英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

淡白な投了

2013-02-11 14:59:00 | 将棋
昨年の12月13日の記事、『将棋雑感 ~やはり強い渡辺竜王、減速気味の羽生三冠、順位戦の動向~』の文末に、「この日は、早めの終局が目立った」と述べたが、実はこの傾向がずっと気になっていた。
 統計を取って他のクラスと比較すべきだが、そこまでの根性は私にはない。でも、気になっていたので、終局時刻には注視していた。
 断言はできないが、A級の終局時刻は非常に遅く、B級2組以下は早い傾向がある。戦型や対局相手にも左右され、1局だけを取り上げて言及すべきではないのかもしれない。

 大平五段は、たまたま目についただけかもしれないが、早い終局が目に付く。(本局とは関係ないが、早指しの田村六段も終局時刻は早い)
 ▲宮田(敦)六段-△大平五段(2月5日、C級1組9回戦)
 相腰掛銀から後手の大平五段が右玉に変化し飛車を4筋に振ったのに対して宮田六段が▲6五歩と突っかけた第1図、

 「16時過ぎ、△4一飛までの消費時間は▲宮田3時間30分、△大平53分」とある(宮田六段が▲6五歩に費やした時間は不明)精密型の宮田六段と感覚型の大平五段、更に力戦形の将棋なので、消費時間の差は当然かもしれない。
 それはさておき、▲6五歩に△同銀▲同銀△同歩と進む。
「次に△6四銀と手厚く打つ形の味がいいようだ。それを防ぐなら▲2四飛△同歩▲4五歩から▲6四歩を狙う激しい順も考えられる。17時過ぎ、△6五同歩までの消費時間は▲宮田4時間18分、△大平53分」(中継サイトより)
 宮田六段もその読みだったのだろう。「えい!」と飛車を切る(言うはずはないが)。

 飛車を切ってから、▲4五歩と角道を開け次に▲6四歩を狙う。ここで疑問なのが飛車を切る必要性があったのかということ。単に▲4五歩に△4六銀を警戒したのか?しかし、△4六銀にここで▲2四飛と飛車を切り、△3七銀成(不成)には▲3四飛△3三歩(△3三金なら▲同飛成△同桂▲3七銀)▲4四飛と暴れてよさそう(△4三歩なら▲6四歩△5四金▲同飛△同歩▲3七桂)。
 宮田六段が33分考えて飛車を切ったのだから、当然の理由があるのだろう。(今考えると、単に▲4五歩だと、この瞬間△6六歩を利かす手があるかもしれない←2021年2月7日)


 ここで大平五段は△4五同歩。
「堂々と同歩。」(実況サイトの解説)
 以下、▲6四歩△5四金▲7五歩と進み………何と、投了!

解説は
「22分考えて▲7五歩。
大平は5分考えて、次の手を指さずに投了を告げた。玉頭に拠点を作られて、粘れないと判断したようだ。
終局時刻は17時36分、消費時間は▲宮田5時間13分、△大平59分。」
  
 第1図から投了図までの大平五段の考慮時間は6分。
 その間の指し手は、宮田六段の指し手に素直に応じただけ(若干、第1図の▲6五歩に△同銀が捻った取り方)。宮田六段の考慮中に考えることができるが、素直に応じて投了図まで進め、投了した大平五段の思考は理解できない。
 投了図で指せると思っていたのだろうか?
 玉頭に歩が垂れ、桂頭も危うい。しかし、投了するには早いように思う。
 試しに考えてみると、先手に歩がなく、すぐに▲7四歩と打たれないので、投了図で素直に△7五同歩はどうか?しかし、▲6三銀△同銀▲同歩成△同玉に▲7四銀(参考図1)が必殺。

 △7四同玉には▲5二角の王手飛車がある。これを取れないのでは後手は壊滅である。

 では、投了図で△4六歩と角の利きを抑えるのはどうだろうか?
 これには平凡に▲7四歩と歩を補充しながら桂取りに進めて、やはり後手が辛すぎる。▲7四歩には△6四歩と玉頭の嫌味を解消したいが、▲7三歩成△同玉に▲4二歩(参考図2)が痛い。

 △4二同飛には▲5一角の王手飛車(厳密には飛車角交換だが、この玉形で飛車を渡しては持たない)。かと言って、▲4二同金や飛車を逃げては、▲4六角と角を世に出されてしまう。

 投了はやむなしかもしれないが、大平五段の指し手や考慮時間に、やる気のなさを感じる。


 参考までに、過去3回のC級1組の終局時刻を挙げておきます。
C級1組9回戦(2月5日)(☆(☆印は大阪対局)
(内藤 國雄九段-村山 慈明六段…13時16分千日手成立)
(浦野 真彦八段-金井 恒太五段…16時55分千日手成立)
村山 慈明六段(8勝1敗)○-●内藤 國雄九段(1勝8敗)…17時4分☆
宮田 敦史六段(8勝1敗)○-●大平 武洋五段(3勝6敗)…17時36分
森 けい二九段(2勝7敗)●-○日浦 市郎八段(5勝4敗)…19時12分
(北島 忠雄六段-片上 大輔六段…19時52分千日手成立)
長沼 洋七段(3勝6敗)●-○糸谷 哲郎六段(6勝3敗)…21時11分☆
真田 圭一七段(8勝1敗)○-●塚田 泰明九段(5勝4敗)…21時41分
佐藤 秀司七段(4勝5敗)●-○小林 裕士七段(6勝3敗)…22時3分☆
桐山 清澄九段(1勝8敗)●-○佐々木 慎六段(7勝2敗)…22時18分☆
脇 謙二八段(0勝9敗)●-○福崎 文吾九段(3勝6敗)…22時40分☆
土佐 浩司七段(3勝6敗)○-●加藤 一二三九段(0勝9敗)…22時49分
金井 恒太五段(6勝3敗)○-●浦野 真彦八段(3勝6敗)…23時7分☆
田中 寅彦九段(3勝6敗)●-○千葉 幸生六段(7勝2敗)…23時30分
平藤 眞吾七段(5勝4敗)●-○富岡 英作八段(5勝4敗)…23時53分
小林 健二九段(4勝5敗)○-●高崎 一生六段(3勝6敗)…0時23分☆
高野 秀行六段(6勝3敗)○-●近藤 正和六段(4勝5敗)…0時40分
阿部 健治郎五段(7勝2敗)○-●船江 恒平五段(4勝5敗)…0時41分
稲葉 陽六段(8勝1敗)○-●中村 太地六段(6勝3敗)…1時2分
片上 大輔六段(7勝2敗)○-●北島 忠雄六段(2勝7敗)…1時49分

 C級1組8回戦(1月15日)(☆印は大阪対局)
大平 武洋五段(3勝5敗)●-○佐々木 慎六段(6勝2敗)…16時50分
真田 圭一七段(7勝1敗)○-●日浦 市郎八段(4勝4敗)…17時10分
森 けい二九段(2勝6敗)●-○高野 秀行六段(5勝3敗)…19時8分
桐山 清澄九段(1勝7敗)●-○稲葉 陽六段(7勝1敗)…19時40分☆
小林 健二九段(3勝5敗)○-●加藤 一二三九段(0勝8敗)…20時9分
(脇 謙二八段-平藤 眞吾七段…20時17分千日手成立)
浦野 真彦八段(3勝5敗)○-●小林 裕士七段(5勝3敗)…20時21分☆
船江 恒平五段(4勝4敗)○-●富岡 英作八段(4勝4敗)…20時54分☆
北島 忠雄六段(2勝6敗)○-●内藤 國雄九段(1勝7敗)…21時13分☆
塚田 泰明九段(5勝3敗)●-○土佐 浩司七段(2勝6敗)…21時34分
田中 寅彦九段(3勝5敗)●-○阿部 健治郎五段(6勝2敗)…21時42分
福崎 文吾九段(2勝6敗)●-○糸谷 哲郎六段(5勝3敗)…22時3分☆
平藤 眞吾七段(5勝3敗)○-●脇 謙二八段(0勝8敗)…22時57分☆
近藤 正和六段(4勝4敗)●-○佐藤 秀司七段(4勝4敗)…23時11分
片上 大輔六段(6勝2敗)○-●高崎 一生六段(3勝5敗)…23時50分
中村 太地六段(6勝2敗)●-○長沼 洋七段(3勝5敗)…0時23分☆
金井 恒太五段(5勝3敗)○-●村山 慈明六段(7勝1敗)…0時38分
宮田 敦史六段(7勝1敗)○-●千葉 幸生六段(6勝2敗)…0時46分

 C級1組7回戦(12月11日)(☆印は大阪対局)
福崎 文吾九段(2勝5敗)○-●田中 寅彦九段(3勝4敗)…16時9分
糸谷 哲郎六段(4勝3敗)○-●土佐 浩司七段(1勝6敗)…17時8分☆
村山 慈明六段(7勝0敗)○-●平藤 眞吾七段(4勝3敗)…19時25分☆
塚田 泰明九段(5勝2敗)○-●大平 武洋五段(3勝4敗)…20時25分
富岡 英作八段(4勝3敗)○-●北島 忠雄六段(1勝6敗)…20時53分
高野 秀行六段(4勝3敗)○-●内藤 國雄九段(1勝6敗)…21時17分☆
小林 裕士七段(5勝2敗)●-○金井 恒太五段(4勝3敗)…21時30分☆
千葉 幸生六段(6勝1敗)○-●森 けい二九段(2勝5敗)…21時43分
日浦 市郎八段(4勝3敗)○-●近藤 正和六段(4勝3敗)…21時53分
加藤 一二三九段(0勝7敗)●-○真田 圭一七段(6勝1敗)…22時16分
船江 恒平五段(3勝4敗)●-○中村 太地六段(6勝1敗)…22時21分☆
佐藤 秀司七段(3勝4敗)○-●桐山 清澄九段(1勝6敗)…22時44分
長沼 洋七段(2勝5敗)○-●小林 健二九段(2勝5敗)…23時29分☆
阿部 健治郎五段(5勝2敗)●-○片上 大輔六段(5勝2敗)…0時2分
高崎 一生六段(3勝4敗)○-●脇 謙二八段(0勝7敗)…0時11分
稲葉 陽六段(6勝1敗)○-●浦野 真彦八段(2勝5敗)…0時25分☆
佐々木 慎六段(5勝2敗)○-●宮田 敦史六段(6勝1敗)…2時1分
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