本記事は『週刊将棋』の記事をベースに書いています。「ベースに書く」と言うと聞こえがいいですが、本当は自力で書くべきです。もちろん、いつも私なりに考えて書いていますが、ネット中継、BS中継、『週刊将棋』などを観たり読んだりしているので、それに影響されます(無意識に、意識的にも)。
いつもは、先述の3つを満遍なく検証することが多いのですが、今回はBS中継とネット中継はリアルタイムの記憶、印象のみで、『週刊将棋』の記事がメインです。時間の余裕がないこともありますが、記事内容が理路整然としていて、ポイントを押さえて書かれているということも大きな要因です。あ、いつもがそうでない(理路整然でない)という意味ではありません。
余談になりますが、参考にして記事を書く場合、活字媒体が便利ですね。ネット中継はPCの画面をいちいち切り替えなければならないし、録画は一時停止やリプレイをしなければなりません。
とにかく、『週刊将棋』の宣伝になるということで、大目に見てください。
私の見解と週刊将棋の解説と区別するため、私の見解は青色で表記します。
この将棋、後手の丸山九段が4手目角交換の一手損角換わり戦法に持ち込んだが、序盤の差し手争いが細かかった。特に丸山九段に苦心の指し手(手順)見られ、消費時間も多かった。
出来るだけ△3二金を上がらず、さらに過去の実戦を改良し△9四歩と▲7七銀を入れずに駒組みを進める苦心の手順だった。
渡辺竜王は相手の手に対応しながらも、自身の将棋理念に基づきながら指している印象で、第一局と同じ雰囲気だ。
第2図は、3筋の歩を取り込んだ後、3六に歩を控えて打ち3五での銀交換の権利を確保し、銀交換の前後に▲6八金や▲9六歩を入れ間合いを計った後、▲5五歩と突いたところ。
▲5五歩の狙いは、▲5四歩△同歩▲3四歩△同銀▲7一角と飛車取りに打ち4四に成り返ること。
これに対し、丸山九段は平然と△3一玉と指して、上述の手順を甘受した。▲7一角以下△8一飛▲4四角成に△4三金(第3図)▲1一角成と香を取らせた。
香損でも後に△2二銀と馬を閉じ込め、馬を捕獲する手を含みに指すというのだ。
第3図では▲6二馬と指す手(私好み)もありそうだが、竜王は玉側の香を取って悪いはずがないと考えているはずだから、絶対香を取るはずと思って見ていた。(張り切って青字にしているが、控室のほとんどの棋士が▲1一馬の一手と見ていたようで、山崎七段だけ▲6二馬もあるかなとおっしゃっていた)
実際、馬を取られるにしても、もう一手かかるし、銀と指し違えれば銀香よ角の二枚換えなので、先手充分のように思える。
実際、『週刊将棋』の解説でも、丸山九段「香損で悪い。どの順が勝負になるかと…」、渡辺竜王も有利と思い、検討陣の見解は先手はっきり良しだそうだ。
ここで、疑問。細心の手順を駆使したはずの丸山九段であったはず、どこがおかしかったのか?
『週刊将棋』の解説には第2図で△3一玉で△9四歩とする手があったそうだ。この手にも本譜の手順はあるが、▲5四歩△同歩▲3四歩△同銀▲7一角△8一飛▲4四角成△4三金▲1一角成の時、△3三桂(参考図1)で
玉が4二にいるため、8一の飛の利きが1筋まで通り、馬当たりとなる仕組み。
△9四歩の場合は▲1一角成とせず、▲6二馬と指した方がいいのかもしれない。
とにかく、渡辺竜王の指し手は王道を歩んでいるように感じる。
渡辺竜王優勢の第5図。
ここで▲7三銀成と飛車取りに成り、飛車の態度を聞いておくのが良かったようで、△4二飛なら▲2六桂(参考図3)が飛車道を遮って変な気がするが、厳しい。
図で△2五銀は▲3七桂が調子が良い。
第5図での▲7三銀成はいつでも利きそうだし、△8一飛と逃げられた時、飛車が間接的に2一の桂に利いていて、玉が4二に移動した時、2一の桂に紐が付いてしまうのを嫌い、形を決めるのを躊躇ったのかと思ったら、「△4二飛とされて損だと思った」そうである。
実戦は▲4五香。△4五同銀と取れば、▲2三歩成が生じるし、放置すれば香車が後手玉の脇の4筋に睨みを利かすので絶好手のように思える。
▲4五香以下、丸山九段は一旦△8七銀▲6九玉を決め、△4五銀と香を取る。これには予定通りとノータイムで▲2三歩成。以下△2三同銀▲同飛成△同金▲同馬(第6図)と進める。
▲4一金の詰めろと4五の銀取りが厳しい……はずだった。
ところが、△8九飛と王手をされて、渡辺竜王が長考に沈む。71分後▲5八玉とかわす。この間、時折苦悶の表情を浮かべる。さらに、△4一香(第7図)に再び長考。こんな苦しそうな渡辺竜王は初めてだ。
決め手のはずの4五の香を取られ、△4一香と打たれて狙い筋の詰めろと銀取りを受けられる。そのうえ標的であった銀に香を取られたばかりか、次に3六(5六)に進出されれば、4一の香とともに一気に4七の地点に咬みついてくる。さらに、8九の飛車とのコンビが最強となっている。しかも、その飛車は強襲しなければ後手の駒になりえなかった。……あっという間の転落。
33分後に指された手は▲3三馬。せっかくの馬を角と交換するのでは明らかに変調だ。
信じられない逆転。
丸山九段の見事なうっちゃり、カウンター。
しかし、私には渡辺竜王が油断という石ころにつまずき、たまたま振り回した丸山九段のこぶしが、クロスカウンター的に入ってしまったという気がしてならない。
ちなみに、第4図で
▲6五同銀△同歩と桂を取ってから、▲2四歩△5五角▲4六桂△4五歩▲3四桂△2八角成▲3三歩△同桂▲2一銀(参考図2)のように進めるのが良かったそうだ。
いつもは、先述の3つを満遍なく検証することが多いのですが、今回はBS中継とネット中継はリアルタイムの記憶、印象のみで、『週刊将棋』の記事がメインです。時間の余裕がないこともありますが、記事内容が理路整然としていて、ポイントを押さえて書かれているということも大きな要因です。あ、いつもがそうでない(理路整然でない)という意味ではありません。
余談になりますが、参考にして記事を書く場合、活字媒体が便利ですね。ネット中継はPCの画面をいちいち切り替えなければならないし、録画は一時停止やリプレイをしなければなりません。
とにかく、『週刊将棋』の宣伝になるということで、大目に見てください。
私の見解と週刊将棋の解説と区別するため、私の見解は青色で表記します。
この将棋、後手の丸山九段が4手目角交換の一手損角換わり戦法に持ち込んだが、序盤の差し手争いが細かかった。特に丸山九段に苦心の指し手(手順)見られ、消費時間も多かった。
出来るだけ△3二金を上がらず、さらに過去の実戦を改良し△9四歩と▲7七銀を入れずに駒組みを進める苦心の手順だった。
渡辺竜王は相手の手に対応しながらも、自身の将棋理念に基づきながら指している印象で、第一局と同じ雰囲気だ。
第2図は、3筋の歩を取り込んだ後、3六に歩を控えて打ち3五での銀交換の権利を確保し、銀交換の前後に▲6八金や▲9六歩を入れ間合いを計った後、▲5五歩と突いたところ。
▲5五歩の狙いは、▲5四歩△同歩▲3四歩△同銀▲7一角と飛車取りに打ち4四に成り返ること。
これに対し、丸山九段は平然と△3一玉と指して、上述の手順を甘受した。▲7一角以下△8一飛▲4四角成に△4三金(第3図)▲1一角成と香を取らせた。
香損でも後に△2二銀と馬を閉じ込め、馬を捕獲する手を含みに指すというのだ。
第3図では▲6二馬と指す手(私好み)もありそうだが、竜王は玉側の香を取って悪いはずがないと考えているはずだから、絶対香を取るはずと思って見ていた。(張り切って青字にしているが、控室のほとんどの棋士が▲1一馬の一手と見ていたようで、山崎七段だけ▲6二馬もあるかなとおっしゃっていた)
実際、馬を取られるにしても、もう一手かかるし、銀と指し違えれば銀香よ角の二枚換えなので、先手充分のように思える。
実際、『週刊将棋』の解説でも、丸山九段「香損で悪い。どの順が勝負になるかと…」、渡辺竜王も有利と思い、検討陣の見解は先手はっきり良しだそうだ。
ここで、疑問。細心の手順を駆使したはずの丸山九段であったはず、どこがおかしかったのか?
『週刊将棋』の解説には第2図で△3一玉で△9四歩とする手があったそうだ。この手にも本譜の手順はあるが、▲5四歩△同歩▲3四歩△同銀▲7一角△8一飛▲4四角成△4三金▲1一角成の時、△3三桂(参考図1)で
玉が4二にいるため、8一の飛の利きが1筋まで通り、馬当たりとなる仕組み。
△9四歩の場合は▲1一角成とせず、▲6二馬と指した方がいいのかもしれない。
とにかく、渡辺竜王の指し手は王道を歩んでいるように感じる。
渡辺竜王優勢の第5図。
ここで▲7三銀成と飛車取りに成り、飛車の態度を聞いておくのが良かったようで、△4二飛なら▲2六桂(参考図3)が飛車道を遮って変な気がするが、厳しい。
図で△2五銀は▲3七桂が調子が良い。
第5図での▲7三銀成はいつでも利きそうだし、△8一飛と逃げられた時、飛車が間接的に2一の桂に利いていて、玉が4二に移動した時、2一の桂に紐が付いてしまうのを嫌い、形を決めるのを躊躇ったのかと思ったら、「△4二飛とされて損だと思った」そうである。
実戦は▲4五香。△4五同銀と取れば、▲2三歩成が生じるし、放置すれば香車が後手玉の脇の4筋に睨みを利かすので絶好手のように思える。
▲4五香以下、丸山九段は一旦△8七銀▲6九玉を決め、△4五銀と香を取る。これには予定通りとノータイムで▲2三歩成。以下△2三同銀▲同飛成△同金▲同馬(第6図)と進める。
▲4一金の詰めろと4五の銀取りが厳しい……はずだった。
ところが、△8九飛と王手をされて、渡辺竜王が長考に沈む。71分後▲5八玉とかわす。この間、時折苦悶の表情を浮かべる。さらに、△4一香(第7図)に再び長考。こんな苦しそうな渡辺竜王は初めてだ。
決め手のはずの4五の香を取られ、△4一香と打たれて狙い筋の詰めろと銀取りを受けられる。そのうえ標的であった銀に香を取られたばかりか、次に3六(5六)に進出されれば、4一の香とともに一気に4七の地点に咬みついてくる。さらに、8九の飛車とのコンビが最強となっている。しかも、その飛車は強襲しなければ後手の駒になりえなかった。……あっという間の転落。
33分後に指された手は▲3三馬。せっかくの馬を角と交換するのでは明らかに変調だ。
信じられない逆転。
丸山九段の見事なうっちゃり、カウンター。
しかし、私には渡辺竜王が油断という石ころにつまずき、たまたま振り回した丸山九段のこぶしが、クロスカウンター的に入ってしまったという気がしてならない。
ちなみに、第4図で
▲6五同銀△同歩と桂を取ってから、▲2四歩△5五角▲4六桂△4五歩▲3四桂△2八角成▲3三歩△同桂▲2一銀(参考図2)のように進めるのが良かったそうだ。