カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

新型コロナ カンボジアの状況 10月18日 入国時隔離期間短縮

2021年10月18日 | 経済
 カンボジアの新型コロナウイルスの感染状況は、ワクチン接種の進展に伴い市中感染は減少傾向にあるものと見られます。しかし、デルタ株の感染確認が増加中で、感染拡大が懸念される状況です。10月17日の保健省の発表によれば、死者は累計2658名(10月10日から152名増)です。累計陽性者数は11万6665名(同1855名増)となっています。治癒数は11万870名(同3013名増)です。先週の新規陽性者のうち、市中感染は2871名、海外帰国・入国者の新規陽性は142名でした。タイからの帰国者を中心にデルタ変異株の感染拡大が進みつつあります。
 10月8日、フン・セン首相は、プチュンバン後10日間から15日間程度経過観察を行い、一日当たり平均死者数が20名以下等、新型コロナ感染状況が落ち着いている場合には、経済の全部門での活動再開を行う方針であると発表しました。この方針に沿って、規制が緩和されつつあります。プノンペン都は、10月15日にアルコール類の提供・販売禁止、一部業種(スパ、スポーツジム、博物館等)の営業禁止等の規制を解除しました。しかし、映画館やカラオケの営業禁止、50人以上の集会禁止は、10月28日まで2週間延長しました。入国規制についても、10月18日から隔離期間の短縮が実施されます。投資家・ビジネスマンについては、現地企業の保証状・招聘状がある場合には、隔離期間はこれまでの14日間から3日間に短縮されます。また、観光客等の一般客についても、ワクチン接種済の場合は、7日間に短縮されます。必要書類や陰性検査等の諸条件があります。運用は今後ですので、実際の対応がどのようになるのか注視する必要があるものと見られます。また、経済再開の条件として、市場、ショッピングモールや学校等へ入場する際にワクチンカードの提示を求める規制が10月5日から導入されています。
 カンボジア政府は、11月18~20日に開催予定だった今年の「水祭り」を中止する方針を決定しました。水祭りは昨年に続き、2年連続での中止となります。
 ワクチンについては、世界的に見ても早いペースで接種が進んでおり、「カンボジアのワクチンミラクル」と呼ばれ始めています。10月16日現在で、1358万5319人(うち12歳~17歳177万4954人、6歳~11歳186万5401人)への第1回接種を完了しています。これは、カンボジアの人口(約1600万人)の84.9%に相当します。成人(18歳以上約1000万人)への接種について見ると、既に目標の99.5%に第1回接種を、95.9%に2回目を完了しています。なお、中国製ワクチンの効果が不十分であることから、ブースター接種(3回目)を行う方針です。優先対象者(医療従事者、60歳以上等)から開始されており、一般向けのブースター接種も10月11日からプノンペン都等で開始されています。10月16日現在136万5237人が3回目接種を完了しています。
 カンボジアでは、感染拡大に歯止めをかけるために4月にはプノンペン等のロックダウンに踏み切る等、厳しい規制を行ってきましたが、ようやく緩和の方向となっています。ただ、引き続き様々な規制があり、州毎に状況が異なっていますので、日本大使館のサイト等を十分にご確認ください。なお、カンボジアは、医療体制が脆弱という弱点があり、いわゆる医療崩壊の懸念がありますので、引き続きマスクやアルコール消毒といった対策の継続が必要と見られます。
(写真は、プノンペンのリバーサイド。人出が戻ってきています。10月12日撮影)

カンボジア日本人会のフェイスブック
https://web.facebook.com/Jacambodia/

在カンボジア日本国大使館のサイト
https://www.kh.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000431.html


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最近のダイヤモンドアイランド

2021年10月17日 | 社会・風土
 プノンペンの西側、バサック川の中州であるダイヤモンドアイランドでは、主に中国資本による野心的な不動産開発が進んでいます。久しぶりにダイヤモンドアイランドを訪問する機会があったので、少し見て回りました。「凱旋門」に似せた建物(写真上)や、中国系に人気の欧州風の建物等が完成していました。しかしながら、ほとんどの建物で、入居者がゼロの状態であり、ゴーストタウンと化していました。カンボジアの不動産は、中国から海外に逃避した外貨資産(主にドル建て)の投機対象となっていると言われます。このため、賃貸収入等が得られなくても、ドル建てで資産が確保できていれば良いという需要もある模様で、ゴーストタウンが次々に出来上がっている背景となっています。中国国内での不動産バブルの崩壊が懸念されている昨今、もし崩壊すれば、その余波がカンボジア不動産業にも及ぶ可能性もあるため、留意が必要と見られます。なお、カンボジア経済にとっては、これまで海外直接投資によって建設セクターが潤ってきたことも事実であり、マイナスばかりではありませんが、ブームにつられて提灯買いに走ったカンボジア人投資家は、中国人投資家ほどには余裕がないと見られる点も懸念されるところです。日本の湯沢のリゾートマンション群のようにゴーストタウンのまま老朽化が進むといった事態や、未完成のまま放置されるといった事態に陥ることも危惧されます。中国国内の不動産バブルの今後の状況や新型コロナ終息後の動向が注目されます。

川沿いに完成していた欧州風の建物群。ゴーストタウンです。


欧州風の街並みにも人影はほとんどありません。



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お手頃な和食店 Chidori

2021年10月16日 | 生活環境
 プノンペン南部、ロシアンマーケット近くの123通りにある和食店「Chidori」です。大きなガラスで明るい店内で、オープンキッチンとなっています。メニューは、おつまみや一品もの、ご飯ものがいろいろあります。ランチには、お得な定食も揃っています。今回は、ハンバーグ(6ドル)、豚肉生姜焼き(5.8ドル)、餃子(3.5ドル)、広島焼(7.5ドル)や小鉢料理(切り干し大根、ポテトサラダ)等をお願いしました。いずれもいい感じで、楽しめました。お値段もリーズナブルです。ランチタイムでしたが、お客さんは、日本の方が多いようでした。テークアウトも人気のようです。お酒が解禁になりましたら、ぜひ夜にも行ってみたいと思います。お試しください。

Chidori
https://web.facebook.com/CHIDORICAMBODIA/

広島風お好み焼き。ボリュームもたっぷりで美味しかったです。


豚肉生姜焼き。若い方に人気が出そうです。


ハンバーグ。肉汁たっぷりでした。


餃子と小鉢。次回はぜひビールと一緒にやりたいものです。



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日本 シェムリアップ上水道を支援 円借款63億円を供与

2021年10月15日 | 経済
 10月11日、プノンペンにおいて、三上正裕駐カンボジア大使とプラック・ソコン外務国際協力大臣との間で、円借款「シェムリアップ上水道拡張事業(第二期)」(供与限度額63億3600万円)及び5件の無償資金協力(供与額計16億円)に関する交換公文の署名が行われました。
 シェムリアップ市は、近年急速に人口が増加していますが、その給水率は25%程度とカンボジアの主要都市のなかで最も低い水準となっており、深刻な水不足が発生しています。また、シェムリアップは世界的に有名なアンコールワット遺跡群を有しており、現在は新型コロナの影響により観光客は減少しているものの、感染が終息した際には観光客数の増加が見込まれています。このような今後も増加し続ける水需要に対応するため、給水能力の向上が喫緊の課題となっています。今回の円借款は、シェムリアップにおける上水道設備の拡張を支援し、安全かつ安定的な上水道事業の普及を図るものです。事業の実施により、給水量が増加し、市民の生活・衛生環境が改善されるほか、観光産業を中心とした地域経済の発展に寄与することが期待されます。円借款の貸付条件は、金利は0.65%/年、償還期間は30年(10年の据置期間を含む)という大変譲許的な条件です。
 無償資金協力については、コンピューター数値制御(CNC)工作機械の供与(5億円)、全球測位衛星システム測量機器の供与(2.5億円)、材料試験機器の供与(2.5億円)、職業訓練機器の供与(4億円)、地雷源調査機器の供与(2億円)の合計5件、16億円です。
 今後も日本からの協力によって、カンボジアで必要とされる様々なインフラの整備が進むことが期待されます。日本が本当にカンボジアのためになる支援を引き続き行っていくことは、大きな意義のあることであり、日本とカンボジアの友好関係が深化していくことが期待されます。
(写真は、日本大使館のフェイスブックより)

外務省の発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000936.html


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AMRO  ASEAN各国の成長率予測を引下げ カンボジアは2.8%

2021年10月14日 | 経済
 10月7日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、ASEAN+3地域経済見通し2021年10月改訂版を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN+3(ASEAN10か国と日本、中国、韓国)による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 AMROは、今回の見通しで2021年の加盟13カ国のGDP成長率見込みを3月の予測から更に引き下げました。デルタ変異株の感染拡大等、新型コロナの影響が予想以上だったためとしています。ASEAN+3では、2021年6.1%(前回予測6.7%)、2022年5.0%(同4.9%)、ASEAN10か国では、2021年2.7%(同4.9%)、2022年6.6%(同6.1%)と見ています。カンボジアについても2021年は大きく引き下げ2.8%(同4.7%)としましたが、2022年は6.6%(同6.1%)に回復すると予測しています。ASEAN主要国も2021年成長率予測は概ね引き下げられ、タイ0.8%(同2.3%)、フィリピン4.3%(同6.9%)、シンガポール6.3%(同6.0%)、マレーシア4.1%(同5.6%)、インドネシア3.8%(同4.9%)等となっています。なお、物価上昇率は、ミャンマーでインフレが懸念される(2021年6.7%、2022年12.4%)以外は、概ね問題なく、カンボジアについても2021年3.3%、2022年2.3%と予測しています。
 AMROでは、回復への道はワクチン接種の進展が鍵となると指摘しています。ワクチン接種の進展により、旅行もサンドボックス方式等により再開されていくと期待を示しています。リスクとしては、ワクチン耐性があるウイルス変異株の出現等により新型コロナの影響が長引くことをあげています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施しています。

AMROの新聞発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/recovering-from-covid-19-transiting-smoothly-from-pandemic-to-endemic-new-normal/


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カンボジア中央銀行 為替市場で連続してドル売り介入

2021年10月13日 | 経済
 本年9月以降、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、為替市場に介入する目的で、金融機関を対象とした入札でドル売り・リエル買いを行っています。NBCでは、今年の為替レート(リエル対ドル)の動き(リエル安ドル高)に懸念を示し、リエルの購買力を維持して、物価安定・マクロ経済安定に繋げたいとしています。9月の介入は合計7回、総額1億7000万ドルでした。入札結果による為替レートは、4114リエル/ドル~4123リエル/ドルでした(9月6日2000万ドル:4122リエル・ドル、9月8日2000万ドル:4118、9月10日30000万ドル:4117、9月20日2000万ドル:4117、9月23日4000万ドル:4114、9月28日4121、9月30日2000万ドル:4123)。また、9月30日に、10月には総額2億ドル規模の入札を行うと発表しています。
 NBCが為替市場に介入するのは、昨年に引き続き2年連続です。しかし、2019年以前となると、9年ほどは実績がなく、2009年、2010年にリエルの対ドルレートが4200リエル/ドルを超えるリエル安となったところで介入していました。介入規模は、2009年29回で合計5400万ドル、2010年48回で合計4800万ドルとなっています。 昨年・今年は4100リエル/ドルを超えたところで介入を決定しており、若干早く感じますが、NBCでは、新型コロナの影響やドル金利の上昇もあって、新興国や周辺諸国の為替が不安定になる可能性が高まっていることに懸念を有しているものと見られます。
 日本が為替市場に介入したのは、カンボジアとは逆で円高を防ぐためでした。ドル買い介入は東日本大震災があった2011年が最後ですが、この年は合計で14兆2971億円をつぎ込んでいます。しかし、市場の力には抗しきれず、2011年9月には74円台まで円高が進みました。カンボジアの場合、高度にドル化されており、リエルの発行額も限定されているため、これまでは少額の介入で為替レートを適正化できています。しかし今年は、繰り返し介入しているにも関わらず、市場レートは4100リエル/ドル前後で大きく動いていません。今年の介入金額(3億7000万ドル)は、これまでで最大規模と見られますが、カンボジアは潤沢な外貨準備を保有(207億ドル)しており、介入のためのドルが不足するといった可能性は相当に低いものと見られます。
 NBCは、中央銀行デジタル通貨バコンを導入する等して、高度にドル化したカンボジアで自国通貨リエルの使用を促進しています。ドル建て取引が8割以上というドル化の中で、リエルの使用を促進するためにはリエル・ドルの為替レートの安定は欠くことのできないものであり、NBCの今後の動きを注視する必要があるものと見られます。
(写真は、プノンペン市内のガソリンスタンド。全量輸入に頼るガソリンは、リエル安になると値上がりすることとなる。10月4日撮影)


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米下院 2021年カンボジア民主法を可決 政権幹部に制裁

2021年10月12日 | 経済
 9月28日、米国の下院は、フン・セン政権中枢部への制裁を定めた「2021年カンボジア民主法(Cambodia Democracy Act of 2021)」を可決しました。今後、上院で討議される予定です。法案は、資産凍結やビザ制限等でフン・セン政権中枢部への圧力を強めるものです。なお、貿易制度(関税免税等)には言及していません。
 法案では、カンボジアは、2017年以降、メディアへの締め付け、野党党首の逮捕、最大野党の解党等の非民主的措置を続けていると非難しています。また、選挙も自由・公平・信頼性の原則を満たしていないとしています。こうした非民主的措置に関わった政府関係者について、資産凍結、米国への入国禁止(ビザ制限)等の制裁を行うこととしています。これらの措置が是正された場合には、制裁を解くとしています。
 カンボジアの主要産業である縫製業の主要輸出先は、米国及びEUであり、制裁が貿易に及ぶようなこととなれば、カンボジア経済への影響は無視できないものとなります。既に、EUは、特恵関税の一部停止という制裁を実施しています。また、正式な制裁でなくとも、カンボジア縫製業の主要取引先であるファストファッション企業等が、社会的な配慮や政府の意向を忖度してカンボジアへの発注を躊躇するようなケースも懸念されます。
 他方、こうした制裁措置は、強権的な中国との関係を背景としているフン・セン政権に打撃を与える可能性はかなり低いと言わざるを得ません。そうした中で日本は、我慢の外交を重ねて、カンボジアに少しずつ変化をもたらそうとしているものと見られます。「親中派」のカンボジアが中国に傾き過ぎないように、現実的なバランスの取れた外交・政策を実施していくことを後押ししていくことが重要と見られます。
(写真は、プノンペン市内。記事とは直接関係ありません)

米国下院のサイト(英文です)
https://www.congress.gov/bill/117th-congress/house-bill/4686


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2021年10月11日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」は、毎日更新して、カンボジア経済情報をデイリーにお伝えしています。これらの情報をまとめて週刊でメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しています。毎週月曜日に発行しています。「無料」です。
 配信御希望の方は、下記のアドレス、またはブックマークから、まぐまぐのページで皆様のメールアドレスのご登録をお願いします。

 メールマガジン「週刊カンボジア経済ニュース」
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新型コロナ カンボジアの状況 10月11日 在留邦人にブースター接種

2021年10月11日 | 経済
 カンボジアの新型コロナウイルスの感染状況は、ワクチン接種の進展に伴い市中感染は減少傾向にあるものと見られます。しかし、デルタ株の感染確認が増加中で、感染拡大が懸念される状況です。10月10日の保健省の発表によれば、死者は累計2506名(10月3日から123名増)です。累計陽性者数は11万4810名(同1585名増)となっています。治癒数は10万7857名(同3449名増)です。先週の新規陽性者のうち、市中感染は1477名、海外帰国・入国者の新規陽性は108名でした。タイからの帰国者を中心にデルタ変異株の感染拡大が進みつつあります。
 10月8日、フン・セン首相は、プチュンバン後10日間から15日間程度経過観察を行い、一日当たり平均死者数が20名以下等、新型コロナ感染状況が落ち着いている場合には、経済の全部門での活動再開を行う方針であると発表しました。ワクチン接種の進展と感染状況の落ち着きもあって、プチュンバンの3連休(10月5日~7日)は、国内の観光地は66万4697人の観光客で賑わいました。海沿いのカンポット、ケップ、シアヌークビル等が人気だったということです。
 他方、規制解除はなかなか行われず、シェムリアップでは、外出禁止等の規制が10月18日まで延長となりました。プノンペン都も映画館やカラオケの営業禁止、アルコール類の提供・販売禁止等の規制を10月14日まで1週間延長しています。また、プノンペン都では、市場、ショッピングモールや学校等へ入場する際にワクチンカードの提示を求める規制を10月5日から導入しました。プチュンバン連休中であったこともあり、現場でも対応はまちまちとなっているようですが、イオンでは、入場する際にワクチンカードのチェックがきっちり行われていました。なお、日本人学校は、接種していない生徒も暫定的に通学を認める方針で、カンボジア政府側にも説明していくとのことです。
 カンボジア日本人会等のご尽力により実現した在留邦人への日本製のワクチン接種は、10月8~9日に2回目接種、10月10~11日にブースター接種がプノンペンの国立母子保健センターで実施されました。また、シェムリアップ等地方での接種も実施されました。
 ワクチンについては、世界的に見ても早いペースで接種が進んでおり、「カンボジアのワクチンミラクル」と呼ばれ始めています。10月9日現在で、1348万746人(うち12歳~17歳176万5546人、6歳~11歳179万7180人)への第1回接種を完了しています。これは、カンボジアの人口(約1600万人)の84.3%に相当します。成人(18歳以上約1000万人)への接種について見ると、既に目標の99.2%に第1回接種を、95.3%に2回目を完了しています。なお、中国製ワクチンの効果が不十分であることから、ブースター接種(3回目)を行う方針です。優先対象者(医療従事者、60歳以上等)から開始されており、10月9日現在91万7995人が3回目接種を完了しています。一般向けのブースター接種も10月11日にプノンペン都から開始される予定です。
 カンボジアでは、感染拡大に歯止めをかけるために4月にはプノンペン等のロックダウンに踏み切る等、厳しい規制を行ってきましたが、ようやく緩和の方向となることが期待されます。ただ、引き続き様々な規制があり、州毎に状況が異なっていますので、日本大使館のサイト等を十分にご確認ください。なお、カンボジアは、医療体制が脆弱という弱点があり、いわゆる医療崩壊の懸念がありますので、引き続きマスクやアルコール消毒といった対策の継続が必要と見られます。
(写真は、入口でワクチンカードのチェックを行っているイオンモール。10月8日撮影)

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在カンボジア日本国大使館のサイト
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カンボジアで日本製ワクチン 第2回及びブースター接種

2021年10月10日 | 生活環境
 カンボジア日本人会や在カンボジア日本国大使館のご尽力により、カンボジア在留邦人への日本製アストラゼネカワクチンの第1回接種が8月30日・31日に行われました。これに続き、第2回目の接種及び中国製ワクチン接種済みの在留邦人のためのブースター接種(3回目)が実施されました。プノンペンでは国立母子保健センターで、2回目は10月8日・9日、ブースターは10月10日・11日に実施されました。この他、シェムリアップで10月8日に、バンテミンチェイ州で9月30日・10月1日に実施されました。全て日本製のアストラゼネカワクチンで、無料です。私も、10月9日に第2回接種を完了しました。
 各国の在留邦人へのワクチン接種については、一時帰国時に成田や羽田の到着空港で実施されていますが、現地で安全・安心の日本製のワクチン接種ができたのは、カンボジアが数少ない例の一つではないかと見られます。カンボジア日本人会、カンボジア日本人商工会、在カンボジア日本国大使館の関係者のご尽力に深く感謝したいと思います。また、カンボジア政府、国立母子保健センター等のご理解とご支援にも感謝したいと思います。最近は「親中国」と言われることの多いカンボジアですが、アジアでは数少ない本当の「親日国」でもあります。日本とカンボジアは、長く深い友好関係を続けてきており、これまでに積み上げてきた友好関係がこうした時に効果を発揮すると実感させられます。
 
カンボジア日本人会のサイト
http://www.jacam.cc/

国立母子保健センターは、日本政府の協力で建設され、その後も様々な技術協力が実施されました。



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プチュンバン2021

2021年10月09日 | 社会・風土
 プチュンバンはカンボジアのお盆です。今年は10月5日から7日までプチュンバンの3連休でした。例年ですと、多くの人々が田舎に帰って家族で集まるので、セントラルマーケット近くのミニバス乗り場も稼ぎ時で、お土産を抱えて地方に戻る人たちで賑わいます。しかし今年は、新型コロナ対策でプチュンバンの各種行事が禁止されていることもあって、例年ほどではありません。お寺に入れないので、食べ物等の寄進を入り口で受け付けたり、お坊様のお話(説教)をオンラインで行ったりと、新型コロナ対策で色々と工夫はされているようです。
 プチュンバンは、仏教徒のカンボジア人にとっては、重要な宗教行事で、日本のお盆ととても似ています。お祭りは15日間続きます。この間、人々は地元のお寺だけではなく、遠くのお寺まで出かけて、お布施をします。先祖の魂と再会するために、少なくとも7か所のお寺を回らなければならないとされています。先祖の魂は、プチュンバンの15日間の間だけは自由に動き回ることを許されると言われ、食べ物等を供えてお迎えします。
 お寺にお参りする際には、男女ともに白いシャツを着てお寺に入り、まずご本尊に蓮の花とお線香を差し上げてお祈りします。その後、お坊様にお経をあげていただきます。また、ご先祖に捧げる食べ物は、お坊様に食べていただくことでご先祖様に届くということで、ご飯とおかずをお渡しします。お寺の中には、多くのごちそうがずらりと並びます。ご飯は、外に並べてあるたくさんのツボに少しずつ分けて入れます。最後に、砂で山を作ります。これは、パゴダを作ることを意味しています。
 今年は、新型コロナの影響でお寺巡りも禁止となったため、閑散としたプチュンバンでした。来年は例年通りににぎやかに行事ができることを期待しています。
(写真は、2018年のプチュンバンのお寺の様子。多くの信者からお寺に料理が寄進されます)

今年のセントラルマーケット北西のミニバス乗り場。帰省客が少なく、客待ち顔のみにバスが並んでいました(2021年10月4日撮影)。



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IMF IV条協議2021 成長率予測を引き下げ

2021年10月08日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。9月13日から9月17日までオンラインで実施されたIMF調査団とカンボジア政府との協議結果について、9月28日にIMFから発表がありました(なお、詳細なレポートは、通常2ヶ月ほどで発表されます)。
 カンボジア経済は、2020年から新型コロナの影響で外需が減少したことに加え、2021年2月からの国内感染の拡大による内需の減少によっても打撃を受けています。2021年のGDP成長率予測については、これまでの4.2%から2.2%に大幅に引き下げました。2022年については5%程度に回復すると見ています。また、新型コロナ以前の高度成長に回復するのは2~3年を要するとしています。2021年の物価上昇率は3%程度で安定的と予測しています。財政赤字は拡大するものの、対GDP比で6%ほどに留まり、対外公的債務も対GDP比36%程度と問題ないレベルに収まると見ています。経常収支も赤字が拡大しますが、外国直接投資等で埋め合わされて、外貨準備は十分なレベルを維持するとしています。
 課題としては、まずは新型コロナ対策が重要であり、収束の度合いが経済成長に大きな影響を与えると分析しています。カンボジアの場合は、外需(輸出)は回復傾向にあるものの、主要産業の観光の回復のためにも新型コロナ対策が重要となります。また、財政の観点から、現金支援等の短期的対策と長期的な健全性維持のバランスにも配慮が必要と指摘しています。具体的には、短期的支援から、人材開発、インフラ拡充等の長期的対策に徐々にシフトすることが必要としています。
 リスクとしては、大きな打撃を受けている建設・不動産セクターと、同セクターに対する銀行融資の健全性等が指摘されました。IMFでは、中央銀行に対して銀行監督の強化を提言しています。
(写真は発展するプノンペン市内)

IMFの新聞発表(英文です)
https://www.imf.org/en/News/Articles/2021/09/28/pr21276-imf-staff-completes-2021-article-iv-mission-to-cambodia


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日本支援の国道5号線改修事業(バッタンバン-シソポン間)が完工

2021年10月07日 | 経済
 9月22日~23日に、公共事業運輸省のチャンコサル次官は、日本の円借款による支援で工事が行われていた国道5号線(バッタンバン-シソポン間)の完工検査を現地で実施しました。日本が支援している国道5号線改修事業の対象は、プノンペン近郊のプレッククダムから主要都市のコンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポンを経由してタイ国境のポイペトまでの区間で、これまでの2車線・簡易舗装の道路を4車線化・アスファルトコンクリート化し、主要都市についてはバイパスを建設する計画です。日本政府はこれまでに7件、総額876億1000万円の円借款を供与してこの国道5号線の改修を支援しています。条件は、金利0.01%/年、償還期間40年(10年の据え置き期間を含む)という大変譲許的なものです。
 国道5号線の改修工事は、北、中央、南の3区間に分かれて実施されており、今回完工したのは、北区間(バッタンバン-シソポン間:47.0km)で、市街を迂回するバイパス建設(バッタンバン:23.1km、シソポン:13.4km)も含まれています。3区間全線の完工は2023年の予定です。日本の支援のキーワードは「質の高いインフラ」であり、完成してもすぐに穴だらけになる中国や韓国の支援とは一線を画すものです。
 国道5号線は、プノンペンとタイ国境を直結する重要なルートであり、プノンペン周辺に進出している日系企業にとっても、サプライチェーンの一環としてタイとの連結性を確保するために必要不可欠となっています。国道5号線改修とタイとの国境に新設されるストゥンボット国境施設建設は、カンボジアにとっても日系企業にとっても非常に大きな効果がある事業であり、その完成が期待されます。
(写真は、公共事業運輸省のフェイスブックより)

公共事業運輸省のフェイスブック(クメール語)
https://web.facebook.com/mpwt.gov.kh/


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世界銀行 東アジア・大洋州地域 半期経済報告2021年秋 新型コロナの影響長引く

2021年10月06日 | 経済
 9月27日に世界銀行は、東アジア・大洋州地域半期経済報告(2021年10月)を発表しました。この報告書は、年2回春と秋に発行されています。
 報告書では、東アジア・大洋州地域では、新型コロナウイルス感染症デルタ変異株の広がりによって回復が妨げられる結果、企業や家計にとって厳しい状況が長期化し、経済成長の減速や格差拡大につながるおそれがあると指摘しています。世界銀行では、「新型コロナウイルス感染症の封じ込め以降の成長加速と包摂性の確保には、総合的な戦略が必要となる。テクノロジー普及の加速が、今回の危機後の生産性向上、教育の民主化、国家組織の改革の実現に向けてプラスに働く」と分析しています。
 カンボジア経済については、2021年のGDP成長率予測をこれまでの4.0%から2.2%に引き下げました。2022年は4.5%、2023年は5.5%に回復すると予測しています。新型コロナの国内感染の広がりとデルタ変異株の脅威から、経済の回復はこれまでの予測よりも遅れたとしています。外需の回復に伴う、全輸出の63.1%を占める縫製品・靴等の輸出増に支えられて、輸出は回復傾向にあり、2021年1~7月は対前年同期比17%増となっています。しかし、引き続き、観光や建設・不動産は大きな打撃を受けているとしています。この結果、所得の減少や失業の増加につながっていると分析しています。
 物価上昇率は、2021年3.2%、2022年3.5%、2023年3.7%と安定的と予測しています。経常収支は赤字となるものの、2021年末の外貨準備は若干減少の207億ドル(輸入の9か月分)と非常に安定的なレベルを維持するとしています。
 経済回復を確実なものとしていくための課題としては、改正投資法の活用等による輸出競争力の強化、ビジネスコストや輸送・エネルギーコストの削減によるサプライサイドのボトルネックへの対処等を挙げています。リスクとしては、民間向け信用の高い伸び率、建設・不動産セクターへの融資等を挙げました。

世界銀行の新聞発表(和文)  
https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2021/09/27/economic-recovery-in-east-asia-and-pacific-faces-setback


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2022年の最低賃金 194ドルで決着

2021年10月05日 | 経済
 2022年1月1日から適用されるカンボジアの最低賃金は、194ドル/月で決着しました。現在は192ドルで、1.0%の上昇となります。カンボジアの最低賃金の上昇は、2012年61ドルから2013年80ドル(31.1%増)、2014年100ドル(25.0%増)、2015年128ドル(28.0%増)と急激なものがありましたが、労働諮問委員会で客観的基準を使用し始めた2016年は140ドル(9.4%増)、2017年153ドル(9.3%増)、2018年170ドル(11・1%増)、2019年182ドル(7.1%増)、2020年190ドル(4.4%増)、2021年192ドル(1.1%増)と上昇幅が落ち着いてきています。2022年の最低賃金は、新型コロナの影響で経済に不透明感が広がっている中、上昇幅が抑え込まれたものと見られます。
 最低賃金は、政府、雇用者、労働組合の3者の代表28名が参加する労働諮問委員会で討議されてきました。9月28日の会議において192ドル(今年と同額)で合意し、労働大臣に答申されました。この結果を受けて、フン・セン首相は、毎度おなじみの鶴の一声で2ドル増額を加えることを決定し、最終的に194ドルで決着しました。使用者側からの意見もあって、フン・セン首相による追加額は2019年までの慣例だった5ドルから、2020年は3ドルに、2021年からは2ドルに縮減されています。
 内需振興のためにも、最低賃金の引き上げは必要不可欠ですが、急激な上昇は外国投資家の懸念となっていました。カンボジア政府では、最低賃金の検討に当って、労働生産性上昇率や物価上昇率等の客観的基準を2016年の最低賃金から使用し始めており、雇用者側も労働者側も納得感が高い決定方式が次第に定着しつつあります。昨年と今年は、新型コロナの影響が大きく、工場の閉鎖や労働者の失業・一時帰休が大きな問題となっており、こうした情勢も反映したものと見られます。他方、2019年8月から2021年8月までの2年間の消費者物価上昇率は5.5%であるのに対し、最低賃金は2.1%しか上昇していません。カンボジアの実質賃金は目減りしている状態であり、失われた20年で賃金上昇が抑え込まれてデフレを招いた日本と同じような状況です。新型コロナ終息後に、カンボジア経済回復のための国内需要を喚起する観点からは、すくなくとも物価上昇に見合う実質賃金が確保できるような最低賃金の見直しが必要になるものと見られます。



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