(「ソチ五輪雑感①」は『ソチ五輪 女子モーグル 残念上村4位 「達成感マックス」 ~清々しいインタビューだが、競技としては疑問~』です)
女子ジャンプ(ノーマルヒル)……残念4位、高梨選手
ワールドカップ13戦中10勝と、抜きんでた実力を示していた高梨選手だが、惜しくも4位に終わった。
上位4選手の中で2階とも追い風だったのは高梨選手だけという不運さがあった。
合計得点 1回目得点 飛距離 飛型点 風点 2回目得点 飛距離 飛型点 風点
1位 フォクト 247.4 126.8点 103m 53点 -2.2点 120.6点 97.5m 53点 +2.6点
2位 イラシュコ 246.2 120.2点 98.5m 54点 -0.8点 126.0点 104.5m 49点 -2.0点
3位 マテル 245.2 125.7点 99.5m 56点 +0.7点 119.5点 97.5m 55点 -0.5点
4位 高梨 243.0 124.1点 100m 51点 +3.1点 118.9点 98.5m 50点 +1.9点
5位 インサム 242.2 120.5点 98.5m 52.5点 +1.0点 121.7点 99m 52点 +1.7点
(飛距離1mに付き2点の差)
便宜上、上記では「風点」表記したが、ウインドファクタのこと。向かい風が有利なのでその差を解消するための調整点、向かい風が強いほどマイナスになる。
上位5選手の風点は、フォクト +0.4点、イラシュコ -2.8点、マテル +0.2点、高梨 +5.0点、インサム +2.7点と高梨選手がダントツで追い風(飛びにくい)の条件で飛んだことになる。しかも、高梨は2回とも追い風だった(5位のインサムも2回とも追い風)。
その風の条件の中、飛距離の合計はフォクト 200.5m(追風0.4点)、イラシュコ 203m(向風2.0点)、マテル 197m(追風0.5点)、高梨 198.5m(追風5.0点)、インサム 197.5m(追風2.7点)と、高梨選手は追風の悪条件下でも頑張って飛んでいる。
飛距離点に風点を加えると、フォクト 141.4点、イラシュコ 144点、マテル 134.5点、高梨 142点、インサム 137.7点と2位の得点になる。
このように、風点(ウインドファクタ)の調整があるので公平じゃないかと思えそうだが、それは飛距離について調整が為されるだけなのである。
追い風下では空気に押さえつけられるので着地の際の難易度は上がって、飛型点のポイントであるテレマーク姿勢を取るのが難しい。転倒を防ぐのが第一になる。その分、追風では飛型点が伸びなくなる。
ただ、2位のイラシュコの2回目の飛型点が低いのは、大ジャンプの為で、≪じゃあ、向かい風でも飛型点が伸びない≫と考えられそうだが、大ジャンプでの飛距離点が飛型点の低さをカバーできてしまう。ただ、あまり飛び過ぎると転倒の危険があるので、風の条件が良い場合は低い所から飛ぶという措置を取ることもある。
今回の場合の飛型点の合計は、フォクト 106点、イラシュコ 103点、マテル 111点、高梨 101点、インサム 104.5点となっており、高梨選手は飛型点の低さが致命傷となった。
確かに、高梨選手の着地は腰が落ちてしまっていて、それが減点対象になったようだ。しかし、空中姿勢は非常に美しく、テレマークの足を前後に広げるという動作も入っていた。他の選手の採点と比較すると、2回合計で4~5点ぐらい評価が低かったように思う。
なんとなく、いろいろと日本に不利な判定や採点が多いような気がするのだが……
さて、インタビューでの高梨選手の受け答えが素晴らしかった。
高梨選手は、落胆や悔しさで一杯のはずなのに
「今この舞台に自分が立てたことは、すごくいい経験だったんですけど、今まで支えてくださった皆さんに感謝を伝えるためにこの舞台に来たので、そこでいい結果を出せなかったのがすごく残念です。
自分では、やることは一緒なので、どの試合も変わらず挑んだつもりだったんですけど、やはりどこか違うところがあるなと感じました。一本目も二本目も、納得行くジャンプができなかったので残念です。
また、このオリンピックに戻ってこれるようにもっともっとレベルアップしていきたいと思います」
さらに、先の私の疑惑を打ち消すように
「本当に実力があれば関係はないと思うので、実力が足りなかったのだと思います」
実に素晴らしい!
一方、カーリング女子、
セカンドの小野寺選手がインフルエンザで出場できないというアクシデントの中、初戦の韓国戦を落としてしまった。
試合後の小笠原選手のインタビュー
「(小野寺佳歩が)インフルエンザにかかってしまったのはどうしようもない。(欠場の影響は感じられた?)そうですね。やっぱりセカンドは、相手のガードを崩す重要なポジションなので、ここを重点的にやってきた彼女が抜けるというのは非常に厳しかったです。(自分の番では迷っていたようだが)ヒットして2点取るか、フリーズして1点取るかというところですね。最後はピンポイントでここというのが続いていました。
(第6エンドのショットが、かなり手前で止まってしまったが)あれはミスです。先攻だったので、センターで勝負したかったんですけど、リードからセカンド、サードとショットがあまりつながらなかったので、自分のところでどうにか2点コースをつかみたかったんですけど……。自分のミスは敗戦に直結してしまうので、良くなかったですね。
(今大会こそ初戦は、という思いがあったと思うが)私はとてもリラックスしました。気負いなくやっていたんですけど、やはりこの(小野寺を含めた)4人でと固定してやっていたので、アクシデントに対応できていなかったなと思います。(小野寺の復帰の見通しは)昨日の練習は休んだんですけど、そのときは大丈夫だという話でした。でも夜に検査を受けたところ、『やっぱりダメだ』となってしまいました。カーリングだけじゃなく、ほかの日本選手団に迷惑をかけるわけにはいかない。きちんと治して戻ってきてもらわないと困るので、待ちたいと思います。
今日はショットがみんな緊張して良くなかった。そこを良い形に近づけられるように背中を押してあげたいと思います。(代わりに入った吉田知那美は)緊張しているのが目に見えて分かったので、それは仕方ない。日本を代表して来ているので、いろいろなミスをなくして、もっと集中するようにしたいと思います」
敢えて、コメントはしません。
なぜ、このふたつのインタビューを並べたのか、かみしろさん辺りだとすぐピンと来るはずです。
女子ジャンプ(ノーマルヒル)……残念4位、高梨選手
ワールドカップ13戦中10勝と、抜きんでた実力を示していた高梨選手だが、惜しくも4位に終わった。
上位4選手の中で2階とも追い風だったのは高梨選手だけという不運さがあった。
合計得点 1回目得点 飛距離 飛型点 風点 2回目得点 飛距離 飛型点 風点
1位 フォクト 247.4 126.8点 103m 53点 -2.2点 120.6点 97.5m 53点 +2.6点
2位 イラシュコ 246.2 120.2点 98.5m 54点 -0.8点 126.0点 104.5m 49点 -2.0点
3位 マテル 245.2 125.7点 99.5m 56点 +0.7点 119.5点 97.5m 55点 -0.5点
4位 高梨 243.0 124.1点 100m 51点 +3.1点 118.9点 98.5m 50点 +1.9点
5位 インサム 242.2 120.5点 98.5m 52.5点 +1.0点 121.7点 99m 52点 +1.7点
(飛距離1mに付き2点の差)
便宜上、上記では「風点」表記したが、ウインドファクタのこと。向かい風が有利なのでその差を解消するための調整点、向かい風が強いほどマイナスになる。
上位5選手の風点は、フォクト +0.4点、イラシュコ -2.8点、マテル +0.2点、高梨 +5.0点、インサム +2.7点と高梨選手がダントツで追い風(飛びにくい)の条件で飛んだことになる。しかも、高梨は2回とも追い風だった(5位のインサムも2回とも追い風)。
その風の条件の中、飛距離の合計はフォクト 200.5m(追風0.4点)、イラシュコ 203m(向風2.0点)、マテル 197m(追風0.5点)、高梨 198.5m(追風5.0点)、インサム 197.5m(追風2.7点)と、高梨選手は追風の悪条件下でも頑張って飛んでいる。
飛距離点に風点を加えると、フォクト 141.4点、イラシュコ 144点、マテル 134.5点、高梨 142点、インサム 137.7点と2位の得点になる。
このように、風点(ウインドファクタ)の調整があるので公平じゃないかと思えそうだが、それは飛距離について調整が為されるだけなのである。
追い風下では空気に押さえつけられるので着地の際の難易度は上がって、飛型点のポイントであるテレマーク姿勢を取るのが難しい。転倒を防ぐのが第一になる。その分、追風では飛型点が伸びなくなる。
ただ、2位のイラシュコの2回目の飛型点が低いのは、大ジャンプの為で、≪じゃあ、向かい風でも飛型点が伸びない≫と考えられそうだが、大ジャンプでの飛距離点が飛型点の低さをカバーできてしまう。ただ、あまり飛び過ぎると転倒の危険があるので、風の条件が良い場合は低い所から飛ぶという措置を取ることもある。
今回の場合の飛型点の合計は、フォクト 106点、イラシュコ 103点、マテル 111点、高梨 101点、インサム 104.5点となっており、高梨選手は飛型点の低さが致命傷となった。
確かに、高梨選手の着地は腰が落ちてしまっていて、それが減点対象になったようだ。しかし、空中姿勢は非常に美しく、テレマークの足を前後に広げるという動作も入っていた。他の選手の採点と比較すると、2回合計で4~5点ぐらい評価が低かったように思う。
なんとなく、いろいろと日本に不利な判定や採点が多いような気がするのだが……
さて、インタビューでの高梨選手の受け答えが素晴らしかった。
高梨選手は、落胆や悔しさで一杯のはずなのに
「今この舞台に自分が立てたことは、すごくいい経験だったんですけど、今まで支えてくださった皆さんに感謝を伝えるためにこの舞台に来たので、そこでいい結果を出せなかったのがすごく残念です。
自分では、やることは一緒なので、どの試合も変わらず挑んだつもりだったんですけど、やはりどこか違うところがあるなと感じました。一本目も二本目も、納得行くジャンプができなかったので残念です。
また、このオリンピックに戻ってこれるようにもっともっとレベルアップしていきたいと思います」
さらに、先の私の疑惑を打ち消すように
「本当に実力があれば関係はないと思うので、実力が足りなかったのだと思います」
実に素晴らしい!
一方、カーリング女子、
セカンドの小野寺選手がインフルエンザで出場できないというアクシデントの中、初戦の韓国戦を落としてしまった。
試合後の小笠原選手のインタビュー
「(小野寺佳歩が)インフルエンザにかかってしまったのはどうしようもない。(欠場の影響は感じられた?)そうですね。やっぱりセカンドは、相手のガードを崩す重要なポジションなので、ここを重点的にやってきた彼女が抜けるというのは非常に厳しかったです。(自分の番では迷っていたようだが)ヒットして2点取るか、フリーズして1点取るかというところですね。最後はピンポイントでここというのが続いていました。
(第6エンドのショットが、かなり手前で止まってしまったが)あれはミスです。先攻だったので、センターで勝負したかったんですけど、リードからセカンド、サードとショットがあまりつながらなかったので、自分のところでどうにか2点コースをつかみたかったんですけど……。自分のミスは敗戦に直結してしまうので、良くなかったですね。
(今大会こそ初戦は、という思いがあったと思うが)私はとてもリラックスしました。気負いなくやっていたんですけど、やはりこの(小野寺を含めた)4人でと固定してやっていたので、アクシデントに対応できていなかったなと思います。(小野寺の復帰の見通しは)昨日の練習は休んだんですけど、そのときは大丈夫だという話でした。でも夜に検査を受けたところ、『やっぱりダメだ』となってしまいました。カーリングだけじゃなく、ほかの日本選手団に迷惑をかけるわけにはいかない。きちんと治して戻ってきてもらわないと困るので、待ちたいと思います。
今日はショットがみんな緊張して良くなかった。そこを良い形に近づけられるように背中を押してあげたいと思います。(代わりに入った吉田知那美は)緊張しているのが目に見えて分かったので、それは仕方ない。日本を代表して来ているので、いろいろなミスをなくして、もっと集中するようにしたいと思います」
敢えて、コメントはしません。
なぜ、このふたつのインタビューを並べたのか、かみしろさん辺りだとすぐピンと来るはずです。