ちょっと前の出来事ですが、渡辺竜王の11月21日の記事、
『王位戦予選3回戦、近藤六段戦。』で、次のようなことが書かれていました。
『日本将棋連盟では「棋士がブログ等で図面掲載する場合は、1局1図程度にする」ということになったので、今回よりそのようになりますが、ご了承頂ければと思います。』
個人的には「残念」ですが、「仕方がないのかなあ」という気もします。
でも、何か「せこい」というか「度量が小さい」という印象を受けました。何かすっきりしませんが、いろいろな事情も考えられます。もやもや取り払うため、ちょっと考えてみようと思います。
棋譜や棋士や棋戦の現状など棋譜や観戦記の著作権や契約等の問題に関しては無知なので、ご了承ください。
今回の件は、①新聞社(観戦記)との関係と②棋譜の価値を維持する(高める)の2点が関係していると考えられます。(②に付随して名人戦棋譜速報(有料サイト)も関係)
まず、将棋連盟と新聞社のどちらが言い出したのかが問題です。新聞社の場合は①のみ、連盟の場合は①と②の両方になります。
①新聞社(観戦記)との関係
テレビやインターネットに押されて、メディアとしての新聞の価値は下がりつつあります。まあ、これは新聞に限らず、活字文化そのものが縮小しつつあります。
新聞社自体が後退現象にあるにもかかわらず、連盟にとって大きなスポンサーであり、ありがたい存在です。
逆に、新聞購読者の獲得に観戦記の掲載の貢献度は小さいと思われます。実際、かなり濃密な将棋ファンである私でも、観戦記掲載が新聞購読の動機になることは考えにくいです。正直、棋戦の1次予選や2次予選は若手の中も棋士か、興味ある戦型でないと読む気がしません。ネット情報の充実の現在において、その傾向は強くなっています。
ただ、購読にまったく関係がないわけではありません。観戦記がなくなったら、即行で購読新聞を変えます。もし羽生名人の将棋だけ載せる新聞だったら、必ず購読します。
あとは、観戦記の質も大きいと思います。ただし、良い観戦記の定義は難しいです。読み手の棋力にもよりますが、私の場合は、棋士の心理描写に長けていて、指し手の解説も的確で、逸話類の話も面白いのがいいですね。
今回の件を連盟と新聞社のどちらが言い出したにせよ、新聞文化の後退、観戦記の価値の下落傾向という現状でも、将棋(連盟)の大きなスポンサーでいてくれる新聞社に対して気を使うのは当然のことのように思います。
ただ、実際問題としては、ブログで棋士が将棋の詳細を展開しても、新聞購読や観戦記の興味にほとんど影響をもたらさないでしょう。新聞の観戦記をそのまま載せれば別ですが。逆に、ブログでの解説によって、観戦記を深く読むことができる利点も大きいです。勝敗がわかってしまい、観戦記を読むドキドキ感が損なわれるということも考えられますが、情報社会の現代においてそれは杞憂でしょう。
②棋譜の価値を高める
2、3年前、A級順位戦最終日のBS中継『将棋界の1番長い日』で、勝又六段がデータ解説をする際、「これらの棋譜は将棋連盟の財産です」と前置きしていました。
また、数年前から将棋年鑑のCD版の販売がなくなりました。
さらに、これは私だけかもしれませんが、ネット中継されている棋譜のコピーがテキストデータでしかできません。ネットの設定をいろいろ変更してみるのですが、うまくできません。私が無知なだけかもしれませんが。
とにかく、連盟は棋譜を財産と考えているようです。それは当然で、勝手に流出するのは損失で、それを守ろうとする動きは否定はできません。
しかし、タイトル戦や挑戦者決定トーナメントやリーグ戦ならともかく、私には一般の棋譜にそれほど価値があるように思えません。だから、流出を防ぐというより、どんどんブログで公開、いえ、「公開」というより「宣伝」と言った方がいいでしょうか、どんどん宣伝した方が、将棋界にとってプラスになるのではないでしょうか。
価値が高いタイトル戦の棋譜は、流出(公開)されているのですから、流出を防ぐ云々は意味がありません。
あとは、『名人戦棋譜速報』と『将棋世界』や『週刊将棋』との兼ね合いです。
『名人戦棋譜速報』はリアルタイムで順位戦の棋譜やその解説、つまり実況中継が売りです。だから、多少時間が経過すれば、棋譜を公開してもいいのではないかという考えもありますが、棋譜等のデータベース的意味合いもありますから、やはり、有料ということを考えると、簡単には公開すべきではないと考えます。
『将棋世界』については、棋士のブログだけではなく、中継サイトが充実してきたので、その価値は薄れてきているかもしれません。(個人的には、将棋世界の内容は充実していて、ネット中継があっても買う価値は充分にあると思います)
とは言っても、棋士のブログでの図面を制限だけしてもあまり意味がありません。どちらかというと、ネット中継の方が購買に影響がありそうです。
それよりも、ネット中継にも揺るがない記事の充実を望みます。
『週刊将棋』も、短い編集期間で、よく毎週発行できると感服しています。
今回の制限は、ブログでの普及効果を考えると、将棋界全体にとってはマイナス面の方が大きいように思います。まあ、新聞社にも気を使う必要はひていできないので、何とも言えませんが、個人的には残念です。
ちなみに、「棋士がブログ等で図面掲載する場合は、1局1図程度にする」という表現だと、棋士のみの制限で、アマチュアはお咎め無しと解釈できますよね。
『王位戦予選3回戦、近藤六段戦。』で、次のようなことが書かれていました。
『日本将棋連盟では「棋士がブログ等で図面掲載する場合は、1局1図程度にする」ということになったので、今回よりそのようになりますが、ご了承頂ければと思います。』
個人的には「残念」ですが、「仕方がないのかなあ」という気もします。
でも、何か「せこい」というか「度量が小さい」という印象を受けました。何かすっきりしませんが、いろいろな事情も考えられます。もやもや取り払うため、ちょっと考えてみようと思います。
棋譜や棋士や棋戦の現状など棋譜や観戦記の著作権や契約等の問題に関しては無知なので、ご了承ください。
今回の件は、①新聞社(観戦記)との関係と②棋譜の価値を維持する(高める)の2点が関係していると考えられます。(②に付随して名人戦棋譜速報(有料サイト)も関係)
まず、将棋連盟と新聞社のどちらが言い出したのかが問題です。新聞社の場合は①のみ、連盟の場合は①と②の両方になります。
①新聞社(観戦記)との関係
テレビやインターネットに押されて、メディアとしての新聞の価値は下がりつつあります。まあ、これは新聞に限らず、活字文化そのものが縮小しつつあります。
新聞社自体が後退現象にあるにもかかわらず、連盟にとって大きなスポンサーであり、ありがたい存在です。
逆に、新聞購読者の獲得に観戦記の掲載の貢献度は小さいと思われます。実際、かなり濃密な将棋ファンである私でも、観戦記掲載が新聞購読の動機になることは考えにくいです。正直、棋戦の1次予選や2次予選は若手の中も棋士か、興味ある戦型でないと読む気がしません。ネット情報の充実の現在において、その傾向は強くなっています。
ただ、購読にまったく関係がないわけではありません。観戦記がなくなったら、即行で購読新聞を変えます。もし羽生名人の将棋だけ載せる新聞だったら、必ず購読します。
あとは、観戦記の質も大きいと思います。ただし、良い観戦記の定義は難しいです。読み手の棋力にもよりますが、私の場合は、棋士の心理描写に長けていて、指し手の解説も的確で、逸話類の話も面白いのがいいですね。
今回の件を連盟と新聞社のどちらが言い出したにせよ、新聞文化の後退、観戦記の価値の下落傾向という現状でも、将棋(連盟)の大きなスポンサーでいてくれる新聞社に対して気を使うのは当然のことのように思います。
ただ、実際問題としては、ブログで棋士が将棋の詳細を展開しても、新聞購読や観戦記の興味にほとんど影響をもたらさないでしょう。新聞の観戦記をそのまま載せれば別ですが。逆に、ブログでの解説によって、観戦記を深く読むことができる利点も大きいです。勝敗がわかってしまい、観戦記を読むドキドキ感が損なわれるということも考えられますが、情報社会の現代においてそれは杞憂でしょう。
②棋譜の価値を高める
2、3年前、A級順位戦最終日のBS中継『将棋界の1番長い日』で、勝又六段がデータ解説をする際、「これらの棋譜は将棋連盟の財産です」と前置きしていました。
また、数年前から将棋年鑑のCD版の販売がなくなりました。
さらに、これは私だけかもしれませんが、ネット中継されている棋譜のコピーがテキストデータでしかできません。ネットの設定をいろいろ変更してみるのですが、うまくできません。私が無知なだけかもしれませんが。
とにかく、連盟は棋譜を財産と考えているようです。それは当然で、勝手に流出するのは損失で、それを守ろうとする動きは否定はできません。
しかし、タイトル戦や挑戦者決定トーナメントやリーグ戦ならともかく、私には一般の棋譜にそれほど価値があるように思えません。だから、流出を防ぐというより、どんどんブログで公開、いえ、「公開」というより「宣伝」と言った方がいいでしょうか、どんどん宣伝した方が、将棋界にとってプラスになるのではないでしょうか。
価値が高いタイトル戦の棋譜は、流出(公開)されているのですから、流出を防ぐ云々は意味がありません。
あとは、『名人戦棋譜速報』と『将棋世界』や『週刊将棋』との兼ね合いです。
『名人戦棋譜速報』はリアルタイムで順位戦の棋譜やその解説、つまり実況中継が売りです。だから、多少時間が経過すれば、棋譜を公開してもいいのではないかという考えもありますが、棋譜等のデータベース的意味合いもありますから、やはり、有料ということを考えると、簡単には公開すべきではないと考えます。
『将棋世界』については、棋士のブログだけではなく、中継サイトが充実してきたので、その価値は薄れてきているかもしれません。(個人的には、将棋世界の内容は充実していて、ネット中継があっても買う価値は充分にあると思います)
とは言っても、棋士のブログでの図面を制限だけしてもあまり意味がありません。どちらかというと、ネット中継の方が購買に影響がありそうです。
それよりも、ネット中継にも揺るがない記事の充実を望みます。
『週刊将棋』も、短い編集期間で、よく毎週発行できると感服しています。
今回の制限は、ブログでの普及効果を考えると、将棋界全体にとってはマイナス面の方が大きいように思います。まあ、新聞社にも気を使う必要はひていできないので、何とも言えませんが、個人的には残念です。
ちなみに、「棋士がブログ等で図面掲載する場合は、1局1図程度にする」という表現だと、棋士のみの制限で、アマチュアはお咎め無しと解釈できますよね。