英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『ラッキーセブン』 第5話「別れの予感、駆け抜ける夜」

2012-02-14 22:25:35 | ドラマ・映画
 相変わらず、何もしない探偵事務所、しかも、思わせぶりで何も明かさないドラマでした。実際、もう書く気も起らないのですが、前編について書いたので、その惰性です。

何もしない探偵たち
 と書くと、語弊がありそうである。確かに動きましたが、その行動開始は遅く(前回も輝の事で疑心暗鬼の展開)、調査したのは、真相の切れっ端の浮気調査の依頼主の林原(正名僕蔵)についてのみ。
 いえ、警視庁幹部の峰永(近江谷太朗)については、探偵社社長の瞳子(松嶋菜々子)が、贈収賄をすっぱ抜いた出版社については筑紫(角野卓造)が、瑛太の家族については駿太郎(松本潤)がと、瑛太のアパートについては飛鳥(仲里依紗)たちが、それぞれ、調べて入るのだが、タイトルの「駆け抜ける夜」は、林原を探すだけで、まったく真相に近づく気配はなし。結局、見つけられず、警察が林原を捕まえることによって、探偵社は救われた。それを見せられる視聴者もフラストレーションがたまる。
 先行して調べているとは言え輝(瑛太)1人の方が探偵社全員より遥かに有能。しかし、その輝も探偵社を去ってしまう。次回は、全く別の話みたいで、真相は先送り。
 はい、視聴離脱決定!

使えない社長
 「承知しました」と言って何でもやってしまうミタさんが恋しい。
 今回は、輝の退職届を破る、峰永に事情を聴く、聴聞会に出席するなど、寿司を注文しただけの先週よりは遥かに活躍?はしたが、輝を救うため調査の指示をあれこれするというのが、社長の腕の見せ所であろう。

駿太郎の活躍
 活躍というほどではないが、輝の実家を突きとめる、ゴミ回収車を追走、動体視力の良さを発揮、女将の本質を見抜く(恋愛中の女性が発する気配を感じない)マダムキラー?を発揮と、それなりに働いた。
 でも、輝が何を調べていたかぐらい、問い詰めて欲しかった。「すべて解決した」とお気楽なことを言い切っていたし。


【ストーリー】(番組サイトより)
時多駿太郎(松本潤)の腕を振り払って新田輝(瑛太)が逃走した後、ラッキー探偵社には公安委員会から呼び出しがかかった。聴聞会に藤崎瞳子(松嶋菜々子)が出席し、新田の件の事実確認が行われるという。その結果次第では、探偵社の営業停止もある、と筑紫昌義(角野卓造)は説明。旭淳平(大泉洋)は、探偵社が助かるためには新田の退職届を示し会社とは無関係だと主張することだと話し、水野飛鳥(仲里依紗)も賛同する。

探偵たちが暗いムードに包まれていると瞳子が来て、新田はうちの社員だから、と言って手にした退職届を破ってしまった。瞳子は、状況的には新田が犯人に見えるかもしれないが、何度考えても自分はそうは思えない。だから、この事件について自分たちなりの結論を出すために調べなおそう、と提案。駿太郎ら探偵たちも同意する。

早速、新田にかけられたふたつの容疑、住宅侵入と窃盗について洗い直しが始まるが、すぐに行き詰ってしまう。新田がここにいればすぐに説明がつくのに、という飛鳥に、駿太郎は新田の実家について聞いていたことを思い出す。そして、小さな手がかりをもとに、駿太郎は新田の実家と思われる豪邸の前にやってきた。インターホンを押すと家政婦が出て、新田とこの家はもう関係がないと主人が話していると言って、インターホンを切ってしまう。駿太郎が再度インターホンを押すと、後ろで女性の声がした。振り向くと、そこには新田の姉・真須子が立っていて…。
コメント (4)
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羽生将棋 早指し将棋における強さ① ~NHK杯戦から思う~

2012-02-14 17:35:31 | 将棋
 一昨日、NHK杯戦の羽生二冠(王位、棋聖)×郷田九段戦を観戦。「観戦」と書くと、スタジオに見学にでも行ったのかと、思われるかもしれませんが、もちろん、テレビ観戦です。
 羽生二冠が激しい将棋を勝ち切り、準決勝進出。ここ数年、早指し戦は滅茶苦茶強い。その中でも、NHK杯戦は特に強くて、3連覇中で今期もベスト4。羽生二冠はシードなので、2回戦~決勝まで5連勝。3年連続なので、15連勝。今期も2回戦、3回戦、準々決勝と3連勝なので、合わせて18連勝。
 単一棋戦の連勝は、19連覇した王座戦で、今期(昨年)第1局で渡辺竜王に敗れるまで、19連勝していたのが思い出されるが、ある意味、それより凄い。タイトル戦は同じ相手と続けて指す上、持ち時間も充分あるが、NHK杯戦は、1局ごとに相手も変わり、しかも持ち時間も短い。なので、想定外の局面になりやすく、それを短時間(終盤は秒読み)で対応しなければならない。当然、ミスも犯しやすく、一発も食いやすい。にもかかわらず、この連勝は、強いというより、異常である。しかも、NHK杯戦だけでなく、日本シリーズや朝日杯でも、強さを発揮している。(この点については、後日、言及するつもり)

 まず、実戦を追ってみよう。

 図は、同型の角換わり腰掛け銀から後手の郷田九段が△8一飛と変化した局面。定跡は△4四銀、他の手では渡辺竜王の新手の△3五同歩もある。
 実は、この△8一飛は昨期(今期ではない)の順位戦の▲郷田×△渡辺で渡辺竜王が指した手である。この時は、以下▲4五桂△4四銀▲7四歩△4一飛▲7三歩成△4五銀直▲6七銀△3六銀▲2九飛△3八角▲3九飛△4七銀不成▲5九金と進み郷田九段が勝っている。ちなみに、図の△8一飛に▲7二角も有力とのこと。本譜の羽生二冠は▲4五桂と跳ね郷田×渡辺戦に追従した。
 郷田九段はこの時は先手番を持っていたが、「気になる変化があった」と感想戦で述べていた。その変化が、▲4五桂△4四銀▲7四歩に△4一飛と飛車を回る前に、△4五銀と桂を取り、▲4五同銀と形を決めてから△4一飛と飛車を回った。渡辺戦では先手は▲6七銀と引け、対する後手の5四の銀は置き去りになった感があった。本譜はこの順を避けたとも考えられる。対羽生戦用の研究ではないと思うが、郷田九段が温めていた研究だと推測される。長考派の郷田九段にしては、ここまでの着手は非常に早かった。


 第2図は△4一飛に▲4四角△5五角と角を打ちあった局面。▲4四角では▲5四銀と銀を取るのが自然な指し手(後手に飛車は成り込まれるが)であるが、▲4四角は△5五角と合わされると、ほとんど▲5五同角と取る一手で、後手の5四銀が5五に移動しただけ。銀は5四と5五とではどちらが良いのか?……もしかしたら、角の合わせをうっかり……などと考えていたら、▲4七桂!(第3図)

 なるほど、飛車成りを受けつつ、銀取りになっている。このための角打ちだったのか。3五への飛車の回りも消している。……しかし、攻めに使いたい桂を飛車成りを防ぐために打つなんて。歩で止めるのではなく、頭の丸い桂で!……
 なんて柔軟な発想!
 解説の深浦九段も言っていたが、この手は郷田九段の研究にはなかったはず。形勢はともかく、この手で郷田九段の足場(研究)がなくなった。もちろん、郷田九段はタイトル経験者のA級棋士、そのくらいのことではビクともしない。もともと、自分の研究と正確な読みを礎に相手によって手を変えることのない正攻法で、直球勝負の剛腕である。このくらいの局面では、ひるむはずもなく、読みもよどみのない……はずである。

 私は将棋は車のラリーに似ていると考える。それはサーキットコースのように決まった周回コースを走行するのではなく、スタート地点とゴール地点だけが決まっていて、途中はどう走っても良いというレース。
 定跡は地図、研究は経路の計画であろう。その他の要素として、読み、大局観、精神力、体力、経験などは、車のエンジン・足回り・燃費・頑丈さやドライバーのハンドル捌きや判断力などに該当するのだろう。
 羽生将棋の特筆すべき点は、対局中も走り慣れた道も新たな目で局面を捉え可能性を検証すること。道路や天候状況、脇道、更には景色の良さなどを観察する。しかし、今期の王座戦での対渡辺戦は、自分が想定した局面にひた走り、その余裕が感じられなかった。
 悲しい横道に逸れてしまった。話を戻して、羽生二冠の対局相手について考察してみよう。渡辺竜王、森内名人、久保二冠、佐藤九段クラスならともかく、普通の棋士ならNHK杯戦は脚光を浴びる絶好の機会だ。
 NHK杯戦で負けると「先生、調子悪いですねえ」とか声を掛けらることが多いそうだ。世間の目を間接的に感じるのではなく、直に声を掛けられるのだから、本人にとっての勝敗の重みは、他の棋戦の比ではない。否応でも方に力が入ってしまう。
 まして、対局相手が羽生二冠であれば、世間の注目度も高い。勝った時の反響はすごいものだろう。
 と言っても、羽生二冠、そう簡単に勝てる相手ではない。事前に研究し作戦を練るが、それ故、力みが出ることも多いし、疑心暗鬼に陥ることもあろう。
 さらに、テレビ対局という特殊な環境。メイクをされ、ライトを浴び、カメラを向けられ、インタビューまでされる。
 このように、平常心を保つのが非常に難しい状態である。もちろん、これまで命を削る勝負を経験している棋士であるので、舞い上がってしまうことはない。ギリギリの精神状態ゆえ、頭脳がフル稼働し、事前の想定の局面に持ち込み有利に展開することもあるようだ。
 しかし、そんな局面でも、羽生二冠は崩れず、差をつけられずに付いて来る。そして、絶妙なタイミングで、しかも、死角から勝負手を放つのである。それが、極限状態の精神を、ツンと突かれ、あるいは、ガツンと殴られ、平衡感覚を失って、逆転。まあ、こういうパターンは、テレビ将棋に限ったことではないが、特にテレビ対局では起こりやすいのではないか。

 さて、再び、第3図。

 この手はおそらく想定外。定跡と研究のカーナビで快調に飛ばしてきた郷田九段であったが、この手により、カーナビにない森の中に引っ張り込まれてしまった。もちろん、そこは一流棋士、培ってきた大局観と読みで、高性能なレーダーと的確なハンドル捌きで難解な局面も障害物を避けて走る。
 しかし、ここまで狭い視野で走ってきただけに、方向感覚が鈍っていたようだ。逆に、局面の可能性を掘り下げて進んできた羽生二冠は、視野も悪く道なき道であっても、方向を見失わない。

 どの手がまずかったのか、私の棋力では分からないが、終わってみれば羽生二冠の快勝譜になっていた。第3図の▲4七桂の局面の是非の判断もつかないが、勝利を手繰り寄せた一手のように思う。


 第4図は、「次に寄せますよ」と△6九銀を打ったところ。この手では、△5八角成と迫る手のほうが厳しいが、7六角の利きが消えては自陣が危ない。そこで、角の利きを残しつつ先手玉に迫ったわけだ。しかし、一手かけた割には効いていないような気がするが、どうなのだろうか?
 ここで、羽生二冠の手が注目された。私の第一感は▲4三銀。4三への利きは後手の方が多いが、△4三同角だと▲4一金の一手詰。△4三同竜でも▲同桂不成△同金▲2二金まで。気になるのは先手玉が詰むかどうかだが、詰みはなさそう。

 実戦は▲3四馬(第5図)。
 馬を自陣に利かせつつ後手陣に迫る攻防の一手だが、少し緩いような気がする。それに、3三に金を打たれて馬を弾かれると、手順に後手玉を強化させてしまう。実戦も△7八銀不成と金を取られ、▲7八同玉に△3三金打と進む。しかし、この手には▲2二金△同金▲同歩成△同玉に▲2三歩が厳しかった(△2三同金は詰む)。
 以下△1三玉に▲2二銀△1四玉▲3三銀不成(第6図)と自然に攻めて寄ってしまった。

 図で△3三同桂と取れないのでは辛い。取ると

 ここで、初級~中級程度の詰将棋みたいな詰みがある。
 即詰図より▲2五銀△同桂▲2四馬△同玉▲3四金△1三玉▲1四歩△同玉▲2四金打(ピッタリ図)。


 第5図の▲3四馬のような、少し緩めたような寄せ、かと思えば、やたら過激な強引な寄せを見せる時もある。ただ、どちらの場合も、方向を見失わず、見通しを立てて指し進めているように思う。
 第5図では△5八銀成の方が良かったように思うが、ここでは既に、郷田九段の方向感覚・平衡感覚は狂わされていたよう感じて仕方がない。
 印象に残る▲4七桂(第3図)だった。
コメント (2)
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