英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋雑感 各棋戦状況

2011-12-13 19:22:41 | 将棋
★竜王戦
 4-1で渡辺竜王が防衛。
 強い。強さの王道を歩んでいる。丸山九段も手段を尽くしたが、角換わり腰掛銀の先手番で主導権を握るのがやっとという感じ。微差で終盤に持ち込まれると、丸山九段が勝つ気がしなかった。
 丸山九段については、いろいろ思うことがあるが、長くなるのでまた別に機会に。
 【参考記事】
「竜王戦第一局 渡辺圧勝」(10月24日記事)
「竜王戦第三局 ~油断~」(11月15日記事)

★日本シリーズ
 羽生王位・棋聖が渡辺竜王・王座に逆転勝ち。最近死語に近くなったが、久々の「羽生マジック」が出た。個人的には、この言葉、好きではないのだが、それを使用したくなるほど、羽生ファンにとっては嬉しい勝利だった。ここのところ、王座戦0-3を含めて、竜王にはやられっぱなしだった。
 それはともかく、羽生二冠、早指し将棋は強い(NHK杯3連覇中、日本シリーズも連覇)

★順位戦
 羽生二冠が6連勝。1敗同士の対局は谷川九段が渡辺竜王を下し2位をキープ。羽生ー谷川の大一番は一局挟んだ第8戦目に組まれている。
 B級1組は橋本七段(順位12位)が6勝2敗でトップ。順位5位の行方八段と順位6位の山崎七段が6勝3敗、順位3位の深浦九段が5勝3敗で続いていて、橋本七段自身も「残り4局もあるので、まだまだ大変」という旨の発言をしている(『囲碁・将棋フォーカス』)。
 それでも「残り一人の昇級者が誰になるのか…」というリップサービスを忘れないのが氏らしい。橋本七段の最終局は深浦九段、これが大一番となりそうだが、意外と両者が抜け出し来期A級の9位争いとなっているかもしれない。
 それよりも次次局の阿久津七段の嫌がらせ?が要注意だ。
 B級2組は広瀬七段が7戦全勝。別格の強さを見せている。ここ数年、広瀬七段の順位戦7局目までは勝率10割に近いのではないだろうか。
 1敗で畠山(成)七段(順位8位)、2敗で中川八段(3位)、北浜七段(4位)、南九段(12位)、飯塚七段(16位)、森下九段(23位)で続いているが、昇級は北浜七段までに絞られた感がある。南九段以下は、自らが残り3戦全勝をしても、上位4人のうち3人が崩れないと逆転できない。(「崩れる」というのは、広瀬、畠山が2敗、中川、北浜が1敗すること)望みは薄い。

★王将戦
 今期も屈指の強力メンバーがそろった挑戦者決定リーグ、そして、今年も豊島六段が、広瀬七段、三浦八段、森内名人、佐藤九段、羽生二冠を連破して5連勝。昨年の挑戦が勢いだけでないことを立証した。
 この時点で可能性があるのは、3勝1敗の佐藤九段のみ。最終日が空き番の豊島六段は他のメンバーとは1局先に最終局を迎える。ここで勝てば、文句なしの全勝での挑戦権獲得。しかし、渡辺竜王がA級の意地を見せ連勝を止めた。
 しかし、5勝1敗で日程を終え、対抗の佐藤九段が羽生、広瀬を連破してようやく同率決戦に持ち込めるという状況なので、豊島六段絶対有利と見られた。しかし、ここで佐藤九段が三連勝し、大逆転の挑戦権獲得。強い時の佐藤九段は本当に強い!
 この最強リーグの最終成績は、佐藤九段、豊島六段5-1、渡辺竜王・王座4-2、羽生王位・棋聖3-3で以上が残留。陥落は広瀬七段3-3、三浦八段1-5、森内名人0-6。

 さて、このリーグ戦の結果で、言いたいことがあるのですが、その内容を想像がつく方は、かなりの当ブログ通ですね。(近々書きます)

★棋王戦
 勝者ゾーンは郷田九段、敗者ゾーンは広瀬七段が勝ち上がった。
 居飛車正統派の郷田九段が、久保棋王・王将の振り飛車をどのように撃破するのか、あるいは久保二冠が郷田九段の豪腕をどうかわしていくのか観たいが、久保、広瀬の振り飛車王決定戦も観たい。
 まずは、挑戦者決定戦の郷田-広瀬戦が楽しみだ。

★女流王座戦
 女流棋界に君臨してきた清水女流六段と加藤奨励会1級という興味深い対戦となったが、3勝2敗で加藤奨励会1級が初代の王座に就いた。
 安直には結論づけられないが、世間的には女流のトップは奨励会1級以下(記事アップ当初「1級程度」という表現をしましたが、「1級以下」に訂正します)という見られかたをされるかもしれない。
 近年、独自の指し回しで女流棋界に君臨してきた清水女流六段、例えば、ゴキゲン中飛車に対する6三金型など玉が薄くなり、指しにくい、勝ちにくい指し方だと言える。しかし、里見女流三冠、甲斐女流王位らは優位に持ち込むものの、粉砕するに至らず混戦に持ち込まれている。清水女流六段はこの戦型の弱点や強みを熟知していて、それに適応した指し方や大局観を持っており、対局者は慣れていない。
 また、清水女流六段は、(戦型によらず)勝負形に持ち込む指し方は流石であった。
 しかし、勝ちを読み切る気力・棋力が少し足りないように感じる。そのせいで、終盤、最終的に競り負けてしまうことが多い。中盤で時間を消費し、時間切迫して苦しい終盤戦になる。そして、この時間切迫なることこそ、「清水将棋」に染みついた中盤~終盤重視の将棋の作りによるもので、弱点と言えるかもしれない。
 数年前までは終盤までに自分の得意な局面に持っていけば、勝てていた。そういう、姿勢が終盤を弱くしていった。ここ1、2年は、「時間切迫で勝てなかったのではなく、時間がある程度あっても勝てなかった」、そんな風に感じるのである。

★女流名人位戦A級リーグ
 清水女流六段が二年連続で九戦全勝で挑戦権獲得。他のメンバーがだらしがないと言わざるを得ない。
 降級は4勝5敗の中井女流六段、千葉女流三段、1勝8敗の早水女流二段。4勝5敗が6人並ぶ大混戦で、順位下位の両者が降級となった。
 応援している矢内女流四段と中井女流六段と千葉女流三段のうち、ふたりが降級という傷心の結果だった。わりと有利な立場の二人が揃って負け、他の対戦も両者が降級するように作ったようなよもやの結果だった。
 矢内さん、甲斐女流王位に勝って奈落(B級)に叩き落とさんとダメでしょう!
(矢内さんは甲斐さんに女王位を奪取され、その年にA級陥落し、一気に女王から平民に陥落してしまった)
 早水さん、どうせなら全敗してくれれば良いのに、なぜ、千葉さんに勝つ?
(私が早水さんの立場でも全敗は避けたいし、どんな対局でも全力を尽くす)
コメント (8)
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