のリアル感が全然違います。更に、6弦から1弦まで、音の痩せないバランスの取れた音がして、Squier by Fender の安いギターが、Fender Custom Shop の 高級ギターに変身したかのような錯覚に陥ります。
更に、ピックアップの信号で、機器に内蔵されたPCM音源を鳴らしているわけではない(ギターシンセとは異なる。その証拠にギターの弦をこする音もちゃんと出ています)のに、まったく違った音色(ドロップチューニングやオープンチューニングも VG-8EX 側でできる)が出るので、いったいどこまでが、自分のギターの音なのか、頭が混乱する感覚があります。それほどモデリングがリアルです。
また、ディバイデッド・ピックアップが各弦ごとに分けて信号を拾っているので、12弦ギターのリアルさは格別です。つまり6弦から3弦には1オクターブ高音の弦が、2弦と1弦には同じ弦が張られているのを忠実に再現しているのです。
20年以上前にこのような実験的な機器を世に送り出していた、Roland の技術力には驚嘆させられます。
如何せん、でかい!!VOX Bass アンプが小さく見えます。
ただ、さすがに20年以上前の機器だけあって、PCとの連携が貧弱で、MIDIのSys-Ex 信号 のやりとりしかできません。フリーのパッチライブラリアンがあるにはあるのですが、このEXEファイルが、カスペルスキーにウイルス判定されて、どうしても動きません。
MIDI-OX という、MIDI Sys-EXE 管理ソフトを使って、書き換え・保存するしかないのでしょうか。研究が必要です。
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