![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/47/9f29026c996c23996e20a271ca1b60b5.jpg)
封じ手は△4四歩だった。この手も候補手に上げられた手だ。
この手は、先手の4五の角を引かせ△6五角と5六の歩を狙った手で、後に△3三歩で銀を捕獲する含みもある(角を引かすことで2三の利きをなくしている)
損得勘定をしてみると、
①先手の角は4五にいる方が働きが強いが、1八の遠見の角の方が安定していると言える。
②歩を打ったので再び歩切れだが、5六の歩を取って補充できる。
③さらに歩を取ることができれば、先手の防衛ラインの5六の地点を突破したことになる。
④△3三歩と打てれば、銀を取ることができる。(4五に先手の角がいると、△3三歩と打っても▲2三銀成△同金▲同角成で、銀金交換の上、馬まで作らせてしまう)
①②はプラスマイナス0(ゼロ)
③④はプラスポイント
なので、封じ手の△4四歩は少なくとも悪い手ではないように思える。しかし、③のポイントは、実戦でも実現できたが、あっさり6八に玉を引かれてみると、かえって玉形が安定したように思える。さらに、④のポイントは、実戦の経緯を見ると、意外にポイントが低かったようだ。
△4四歩以下、▲1八角△6五角と進む。△6五角はもちろん5六の歩を狙っている。5六を死守するなら▲2六飛であるが、▲2六飛△5六飛▲同飛△同角で、これを▲同玉と取ると、△7六飛(王手金取り)があるので、普通はここで読みを打ち切る(佐藤九段も)。ところが、△5六同角に角を取らずに▲5一飛(変化図9)とする手があると久保二冠。
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図の▲5一飛は△6五角なら▲5三歩と垂らして受けがなく、△6二金を咎めている意味があり、有力だったと佐藤九段は述べている。
ただ、猜疑心が強い私はあれこれ考えてしまう。▲5三歩の垂らしに△5六飛と王手で受ける手はないか、或いは、受けずに△6九飛と攻め合うのはどうか。また、変化図9で△5二歩(△5三歩)と角取りと歩の垂らしを同時に受ける手や、△6九飛と打ち▲5八金に△8九飛成▲7九金△同龍▲同銀△3四角▲同歩△5二金打とし、千日手に逃げる手もあるかもしれない。
いろいろ考えたが、全般的には後手の角が負担になることが多いのと、後手の左翼の駒が働いていないので後手が苦しそうだ。タイミング良く△3三金、或いは△4二銀▲2一飛成△3三金と強引に捌きたいが、なかなかうまくいかない。
話を戻します。実戦は久保二冠の思惑通り、△4四歩以下▲1八角△6五角▲7七銀△5六飛▲6八玉△3三歩と進み、先の①~④を実現させた。
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