カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

AMRO 地域経済見通し2023発表 カンボジア経済は回復へ

2023年04月19日 | 経済
 4月6日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、ASEAN+3地域経済見通し2023年版を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN+3(ASEAN10か国と日本、中国、韓国)による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 AMROは、今回の見通しで加盟13カ国の経済が回復傾向にあると見て、GDP成長率見込みを2022年3.2%(昨年10月予測3.7%)、2023年4.6%(同4.9%)、202年4.5%と予測しました。ASEAN10か国では、2022年5.6%(同5.3%)、2023年4.9%(同4.9%)、2024年5.2%と見ています。AMROでは、世界的な需要減退と金融引き締めに対してこの地域は耐久力があるとしています。中国の回復にも支えられて、観光の回復と域内の貿易拡大により、欧米の需要減退を緩和できると見ています。物価上昇率(13カ国)も、2022年の6.5%から、2023年4.7%、2024年3.0%と低下するとしています。
 カンボジアについては、成長率を2022年5.0%(同5.0%)、2023年5.9%(同5.4%)、2024年6.7%と予測しています。2022年は、製造業の堅調な輸出に支えられて経済は回復したとしています。2023年は、世界的な需要減退による輸出の減退が予測されるものの、中国の回復に伴う観光の回復等により成長は加速すると見ています。物価上昇については、2022年5.4%、2023年3.3%、2024年3.1%と落ち着いてくるものと予測しています。対外収支については、経常収支の赤字(対GDP比)は、2021年には45.7%にまで悪化しましたが、2022年には32.7%にまで戻しています。また、外貨準備は2022年末には178億ドル(輸入の8.4か月分)と非常に安定的なレベルにあるとしています。政府部門は、2021年の赤字がGDP比8.5%に達しましたが、2022年は5.4%にまで戻しました。日本等の支援もあって、公的対外債務はGDP比35.9%と問題ないレベルに留まっています。
 カンボジア経済のリスクとしては、世界的な需要減退、金融引き締め、国際石油価格の高騰、地政学的緊張の高まり等を挙げています。更に、民間向け貸付の増大、特に、中央銀行による金融監督が十分に行われていない不動産開発業者による不動産向け貸付のリスクに警鐘を鳴らしています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施しています。

ASEAN+3マクロ経済調査事務局の発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/asean3-expected-to-grow-by-4-6-percent-led-by-rebound-of-china/


↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村 海外生活ブログ カンボジア情報へ
にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする