英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒 Season 10』 第3話 「晩夏」

2011-11-03 20:31:17 | ドラマ・映画
 なんと純で鈍な二人!


 男は、恋心から女の恋人を毒殺に成功した(自殺として処理された)ものの、女に男として近づいて振られ彼女を失うことを恐れ、ひたすら恋心を隠し、師として聖人君子を装った。

 女は、恋人を失い子どもも流産し、ひたすら芸(詩)に打ち込み才能を開花させた。師を尊敬していたが、それが徐々に恋心に変わっていった。
 今回、恋人の死の真相が明かされ、毒をもった犯人が師であり、その犯行が自分への思いによるものであることに期待して賭けに出た。
 師が行ったのと同じ手口(コーヒーに液体(毒)を2、3滴たらすとおいしいとすすめる)で毒を盛り、師が毒殺の犯人なら毒に気づき飲まない。師が犯人でないなら疑わず液を垂らして飲む。もちろん、女は師が飲まないことを期待していた。

 男は、右京の動きから過去の行為が暴かれることを予見していた(右京にヒントも与えていた)。そこで、彼女が自分を毒殺することを予想し、復讐されるのは当然と考え、遺書を書いて(自殺にして彼女に罪が及ばないよう考えた)、死を決意して彼女の元に向かった。
 予想通り、彼女が毒を入れることを進めてきたので、ためらわず毒を入れ飲んだ。

 女の用意した小瓶の液体は毒ではなかった。師を殺す意思はなく、師の心を知りたかっただけなのだった。師がためらわず飲んだので、師は無実(自分への恋心はない)だったと失望して、服毒自殺してしまった。「さようなら」

 なんて純粋。
 そして純粋だから鈍感なのか?
 素直に自分の気持ちを告げていれば、最後の悲劇は起こらなかった。それにしても、気づけよ!詩人なら。

 右京さんも、推理の結論(誰が毒を盛ったか)をぼかさず告げておけば、悲劇は避けられたのに。遠い過去の過ちなので、ことさら追及するつもりはなかったのか。いつもの右京さんなら、彼女には真実を告げなくても、犯人を追及しそうなものなんだけど。
 それにしても、死を宣告された彼女が、公衆電話に忘れられた日傘から、彼女の隠していた気持ちを見抜くなんて、ただ、師の声が聞きたかったのだと。すごい。推理の飛躍は、どこぞの執事と同じかもしれないが、説得力があるなあ。

 過ぎゆく夏を惜しむように鳴く蜩、ラストシーン近くでは地面に仰向けで死んでいた。
 ラストシーンでは、まっ青な空を見上げ、彼女の最後の詩を思い浮かべていた。彼女の詩を読む声と蜩が声が重なっていた。

 花の里があれば、たまきさんを交えて、しみじみ語っているところか。そういう右京さんの本音を語って欲しくもあるが、本編のラストも余韻があって好きである。

【追記】(最初にアップした時に考えがまとまってない証拠ですね)
 私を含めて多くの方が、三田さん(ここでも「ミタさん」ですね。芸名ですが)が、師匠を毒殺すると予想したのではないでしょうか?
 ところが、実際は師匠に恋心を抱いていて、それを念頭に思い返すと意地らしい女心が垣間見られていました。
 ドラマ冒頭で、着物を何枚も出して身体に合わせて選び、丹念に身支度を整え、紅を引いていました。呼び鈴の音に、ピクリと背を伸ばしました。

 「あたし、自殺ではない可能性もある、そう思った時、なんだか嬉しかった。恐ろしいことかもしれませんけど、嬉しかった」
 この言葉も、恋心からだったんですね。

 そして、コーヒーを飲む師匠を食い入るように見つめ、師匠が平然と飲む姿を見て、目に涙を浮かべて「さようなら」と。

 まさに、恋する乙女そのもので、三田さんとても可愛らしかったです。

 以下は、蛇足です。
 もし、師匠が少し情けない男だったら、あの小瓶を見て狼狽し、コーヒーを飲む手が震えるか、もしかしたら、土下座して命乞いをするかもしれません。こういう姿を目の当たりにしたら、恋心も朝露のごとく消えてしまうのではないでしょうか?
コメント (2)
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『家政婦のミタ』 第4話

2011-11-03 10:35:01 | ドラマ・映画
 希衣(本田望結)の奮闘で、家族が集まり、恵一(長谷川博己)も希衣に平手打ちをし、父親らしい態度を見せますが、最後の最後で子どもたちを愛しているか分からないと、家族修復のチャンスを自らぶっ壊してしまった。
 おまけに、結城義之(平泉成)に自殺の事実がバレ、すったもんだの揚句、子どもたちが阿須田の家に住み、恵一はミタさん(松嶋奈々子)に一家の世話をするよう依頼し、出ていった。


★「何だよそれ」
 長男の翔(中川大志)が、家族やたくさんの視聴者の気持ちを代弁した台詞。
 阿須田一家の話の流れ自体は、ベタな展開だったので、取りあえず一家が一緒に住むか、それに納得できない長女の結(忽那汐里)だけが別居するという展開かと思ったが、さらにこじれてしまった。
 あくまで、へたれな恵一だったが、よく考えると、「よくわからない」というのが本当のところなのだろう。彼にしてみれば、結婚したところから子どもや自分をだまし続けてきた虚構の時間だったのだから。今回のことで、そういった虚構の家(時間)が、根本から崩れ去ってしまい、たとえ、その中に真実の気持が含まれていたとしても、そこだけ救いあげて、自分の気持ちを再構築するのは無理なのかもしれない。
 空気を読んで、「好きだよ」という気力が起きなかったのは、ある意味、仕方がないことだった。それに恵一もここで不確かな言葉を発すること自体、罪の意識があったのだろう。とはいえ、恵一にもう少しだけ強さがあったなら、「好きだよ」と言えたはず。もっとも、その強さがあったのなら、こういう事態になっていないか。

★今週のミタさん
・どん底の状態の恵一にかまわず、淡々と業務をこなす。希衣の心のこもった折り紙をもサッサと捨てるミタさんには、恵一ならずも「あっ」と言ってしまった
・心配するうららの電話に「大したことないんだ」とごまかそうとした瞬間、ヤカンが沸騰する「ピー」という音を鳴らす神技を駆使し、うららに真実を打ち明けさせる
・愚痴る恵一に全く同調せず、それに切れた恵一にクビを言い渡される
・希衣に雇われ、一家を仲直りさせる算段を練らされる。その手段として
「事故に遭う」という希衣に「とても痛いですけど大丈夫ですか?」と
問いただすミタさんに、ブラックなものを感じた。
・「じゃあ、希衣、どうしたらいいの?」と問う5歳の希衣にも「それは、あなたが決めることです」と試練を与える
・希衣の願いを聞き入れ、ガラクタ置き場の冷蔵庫を閉めたミタさんの顔が『世にも奇妙な物語』の世界だった
・子どもたちとの電話の中で、伝言を伝える時、翔に対して「翔ちゃんはうるさいから黙ってて」というのがミタさんの創作だったら面白いのになあ。希衣の言葉であったとしても面白く、何も反論せず黙っていた翔も面白い(この後、推理を働かせた海斗(綾部守人)は賢い!)
。一家が家に到達した時、ミタさんが庭にいたのはベランダから落ちる可能性のある希衣を受けとめるため?隣の部屋の窓を開けておいたのも芸が細かい
・今週の四次元かばんから出てきたのは、懐中電灯(しかもLEDライト)だった
・しっかりお父さんの石を探し出していた


★今週のうらら
 今週は活躍。
 けっこうまともに見えた。が、その瞬間、「ああ、やっぱりウザい」と思わせるのは流石である。
 子どもたちの荷物を取りに来た時の恵一との会話で、お互いに無意識に傷つけ合っていたシーンは笑えた。
 恵一や子どもたちが希衣を探している最中の電話、希衣がベランダに腰掛けている緊迫の場面で声を掛ける……まさに最悪の絶妙のタイミングだった


 娘に「そっち」と呼ばれてしまう恵一だが、自分に正直になっている分だけマシか。
 「子どもが悪いことをしたら叱るのは当たり前です。あなたが父親なら」と言い、「お父さんの石」を希衣に渡さず恵一に託すミタさん、ここにミタさんの意思を感じる。石を握りしめる恵一、去っていく恵一をじっと見つめるミタさんは何を思う?
コメント (6)
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