世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

行方不明?

2010年07月27日 | 人生
「赤岩さんのご家族の方ですか?」

ボクは直接質問には答えず、

電話をかけてきた男に訝しげに聞いた。


「いえ、そうじゃないんですけど」


じゃあ、なんなんだ。

怪しい。



「赤岩さんとはどういうご関係の方ですか?」

まだ、彼女がここにいるかいないかを答えずに、

こちらから質問を浴びせた。



男女関係のもつれか?

はたまた金銭トラブルか?


相手は、ヤクザなのか?



電話の相手は、中高年らしい落ち着いた低い声で、

ただの知り合いだ、とだけ答えた。



ますますもって怪しい。



「戸籍がお婆さんのとこへ届いたので赤岩さんに知らせようと思って」


男はなんだか訳の分からない理由を述べる。



「あなたは、どうしてここに電話を?」

ボクはたたみかけて聞いた。


「お宅に行くと連絡があったので」

「赤岩さんからですか? いつ連絡はありましたか」


なんだか刑事になった気分だ。


「昨日だったかな、イヤ一昨日(おととい)です」


ビンゴ!

ここにはじめて彼女が電話をかけてきた日だ。


「一昨日の何時ごろですか?」


「何時ごろといわれても、

エート、たしか、夕方5時ごろだったかな~」



彼女は、その時間までは確実にうちに来るつもりだったのだ。


ボクは、ここでやっと、男に経緯(いきさつ)を説明した。


「おばあさんがいらっしゃるのですね。

どうしてそこにいかなかったのですか?」


「住民票がまだ届いてなかったものですから」


意味不明。



男の連絡先を聞いて、

どちらかに彼女から連絡が入ったら、お互いに知らせることにした。



そして、いまだ、音信不通のままだ。