10月6日記事
「『サクサクっと』 中田章道七段作」の解答です。

図を見ると、玉を1四に誘導して、▲3四飛成の両王手以下△1三玉▲2四龍の詰め上がりが見えます。
と、その前に、初手▲3三飛成(誘惑図)と、飛車角の協力で詰みそうな気がします。

でも、これは平凡に△3三同飛とされ失敗です。
というわけで、直感に戻って、初手▲1四歩。
△1四同玉と応じては、先述した通り詰んでしまうので、△2三玉とかわします。
ここで、▲4二飛成(誘惑図2)と玉方の飛車を遮って開き王手するのが詰将棋の常とう手段なのですが、

△3四玉と開いた抜け道に逃げられてしまいます。
そこで取りあえず▲2四香と王手してみましょう。これには△1四玉(途中図1)の一手です。

さて、これで最初思い浮かべた玉を1四に誘導できました。しかし、2四には自分の香車がいて▲3四飛としても両王手になりません。大丈夫なのでしょうか?
じゃあ、そっちがダメならこちらからと、▲1二飛成(誘惑図3)と両王手を掛けてみます。

しかし、△2五玉と今度はこちらが抜けてしまいます。
さあ、どうしましょうか?………
……ん~と、2四の香が邪魔ですが、取りあえず2五に逃げられないよう▲3四飛成(途中図2)と王手してみましょう。

あ!

4一の角が取られてしまいました。
でも、まだ強力な龍がいます。大丈夫、大丈夫、▲2三香成(途中図4)と開き王手!

あ!……△3四銀で龍も取られてしまいました。もう成香しかいない……しょうがないので▲2四成香と王手してみましょう。

あ?詰んだ。
本作は詰みそうな両王手や開き王手は詰まず、2四に香車を置いて両王手にならない形にして詰ます。しかも、両王手の主役の角や飛車がぽろぽろ取られて詰み上がるのが面白いです。
両王手や開き王手の誘惑(紛れ)がやや弱く、何となく王手をしていくと詰んでしまうというのが物足りないかもしれません。しかし、このサクサク感が魅力なのです。