カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

フン・セン首相 既存鉄道の高速化に意欲 中国規格を導入か

2023年02月03日 | 経済
 12月22日、フン・セン首相は、既存の鉄道北線の高速化に強い意欲を示しました。1月23日、公共事業運輸省のスン・チャントル大臣は、中国の中国路橋工程(CRBC)と高速鉄道に関する会議を開催しました。この会議で、中国側は、プノンペンからタイ国境のポイペトまでを結ぶ鉄道北線の高速化に関するフィージビリティ・スタディの結果を発表しました。調査結果によりますと、導入するのはラオス・中国鉄道と同様のものと見られ、標準軌(1435mm)の中国規格で最高速度160kmの設計となるとことです。プノンペン~ポイペト間382kmに33駅(当初は19駅)を設置するとしています。ラオスと同様、旅客と貨物の両方に対応するとしています。工事期間は4年、総工費40億ドル(約5200億円)と見積もっています。
 夢のような計画ですが、まず標準軌であるため、メーターゲージのタイ国鉄やベトナム国鉄との乗り入れができません。そもそも、プノンペン~ポイペト間だけでは需要に限りがあると見られ、バンコク~プノンペン~ホーチミンを結ぶことが必要不可欠と見られます。また、資金計画については明らかにされていませんが、ラオス方式では多額の債務を背負うこととなり、「債務の罠」そのものとなる懸念があります。債務の罠に陥ったラオスは、2022年は1年間で通貨キープが5割も減価し、その影響で物価上昇率は2022年12月に39.3%にまで上昇しています。外貨不足に陥るとともに通貨安により返済額がさらに膨らむという悪循環に陥っているものと見られます。また、インドネシアでは、中国の高速鉄道案を受け入れた大きな理由が「インドネシア政府の財政負担なし、債務保証も不要」といううたい文句でしたが、結局多額の財政負担を強いられています。また、3年間で完成させると言っていましたが、8年経っても完成していないのが実情です。
 カンボジアでは、この事業について中国の民活(おそらくBOT方式)で実施することを目論んでいるものと見られますが、運賃収入だけではフルコストリカバリーは相当に困難と見られます。公共事業運輸省では、今年7月の選挙終了後にも着工するとの意見もあるようですが、カンボジア政府内での十分な事業内容の精査が必要なものと見られます。
(写真は、完成予想図。AKPより)



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カンボジア政府 成長率予測を改訂 債務は健全な状況

2023年02月02日 | 経済
 1月25日、2023年予算法及びマクロ経済管理に関する公開フォーラムが開催され、経済財政省はカンボジアのマクロ経済状況一覧2022年~2023年を公表しました。経済財政省では、経済成長率予測について、2022年は5.2%、2023年は5.6%としています。2022年10月の予算法案では、2023年の成長率を6.6%と見ていましたが、外需の減少、特にEUの需要減退によって、縫製品等の輸出がスローダウンする懸念等を理由として成長率予測を引き下げたとしています。2023年の縫製部門の成長率は5.5%に留まると見ています。しかし、縫製以外の製造業については、国内需要の増加や輸出増に支えられて11.7%と高い成長となると予測しました。中国等からの投資が大幅減少しているため、建設業は1.1%、不動産業は1.2%の低成長に留まるとしています。また、農業は1.1%の成長となると見ています。新型コロナで大きな打撃を受けていた観光業については、外国人観光客数が2022年の228万人から2023年には430万人に回復するとして、32.7%と高い成長率となるとしています。
 なお、物価上昇率は、2022年は5.3%まで上昇しましたが、2023年は3.2%に落ち着いてくると予測しています。2023年末の公的債務残高は99億7259万ドルで、債務のGDP比率は34%に留まり、ASEAN諸国でも最低レベルで、債務は健全で安定的な状況だとしています。
 リスクとしては、地政学的リスクの高まり、世界経済の更なるスローダウン、欧米諸国の金融引き締めの長期化、米国金利の上昇に伴うドル高の影響等をあげています。
(写真は、外国人観光客で賑わうシェムリアップ)



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カンボジア 今年初の国債入札 表面金利を3.48%に引き上げ

2023年02月01日 | 経済
 1月25日、2023年度の初の国債の入札が実施されました。対象となったのは、リエル建て1年債です。カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)の発表によりますと、落札金利は3.6%でした。なお、1年債の表面利率は、昨年度の入札不調を受けて、昨年度の2.0%から今回は3.48%に引き上げられています。表面金利より高い金利で落札されたので、額面より安い値段で落札されたこととなります。入札には2社が参加し、総落札額は、2万4000口(240億リエル:約585万ドル:約7億6000万円)でした。今回は目標額を明示していなかったものの、落札は少額に留まり「未達」となったものと見られます。
 1月25日の米国の国債(ドル建て)の1年債の金利が4.67%前後、ACLEDA銀行のリエル建て1年物定期預金の金利が7.35%であったことを勘案すると、リエル建て1年債の表面利率を3.48%としたのはかなり強気であったものと見られます。米国連邦準備委員会(FRB)が金利を更に引き上げつつある状況にあることもあり、カンボジアの金融機関や社会保障基金等の応札側も、腰が引けた対応となったものと推測されます(債権の金利が上がることは、債券価格が下落することを意味します)。今回の入札で未達となったため、次回以降、再度の表面金利の見直し等が行われる可能性もあります。
 カンボジア政府は、昨年度は総額で1兆2195億リエル(3億ドル相当:約414億円)を発行する計画でしたが、実際には2000万ドル程度の調達に留まった模様です。今年も更に追加で2億ドル相当の発行枠を得ており、今後の動向が注目されます。
(写真は、プノンペンの高層ビル群。記事とは直接関係ありません)

カンボジア中央銀行の発表(クメール語です)
https://www.facebook.com/nationalbankofcambodiaofficial/posts/pfbid0WKAZMDDomErx9sVzAW2F88kvmKaVsQihQGm3x1jciryvmUPSmkXgDyHv8uh9rGUMl


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