カンボジア経済

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総選挙結果確定 人民党が圧勝

2023年08月14日 | 経済
 8月5日、カンボジア国家選挙管理委員会は、7月23日に投票された国民議会選挙の結果を発表しました。与党のカンボジア人民党が全125議席中120議席を占めるという圧勝に終わりました。
 注目されていた投票率については、971万645人の登録有権者のうち821万4430人が投票し、投票率は84.59%と、前回の2018年の82.17%を上回りました。選挙前に、政権側が、野党等の棄権の呼びかけに対して厳しい対応を取ったため、棄権した場合の後難を恐れ、多くの有権者が投票せざるを得なかったものと見られます。なお、投票するものの投票用紙にバツ印をつける等して無効票とすることで抵抗の姿勢を示す有権者もいた模様で、無効票は44万154票(投票数の5.4%)に達しました。
 有効投票数777万4276票のうち、与党人民党の得票数は639万8311票(有効票の82.3%)に達し、120議席を獲得しました。野党の中では、フンシンペック党が71万6490票(9.2%)で5議席を獲得しました。その他の16政党は、議席獲得には至りませんでした。
 今後は、組閣に注目する必要があります。フン・セン首相は退陣を発表し、後任には長男のフン・マネット氏(45歳)が8月22日に指名され、新内閣が発足するとしています。首相が若返ることにあわせて、閣僚メンバーも今回は大きく若返ると見られており、40歳代の新進気鋭の大臣が10名以上誕生するとの予測もあります。これまで政権中枢でフン・セン首相のライバルでもあり、協力者であった60~70歳代の第1世代が引退し、海外留学経験もある若い第2世代が台頭してくるものと見られます。こうした新しい若い力に、期待する声も聞かれます。
 今回の選挙では、最大野党のキャンドルライト党が参加不可となり、政権に批判的なマスコミが様々な形で圧力を受ける等、政権側の強権的な手法がとられたため、欧米を中心として強い批判が寄せられました。残念ながら、中国を後ろ盾としたフン・セン政権は、強気の態度を崩さず、結果的には圧倒的多数を占めるという圧勝でした。
 日本としては、カンボジアが中国に傾き過ぎず、また、中国をモデルとした真の意味での独裁・弾圧国家にならないよう、硬軟両用で様々なチャンネルを通じて穏健に対話を継続していくことが期待されます。なお、今回の選挙では、様々な圧力により人民党に投票せざるを得なかった有権者もいたものと見られますが、人民党政権を積極的に支持している有権者も相当の割合に達しているという事実には、しっかりと向き合い、十分に配慮を重ねる必要も高いものと見られます。
(写真は、投票所において公開で実施されている開票の様子。AKPより)


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