英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『南極大陸』 第5話

2011-11-14 14:25:25 | ドラマ・映画
 今週は氷室のトラウマと二人の友情がテーマと言えます。
 しかし、個人的にはボツンヌーテンの頂からの絶景とブリザードの中を健気に走る犬たちの姿だけが満足でした。あとは………

(今日の記事は逆説的な表現が多いです。こうでもしないと、表現がきつくなってしまうという苦肉の策ですが、実はスペードのAさんにかなり影響されています)

 あっという間に半年が経ったそうです。ボツンヌーテンへの経路予定表(到達表?)には10月20日ごろの期日が記入されていたので、4月中旬から10月中旬まで省略されてしまいました。南半球は北半球と季節が逆ですから、北半球に換算すると10月中旬~4月中旬の冬季(厳冬期)をすっ飛ばしてしまったことになります。
 南極の厳冬期というのは、極寒で昭和基地の8月の1日の最高気温の平均が-15.8℃です。それにイメージ的にはブリザードです。ただ、南極の年間の降水量は166mm(実際は雨ではなく雪)なので砂漠並みの降水量です。降雪量はともかく地吹雪の可能性も大いにありますし、これだけの寒さと日照量の少なさ(6月はずっと夜)なので、野外活動は困難と思われます。オーロラ観測には向いているかもしれませんが、極点に余り近いとオーロラ自体、少ないそうです。
 そんなわけで、厳冬期はエピソードが少なそうですが、「越冬隊」ですから、その部分を省略してしまうのは、変です。

 さて、今回は倉持(木村拓哉)が勝手に使命と決めたボツンヌーテン登頂の話です。なので、主人公特権的活躍と自己中心行動のオンパレードでした。

①予備調査に向かった倉持が、予定と一日遅れで帰ってきます。「珍しい鉱物があったので採取していたら遅くなってしまった」と弁明する。迎えに行く準備をしていた越冬隊のメンバーはホッとして、喜びます。皆、優しいです。ただ、氷室(堺雅人)だけが、「ここでは予定外の行動は命取りになる」と嫌味を言いますが、横を向いて「悪かった」と言う倉持、なかなかの精神力です。
 そこへ、内海(緒形直人)が、「氷室が一番心配していたんだ」と取り成します。
なんだ、ツンデレだったのか。

②雪上車が不調の中、倉持は犬ぞりだけでの強行軍を主張する。氷室が無謀だと進言するが、倉持は逆に気象に詳しい氷室に随行を希望する。名乗りを上げた内海は立場がありません

③気象に詳しく冷静な氷室が同行するので心強いです。荒天の可能性が高いと早めの休息(夜営)の彼の提案を先を焦る主人公・倉持はもう少しの進行を主張し、退けようとします。気象に関する助言を求めて氷室を帯同させたのに、その進言を聞き入れないキムタク、あ、違った、倉持は心が強いです
 その上、「お前には分からないと思うが、今日は犬の調子がいいんだ」と言い張る。と、タイミングよく犬塚(山本裕典)が、アカのしもやけが悪化して足から血を流しているのを発見します。さすがの強い心の倉持も非常にばつが悪そうです。夜営を認めますが「犬の(健康の)ためだ」と氷室の進言を聞き入れたわけではないことを念を押すことも忘れません。
 どこが犬の調子がいいのでしょうか?すでに体調不良や負傷した3匹を宗谷に返し、ベックを死なせた倉持、彼に任すと犬ぞり犬たちは、全員殉職です。
 氷室の予測どおりブリザードが来ましたが、倉持の心は揺らぎません。

④予定路と少し離れたところに小屋のようなものを発見、行ってみると鯨の残骸のよう。と、犬が吠えるので見ると、ソリのロープが絡まっていました。
 「犬塚、テツ、絡まってる(お前、ほどいてやれ!)。俺、飯、取ってくるから」と面倒なことは舎弟に任す的確な指示。案の定、解いたスキに、テツに逃げられてしまいます。
 あわてて二人は追いかけますが、追いつくはずもなく、「もどれ!」という声も無視されます。テツがどんな理由で、どこに向かって、走り去っていったのか、理解不能でしたが、その訳は22分後に判明しました
 鯨の残骸の中で休息する3人、ピノキオ状態です。胃液の心配をしなくて良いので、かなり恵まれています。
 テツを探したいのは山々ですが、ボツンヌーテン登頂を優先します。自分の欲望を果たすため犬のことなどどうでもいいのかと一瞬思いましたが、犬の帰巣本能に期待するとのことです。

⑤ブリザードが続き、磁場の関係でコンパスが役に立たず、現在位置も良く分かりません。事前調査を重ねてきたはずですが、何を調査してきたのでしょうか。教えていただきたいです。

⑥今週の前半は氷室を立てる脚本でしたが、後半は氷室は散々です。ソリごと滑落し骨折。足手まといになり、過去の登山でのトラウマを再体験させられます。
 なんとか鯨の残骸のところまでたどり着きますが、食糧も底を尽きてしまいました。
 もちろん、倉持は氷室を見捨てません。寒さで眠ろうとする二人を励まし、さらに自分のオーバーを脱いで二人に掛けてやります。さすが主人公、今までの強い心は伊達ではありません。
 外にいる犬を中に入れて暖めてもらうという方法は、プライドが許さなかったのでしょうか。さすが強い心の持ち主です。もしかすると、ひょっとしたら……思いつかなかったのでしょうか?

⑥絶体絶命の主人公たちですが、ここで行方不明のテツが帰ってきます。犬の帰巣本能は侮れません。これを実証するために、テツがトチ狂ったように走り去っていったことが判明しました。
 倉持はこの帰巣本能に懸け、クジラ小屋を示す地図をタロウ、ジロウ、リキに託し、放します。倉持の独断に、「何でいつもお前はそうなんだ!」と叫ぶ氷室、私の気持ちを代弁してくれました。

⑦倉持は、犬の餌をやるようにと凍傷の犬塚に命令、いえ、指示を出します。
 犬塚は早めに飯を切り上げ、餌をやりに外に出ます。気が利く舎弟で、この間、倉持と氷室は昔話や恋話に花を咲かせることができました。

 と、今回は特に疑問が多かったです。
 今回は氷室のトラウマと、ふたりの友情、そして、使命であるボツンヌーテン登頂、さらに遭難の危機と大盛り上がりの回………の筈なんですが、先に上げた疑問の数々もあり、盛り上がりを感じませんでした。
 それと、念願であるはずのボツンヌーテン登頂が、出発後20分で達成されてしまいました。「え?もう?」と思ってしまいました。あっけなさ過ぎです。そこからの絶景の素晴らしさが、そのあっけなさを軽減させてくれましたが。

 ボツンヌーテン登頂までで1回分にすればいいのに、倉持、氷室の二人の友情を絡めたため、時間的にもドラマ的にも登頂の困難さ、感動がなくなってしまいました。
 さらに言えば、綾瀬はるかを含む日本のシーンはいらないと思います。それを挿入することで、ストーリーは分断され、メーンの南極シーンの時間は短くなってしまいます。綾瀬はるかは好きな女優で、世間でも非常に人気があり、彼女を出すことで視聴率も取れると考えたのでしょうが、ストーリーを壊してしまっては本末転倒です。

 「宗谷を補強しなければ南極大陸に到達できない」という白崎総責任者(柴田恭兵)の言葉を聞いて、美幸(綾瀬はるか)は不安がっていましたが、補強をしない方が心配だと思います。無理やり心配しているような気がしてなりません。

 次週を見るべきか思案中です。

 それから、犬ぞりの必要性ですが、当時の雪上車の性能や、燃費を考えると犬ぞりは必須だったのかもしれません。
 昭和16年ごろ(越冬隊の10年前)まで使われていた雪上車(乗員2名)は、最大燃費 0.8リットル/km(リッター1250m)、燃料タンク 80リットル で、満タンにしても100kmが限界。越冬隊当時の雪上車の燃費は分かりませんが、犬ぞりは必要だったのではないでしょうか。 
コメント (6)
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