英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

科捜研の女2017 スペシャル (補足あり)

2017-10-17 17:09:21 | ドラマ・映画
色々な要素で本末転倒しており、ストーリーに多くの無理があった残念な脚本だった。(楽しめたけれど)

★ストーリー的、突っ込み所
①意義を感じなかった「生前検死」
 『土門さんの検死をお願いします』とマリコが言うシーンをプレ映像(CM)で流したかったとしか思えない。
 ドラマ中では、“生前検死”に意義を持たせようとしていたが、現場にいた蒲原刑事が状況を把握しており、科捜研のメンバーも映像を観ていたので、大仰な検死をしなくとも、土門の容体を観察したり、主治医に話を聴くだけで充分であろう。意識不明の重体なのに、身体をあちこち向き直され、いじられる土門が可哀想だった。容体が悪化しないのだろうか?
 視聴率稼ぎの小細工としか思えなかった。
 このドラマだけでないが、放映途中でこれから先の重要シーンを挿入するのはやめてほしい。故意に真相を外した興味を呼ぶシーンを流すことも多いが、これもフェイクであることがバレバレである。

②理解困難な那須田(黄川田将也)の行動
 本当に「種の毒の軍事転用を阻止」したいのだったら、警察に白状する方が確実。
 内密で収めようとしたのは、「父親の功績に傷をつけたくなかったから」らしい。全く親離れしていない!
 種を横流ししたことも意味不明。
 それに、種を取り戻したかったとは言え、身を捨ててまで助けてくれた土門を放置して逃げるなど、人間としてダメであろう。
 それにしても、しっかりと足が線路に挟まっていたのに、よく足が抜けたものだ。列車と衝突のはずみで抜けたのだろうが、横に飛ばされたのは不自然だし、横に飛ばされたとしたら、足首はタダでは済まないだろう。引きずってはいたが、歩けるとは思えない。

③最新鋭の武器(装置)を見せたいためのストーリー その1
 猛毒の種を捜索するには証拠が必要と、最新鋭機のスキャナー車(正式名称は忘れました)が登場。
 正攻法の捜査を厳守する藤倉刑事部長(金田明夫)だが、事の重大性を考えれば、嫌疑のある両車両が港に到達した時点で捜査という手順を踏めばいいのではないだろうか?(走行中の車両を停めることもないし)

④最新鋭の武器(装置)を見せたいためのストーリー その2
 “ドローン顔認証”登場。
 すごく活躍したが、かなり上空からの映像なので、角度的に顔を認証するのは難しそうだ(低空だと大騒ぎになるし、障害物も多そう)
 那須田の死体を発見した場所のドローン操縦は難しそうだ。しかも、バックまでしていた。

⑤役立たずの捜査陣
 大人数で那須田を包囲したが、風で飛来した風船で皆がバランスを崩し転倒、取り逃がしてしまう。
 その後も、ドローンが活躍することとなった。
 警察犬は最初だけ?

⑥偶然?線路と並行して走る道路
 かなり長い間列車と並行して走るスキャナー車。信号もないし、なんという幸運!

⑦使用に無理がある凶器
 謎の凶器は、列車の操縦ハンドルだった。
 凶器としては短く使いにくそう。それに、大切な仕事道具を使うモノなのか?
 突発的犯行ならともかく、計画的な犯行で、凶器として持ち出すものだろうか?それに、証拠にもなる。


 正体不明の凶器として、科捜研に謎を解かせ、共犯者を特定するというのなら、まだ納得できるが…


★その他の突っ込み所や感想
1.橋口呂太(渡部 秀)、通称?「ロタくん」
 小学生化が進行?
 子ども番組に登場する、主人公を補佐する少し間が抜けたロボットみたいだ
 連ドラで観るのは辛い

2.土門の妹・美貴(加藤貴子)
 カウンセリングの意義は中途半端だった。
 警察官から科捜研メンバーになり、精神保健福祉士を目指し離職していたが、今回はカウンセラーとなっていた。
 兄の事故シーンでの悲鳴や表情は、加藤貴子さん、迫真の演技だった。

 ちなみに、CMの際の土門窮地のプレシーンでは、ロタくんに悲鳴があったが、本編ではカットされていた。

3.「“そんなことより”攻撃」2連発
 なかなか迷惑で強力なマリコの攻撃であった。


 ここ数シーズン、どんどん高性能で便利な分析機器が登場し、科捜研のメンバーの解析が、単なる作業となってきており、技術士や専門家というより、作業員みたいになってきている。もちろん、専門知識があるので、解析目的を効率よくこなしてはいる。
 まあ、マリコの“にっこり「これやって頂戴」”攻撃は、面白いので、OK。



【補足】
 人をこき使うマリコだが、自分が担当した委託栽培農家の種の鑑定をさぼっていた。
(しなかったよね)




【ストーリー】番組サイトより
 取引先の女社長を殴った傷害罪で逮捕送検されていたナスダ工業副社長・那須田(黄川田将也)が、父親の葬儀に出席するための勾留執行停止中に逃亡した。マリコ(沢口靖子)らは顔認証システムを使い、逃げた那須田の行方を追う。
 一方、土門(内藤剛志)らは那須田に殴られた被害女性から話を聞こうとするが、いまだ意識不明。その後、那須田が東京にいたころ土門の妹でカウンセラーの美貴(加藤貴子)のカウンセリングを受けていたことがわかり、京都にやってくるという美貴から話を聞くことにする。
 那須田の逃亡先を絞り込みつつ、マリコは那須田に殴られた被害女性の着衣を調べ、ナスダ工業の登録品種であるシソ科の植物の種を発見する。那須田が殴った時に付着したのだろうか…?
 呂太(渡部秀)が那須田を発見した。連絡を受けた土門らは連携を取りつつ那須田を追い込んでいく。が、あと一歩のところで電車に乗って逃げられてしまうが、その直前、土門の「なぜ逃げる?」という問いかけに那須田は「逃げてるんじゃない!」と答える。逃げているのでなければ、どこへ向かおうとしているのか?そして、その目的は?
 そのころ、科捜研では被害者女性の衣服から見つかった植物の種が、ナスダ工業の登録品種のシソ科の植物と一部異なる塩基配列があることを発見した。登録品種の植物に2種類のDNAが存在するのか?新しい品種?それとも遺伝子汚染か?
 やがて美貴が京都府警に現れ、那須田に関する意外な事実を明らかにする。
 事件解決へ前進するものの、土門が予想だにしない事故に巻き込まれ…。
 那須田はなぜ逃亡し、どこへ向かおうとしているのか?暴行事件に隠された驚きの真実がマリコらの科学捜査、そして土門の執念で明らかに!?

脚本:櫻井武晴
監督:兼崎涼介
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羽生王座失冠に思う その3

2017-10-17 01:08:36 | 将棋
「その1」「その2」 の続きです。



 先手玉には詰めろが掛かっている。
 後手の持ち駒は豊富で、先手玉は孤立。上から押さえられ、逃げる手も△4七角の追撃が厳しい。思わしい受けがないように思われる。先手も持駒は潤沢ながら、後手玉には手掛かりがなく迫るのも困難。王手を掛けながら、4六の銀を外せそうもない………先手大ピンチを思わせる局面。
 しかし、11手前、▲4五同歩と取れば、この局面に進む可能性はかなり高い(途中、飛車を引くか切るかの分岐点しかない)。羽生王座が1時間15分も考えて▲4五同歩を着手したのだ。きっと、このピンチを脱する妙手順を用意しているに違いない。そもそも、この局面自体、劣勢ではないのかもしれない。


 20分後の指し手は▲3四桂。
 まあ、ともあれ、こう打つしかないだろう。
 △5一玉と逃げられ、さて、ここで起死回生の一手が出るのか?



 ……31分後、▲6八金(第7図)。


 直前の▲3四桂の20分と合わせると51分の考慮ということになるが、この金は5七と5八の地点しかカバーしておらず、3筋、4筋を全く利いていない。大丈夫だろうか?
 この金寄りの意図は、4七の地点を受けるのではなく、5八の地点を受けて、4七に金駒を打たれた時に▲5九玉と逃げる手を可能にしている。働いていない7八の金を活用するプロらしい手である。
 しかし、後手の持ち駒には4七と5八に同時に利かすことが可能な角があり、△3六角や△1四角が厳しそう。玉に迫りつつ飛車取りの△4七角もある。さらに、△8四角の攻防手もありそうだ。

 ≪やはり、ダメなのか…≫
とあきらめていたが、中村六段の手が動かない。
 ………………次の手が指されたのは、なんと1時間39分後だった。


 この中村六段の手については「その4」で述べることにして、▲6八金ではなく▲8四角と打つ手はなかったのだろうか?



 角取りの逆先で△7三銀と合駒するのが私の第一感。しかし、それには▲7一飛と更に王手され△6一角なら悠々▲6六角と引いておけばよい。合駒に角銀を使わされ後手の持ち駒は金のみとなり、先手玉の危険度はかなり低くなっている。また、△6一金と逆先を取るのは▲8一飛成でよい。△8四銀と角を取られても、金と銀を使っているので、後手の持駒は角2枚で即座に先手玉を寄せるのは困難。しかも、手番は先手なので、敵玉への距離が逆転している。
 かと言って、6一に合駒を打たず△6二玉と頑張っても、▲7二玉で後手の負け。

 という訳で、▲8四角には手番を握ることより持駒の節約を優先させる△7三歩の歩合いが最善で、棋譜中継解説によると、この△7三歩には▲3六銀と受ける手があるようだ。


 白状すると、この▲3六銀には一瞬思考が停止した。
 確かに、▲8四角により5七の地点をカバー(▲9五角では5七に利かない)、▲3六銀により4七の地点をカバーできたが、3七の地点はノーガードなので△3七金と打たれると玉を逃げる一手に△3六金でせっかく打った銀を召し取られてしまう………
 しかし、王手で玉を追ってくれたので、手順に5九に玉を逃げることができる。更に△3六金と銀を取るのに1手掛ける。そのうえ、一番寄せるのに必要な金を消費している。先手にとっては、銀を取られてもその倍以上のおつりを貰える取り引きである。これではあまりにも損なので、△3六金と取らずに△5七角と打つことになるが、以下▲同角△同銀成▲6九玉△4六角▲7九玉△6七成銀▲6八歩で先手が良さそう。
 棋譜中継解説には「▲8四角△7三歩▲3六銀△7一金という順は優劣不明のようだ」と記されている。

 プロにとっては▲3六銀など“当然の1手”かもしれないが、私は感動した。

 実は、もう一つ感心した変化手順がある。

 実戦の▲6八金や上述の▲8四角の手で▲5九玉(▲5八玉)△4七角▲6八玉△2九角成▲7一飛△6一飛▲7二飛成△5六馬▲7九玉△6二金打という変化(感想戦で羽生王座は「これはまずいですね」と述べている)。
 何に感心したかと言うと、▲5九玉△4七角に▲6八玉△2九角成とした後▲7一飛と打つ手順。▲6八玉△2九角成の手の交換を入れると▲7一飛に△6一飛と飛車合いをされてしまう。

 飛車合いをされると、▲8一飛成とできず▲7二飛成としなければならない。それなら、▲6八玉△2九角成を入れずに▲7一飛と打てば、飛車合いはなく、合駒は金か銀しかない。
 だったらそうすればいいじゃないか?……しかし▲6八玉△2九角成を入れずに▲7一飛には、△6二玉と飛車当たりで逃げられ困る。金を温存されると先手玉は△5八金の1手詰がある。
 ▲6八玉△2九角成の手の交換は飛車合いを生じさせるが、自玉の危険度を軽減させているのだ。(という苦心の手順だが、先手がまずいらしい)


 最近は、ソフトがはじき出す評価値だけを見て、「凡局だ」「ファンタ(ポカ)が出た」とか揶揄する人が多い。
 しかし、間違えたという事実(数値)だけをしか見ないのは、すごく勿体ないと思う。


「その4」に続く)
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